音楽漫画 僕のジョバンニ 3巻 あらすじとネタバレ

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5年ぶりに再会した鉄雄と郁未


僕のジョバンニ(3) (フラワーコミックス) [ 穂積 ]

さて、2巻のラスト、コンクールで再会した鉄雄と郁未でしたが、どのような再会だったのでしょうか。

「久しぶりだな。」

と話しかける鉄雄、それに対する郁未は、

「なぜお前がここにいる。」

と冷たい表情で返します。郁未は鉄雄に、自分を恐れてイタリアに逃げたお前に、日本での居場所なんかない。と告げます。鉄雄は、昔から自分の居場所なんかなかった。日本に帰ってきたのは、0からはじめるためだと答えるのでした。確かにコンクール会場では、郁未の名前は知れ渡り恐れられ、鉄雄は「見ない顔」とされています。

縁は郁未のことを語る鉄雄の表情で何らかを悟り、

「鉄雄は鉄雄の演奏をしたらいい。」

と話します。今後、この縁の洞察力や思いやりが要所要所でうまく働いていくのです。若いのに大した子です。百合子の推薦で鉄雄の伴奏者になった縁ですが、ピアノの実力だけでなく人柄も合わせて鉄雄と相性がいいと考えての推薦だったのではないかと思います。結構言いたいこと言ってるように見えて、本当に言ってはならないことは言わない、取得選択能力もあります。伴奏者として最適なのです。

郁未の圧倒的才能の前に、崩れていく出場者たち。果たして鉄雄は?

演奏順は郁未がトップです。既に名が通っている奏者がトップで演奏することが実際にあるかどうかはわかりませんが、最初に郁未の演奏を聴いた出場者が皆、調子をくずして実力を発揮できないで演奏を終えてしまいます。郁未の見せる圧倒的な実力や才能の違いに、自分を失ってしまったのです。そしていよいよ鉄雄の出番が来ました。

会場の空気はまだ、最初の郁未の演奏に支配されたままです。鉄雄の出番は休憩をはさんで14番目です。郁未の演奏がどれだけ強烈だったかわかりますね。はらはらして哲郎が見守る中、鉄雄の演奏がはじまります。

鉄雄の演奏は会場の空気を一気に変えました。感情を十分に乗せた、個性的で直観的な演奏です。それが実は緻密な計算の上に成り立つものだと気づいた人は、客席の中には二人しかいませんでした。

その、完璧なはずの世界が、客席の郁未の姿を見たとたん崩れてしまったのです。縁がなんとか合わせにいこうとしますが、立ち直れないまま鉄雄の出番は終わってしまいます。鉄雄は予選落ち、さらにその直後、郁未が本選を辞退します。繰り上げの通過者にも鉄雄の名前はありませんでした。

どう言葉をかけていいかわからない哲郎に鉄雄は、

「ものすごく悔しい。」

「でも、これが俺の今の実力。」

「過去の成績とか、師匠が誰かとか、そういったものをすべてとっぱらったところから始める。」

と告げます。

百合子の突然の帰国。いったいなぜ?

ある日、公園でチェロを弾く鉄雄の前に郁未が現れ、

「これほどの実力があって、なぜコンクールではあんな演奏をした!」

と鉄雄を責めます。コンクールでの鉄雄の演奏が、技巧だけで作り上げたものだということに気づいていた一人は郁未でした。郁未は昔の鉄雄の演奏の方が好きだとも言います。そして自分と鉄雄の間にチェロ以外に何がある?と聞き、

「自分は上に行く。お前はそこでそうしてろ。」

と言い残して去っていったのです。

そんな中、百合子が突然帰国します。空港に迎えに行った鉄雄たち兄弟と縁。百合子は会うなり鉄雄に旅行鞄で鉄拳を食らわせます。

「人前で技巧だけの演奏をすることを、お前に固く禁じていたはずだ。」

返答次第では破門にする、と百合子は言います。鉄雄の演奏の真意に気づいていたもう一人は、審査員で百合子の知人だったのです。

鉄雄の演奏は過去の演奏家達の完璧な模倣をつなぎ合わせたもので、模倣としてクオリティが高くそのためかえって、鉄雄の欲とあざとさが耳についたとその審査員は言ったのです。

「小賢しい」

百合子の説教はさらに続きます。模倣を否定するわけじゃない。あくまで自分の表現を高める手段の一つとして有効。

「どう飲み込んで解釈して消化するかの方がはるかに重要。その工程を経て初めて、技は揺るぎない自身の血肉となる。」

その工程を省いた鉄雄の演奏は、お前である必要があるのか、と。

鉄雄はそれに対して、試してみたかったのだと答えるのでした。その方が作者の意に沿う演奏になると思ったともいいます。哲郎は鉄雄のその言葉を聞き、鉄雄は作曲家になりたいのではないかと思うのでした。そして鉄雄は百合子に謝ります。

鉄雄はイタリアでの生活を哲郎と縁に話して聞かせます。留学先での他の生徒たちとの技術のあまりの違いに打ちのめされ、焦り、追い詰められていく鉄雄に百合子は、鉄雄を弟子にした理由を語ります。

「面白い、と思った。」

そして、

「お前がお前であることを、希望にするか絶望にするかはお前しだいだ。」

と告げます。

「まず自分で自分を愛せ。それが弟子になる第一条件だ。」と。

それから百合子は、鉄雄にチェロを続けるために必要なことを、そして作曲家になるために必要なことを教え込みます。鉄雄が夜中にこっそり曲を書いていることを、百合子はとっくに知っていたのでした。

イタリアでの生活は、百合子がいかに弟子としての鉄雄を愛していたかが伝わるシーンが多くあります。また百合子が鉄雄に語る言葉も深みがあります。あらすじの一つとしてダイジェストで語っても伝わらないので、ここには書きません。ぜひ原作を読んでみてください。特に表現者であれば深く刺さるものが多いと思います。

縁はある日、鉄雄の描いた曲の譜面を発見し、ピアノで弾いてみます。そして鉄雄に

「これを人前でやらないか。」

と提案するのでした。すなわち、ライブをやってみないか、と。

3巻で使用した曲はこちら

鉄雄がコンク-ルで弾いた曲


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ちなみに郁未がトップで弾いたのは、百合子の演奏を聴いて一週間で覚えた難曲

一方公園で、郁未にペンチで弦を切られながら弾いていたのはこちら。


楽譜 パガニーニ/ロッシーニのオペラ「モーゼ」の主題によるG線での変奏曲(モーゼ幻想曲)(【734733】/2344/チェロとピアノ/輸入楽譜(T))

1巻はこちら

2巻はこちら

4巻はこちら

5巻は9/10頃発売予定

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