僕のジョバンニ

音楽漫画 僕のジョバンニ5巻 あらすじとネタバレ

今の彼を、俺にはどうしても放っておけない

購入は画像をクリック

ある日、縁は高校の前で不審な男に出会います。彼は縁に郁未の所在を縁に尋ね、さらに縁を自らのファンだと勘違いして無理やりサインをして去っていくのでした。その不審者は皆川優、4巻で名前だけ出てきたもう一人の天才少年です。

無理やり鞄にサインをされた縁は怒り心頭で、練習場所で鉄雄相手に怒りをぶちまけます。

鉄雄は縁の怒りにはお構いなしでカルミナ・コンに向けて予選の課題曲も決まり、気合が入っているところを見せます。さらに皆川優が以前、鉄雄が金、銀該当なして銅賞をとったコンクールの有力候補だったことを思い出し、雪辱戦だとばかりますますやる気が漲るのでした。

そんな鉄雄に百合子は、ある事実を告げます。

「カルミナコンの予選の曲、郁未とかぶってる。」

「同じ曲を、橘郁未も弾く。」

偶然だな、とかわす鉄雄、百合子は続けてその場にいた哲郎に、

「郁未の元に出入りしているのは本当か?」

と聞きます。鉄雄は百合子が、哲郎が郁未に情報を流していることを疑っていると感じ、すべて偶然だ、と言い募りますが、百合子は、鉄雄と郁未の間にこの手の偶然が多いことを指摘します。公園で偶然会ったこと、鉄雄の出た東コンに郁未も出たこと。百合子は哲郎に

「お前が弁解するなら、お前の言葉を信じる。」

と言います。哲郎はそれに対し、

「郁未と会っていたのは本当だ。」

と告げます。しかし、

「郁未に鉄雄の情報を流したりはしていない。絶対に。」

とも言いました。しかし哲郎はもう一つ、鉄雄に告げることがありました。

「俺、郁未のメンタルトレーナーになろうと思う。」

「今の郁未を、俺はどうしても放っておけない。」

もう一人の天才・・・チェロとなら、どこへでも行け

鉄雄は自分がいると哲郎がやりづらいと思い、居候していた哲郎の家を出ます。自分の中の醜い感情を出してしまうことも、ため込んでおかしな方向に行ってしまうことも、両方を恐れる鉄雄。そんな鉄雄に縁はこっそり囁きます。

「誰にも言わないから、言ってみ。」

「あいつ、俺の大事なもの全部、持ってっちゃうのな・・・っていう。」

さらに続けて、醜い感情なくして音楽やるつもりだったのかよ、音楽は全部の感情を許容してくれる。

「だから私は音楽が好きだよ。」

そんな縁に鉄雄は

「俺と一緒に走って。最後まで。」

と頼み、縁は

「任せろ!」

と請け負います。それを影から見ていた百合子は密かに安堵するのでした。

百合子は鉄雄に、カルミナコンまで厳しく指導していくことを告げ、それを受け鉄雄は百合子に向かって

「宜しくお願いします。」

と頭を下げるのです。そんな鉄雄を目にした百合子の表情は我とは知らず和み、やはり蘇我百合子はこの唯一の弟子に師匠として並々ならぬ愛情を注いでいることが見て取れるのでした。

そしてカルミナコン当日、二人の天才と称される郁未と皆川優の邂逅に、参加者がざわめくのでした。橘郁未以外には眼中にないという態度を周囲に見せつける皆川に対し郁未は

「誰だ?」

と問いかけてしまい、皆川の態度にムカつきを抑えられない縁は密かに(でもないか)留飲を下げるのでした。郁未の心にあるのはあくまで鉄雄一人だったのです。しかしそれと同時に縁は、「皆川のようなタイプは強い」と見切っており、それを鉄雄に告げます。

トップバッターの皆川の演奏がはじまり、それとともに皆川の独白が流れます。無理やり習わされたピアノのレッスンから逃げ出した幼い皆川の目に映ったチェロ。その瞬間、彼はこの楽器を愛せる、この楽器となら自由になれる、なぜならチェロを愛しているから。

しかし、皆川は思ったほど自由になれなかったのです。皆川の目は郁未に向けられるようになりました。郁未となら自由になれる、そう思ったのです。

一方哲郎は、郁未のマネージャーの鷺とカルミナコンに出かけます。そこで鷺の持つ「郁未に頼まれた荷物」を目にしてしまいます。それは「東村山興信所」と名の入った封筒でした。

俺にとっての天才は、手塚鉄雄なんです。

出番待ちの縁は、皆川と再び出会います。そこで縁は皆川から

「思い出した。成田縁でしょ。僕と同じく神童と言われてた。」

と言われます。今はコンクール嫌いの縁も昔はコンクールで金賞を取りまくっていたのでした。カルミナコンには出場ではなく伴奏であると言う縁に皆川は、コンクールから逃げたと決めつけます。その皆川に縁は

「私は自分の大切なものを大切にしているだけ。」

と告げ、その場を去ります。落ち込んだ縁は鉄雄の元に行き

「死ぬのなら、どんな日がいい?」

と問いかけるのでした。続けて鉄雄は、

「もう死ぬって、どうしようもなくって、ここでおしまいってわかってたら、最後くらい笑いながらこんな晴れた日に、踊りながら死ぬのも悪くない。」

鉄雄の出番中、伴奏しながら縁は、鉄雄のそういう強さは嫌いじゃない、と思い返すのでした。そしてそれを客席で聴く郁未の表情がすべてを物語っているようだったのです。

郁未のマネージャーの鷺は、鉄雄の演奏を以前と全然印象が違う、チェリストはいろいろな表現ができてすごいと肯定的に評価しますが、哲郎はそれは鉄雄がまだ迷いのなかにいるからだと評します。身内だから厳しいという鷺に哲郎は、鉄雄を信じているからだと、自分にとっての天才は蘇我百合子でも橘百合子でもなく、手塚鉄雄だと言うのでした。

お兄ちゃんはつらいよ!

哲郎は百合子に、「お前は抱え込みすぎだ。」と言われますが、それに対して哲郎は「お兄ちゃんだからね。」と答えます。お兄ちゃんと言えばブルージャイアントの雅兄が思い浮かびます。初任給で弟の大に店で一番いいサックス買ってあげるお兄ちゃん、たった13歳で母親を亡くしてから弟妹の面倒を見てきたザ・兄貴です。哲郎は雅兄とは違って、自分もチェロをやっていて今も音楽家のサポートを生業としているだけあってその目は厳しいです。ただ、厳しい分確かな目で鉄雄の将来を信じているようです。さらに、郁未のメンタルトレーナーとなることである意味鉄雄の敵側についてしまった哲郎は、郁未に対してもお兄ちゃんなのですね。もっとも郁未はそれをまったく認めていませんが。

気分はグルービーの憲二と大将もお兄ちゃんですが、妹のかおりと麻美は兄貴を完全に舐めてるからな。

タランテラ

鉄雄と郁未がカルミナコンで弾く曲、ダーウ”ット・ポッパーの「タランテラ」

タランテラ自体はイタリアの舞曲で、ダーウ”ット・ポッパーのタランテラは鉄雄が縁と演るならこの曲、と選曲したものです。

D.Popper – Tarantella/Daniil Shafran (1950) クリックでyoutube

購入はこちらから


ポッパー:タランテラ



夜間でも安心のサイレントチェロ

連載再開!フラワーズ3月号は1/28発売


月刊flowers(フラワーズ) 2020年 03 月号 [雑誌]

1巻はこちら

2巻はこちら

3巻はこちら

4巻はこちら




 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

BLUE GIANT6巻(ブルージャイアント)あらすじとネタバレ

購入は画像をクリック

First Note   大・・・強い音を出せ

その日、雪祈は曲を書いていました。大の強く太い音に負けないメロディを必死で探します。そんな雪祈の元に、一本の電話が入ります。ジャズギタリストの川喜田 元(かわきた もと)が、高校生の頃の雪祈のプレーを聴き、ピアニストとして使ってみたいという電話でした。雪祈は川喜田のライブに参加し、気に入られます。川喜田は自分のバンドのメンバーになりツアーを回るよう雪祈を誘いますが、雪祈は自分の求めるジャズの世界に行ける相手ではないと感じるのでした。そしてその相手は雪祈にとってはやはり大なのです。雪祈は一人闇の中で練習する大を誘い、その晩のギャラで大と玉田に焼き肉を奢ります。ギャラを全部使いきるのでした。

雪祈は曲を書き上げます。タイトルは「First Note」大は非常に気に入ります。玉田はまず自分のことに必死で曲を聴く余裕がありません。そして作曲者である雪祈は、まだまだ不満足です。

大は、ドラムに必死で他の音を聴いている余裕がないと言う玉田のドラムが、いつのまにジャズらしくなってきていることに気づき、さらに雪祈に

「弱い!」

「お前の強い音、どこへ行っちゃった?」

と指摘されます。

玉田の成長と雪祈の努力に背中を押されるように、大は走り込み、泳ぎ、強い音を取り戻すために行動するのでした。さらにジャズバーのセッションに参加し、ソロで長い長い、さらにどんどん強さを待つロングトーンで回りを圧倒し・・・怒られるのでした。しかし、これで大は、自分の強い長い音が武器であることを確信します。

18歳のジャズナイト

大はライブを企画し、一人でチラシを作って配り歩きます。雪祈は無名の自分たちを聴きにくる人などいない、それにまだ初心者の玉田には事が大き過ぎると反対しますが、たった一人でチラシを配る大を見て気持ちを変えます。

ライブ当日、客はお店の常連客が3人だけです。大はその客席を見ながら

「この日を一生、覚えておこう。」

と誓うのでした。そして、ライブがあることも知らず、ただ酒を飲みに来ていた3人の常連、そしてHPに告知もせず、チラシも貼らなかった店長を一気に引き込む演奏をします。そして雪祈は、大が本番のステージで凄みを増し大きくなることを確信するのです。

一方玉田は、自分が予想していたよりずっと、何もできなかったことに傷つき落ち込んでいます。店長や常連客はライブの前後でまったく態度を変えるのですが、それは主に大と雪祈に対してで、玉田の存在感は全くと言っていいほどありません。大はその玉田の姿に、仙台のバードの初ライブの時の自分を重ねます。

バイトを控えているため、初ライブの打ち上げは自販機の缶ジュース、その打ち上げの席で玉田は、

「オレのドラム、クソだ。」

「オレ、抜けないと。」

その玉田に雪祈は

「125回」

と言います。玉田のミスの数です。何も言い返せない玉田に雪祈は続けて

「正直言うわ。」

「思ってたより、悪くなかったわ。」

その夜、一人になった玉田は橋の上で号泣するのでした。バードのライブの後大も泣いていましたが、それを大きく超えて泣きじゃくります。

翌日の練習に遅れてきた玉田は、手が震えてリズムが刻めなくなってしまい、理由をつけて練習場所であるtake twoから抜け出します。それを見た雪祈は大をなじります。

大が、ようやく少し叩けるようになった初心者の玉田をステージに引っ張り出したのが原因で、玉田は叩けなくなったのだと。さらにライブ中にミスを連発しすっかり委縮した玉田を助けることもできず、置き去りにして一人で吹いていたのだと指摘するのです。

一方玉田は、take twoから抜け出した先の公園で、奇妙な音を出す楽器のようなものを吹く男子中学生と出会います。

「それ、楽器?」

玉田は問いかけます。

「トランペットのマウスピースです。」

少年は、中学一年で吹奏楽部に入部したばかり、はじめは音が出せないので楽器には触らせてもらえずマウスピースだけの練習を続けています。彼の中学のブラバンは厳しく、小学校からの経験者は夏から楽器を使えるのですが、彼は初心者のためトランペットを触るだけでも先輩に怒られるが、秋には楽器を使えるのを楽しみにしています。玉田は彼に、

「頑張って。」

と言い残してその場を去るのですが、途中でそれが何か違うように感じ、公園に引き返して彼にこう告げるのです。

「頑張って、じゃなかったわ。」

「先輩、ぶっ飛ばしちゃえ。オレならそうする。」

玉田はその後、昨日号泣した橋の手すりをスティックで叩きながら

「大も雪祈も、全員ぶっ飛ばしてやる。」

と誓い、再び練習に励むのでした。

JASS

以前雪祈に自分のバンドに加わるようオファーをし、結果断られたジャズギタリストの川喜田が、小さなジャズバーに姿を現します。そこでは今時のジャズバーらしくなく、若い観客が歓声をあげ演者をあおり、さらに追っかけらしき若い女性客も黄色い声を張り上げていました。演奏しているのは「JASS」という若者のバンドです。サックス、ピアノ、ドラムの三人編成でベースレスです。

川喜田が探しあてた雪祈がそこにいました。曲の最中でも気に入らないプレイに対して言い合いをし、観客はそれに対しても盛り上がります。ステージと客席が一体になって作り上げる、まさしく「ライブ」な空間でした。そしてそこには玉田もいました。まだ大と雪祈の「fight」には入っていけない玉田ですが、いつか必ず殴り込んでやるつもりでいます。

川喜田は勢いのある三人の演奏、そして雪祈の挑発に対して目の前で成長を見せる大を目にして、マスターにギターを借り

「ちょっと負けに行ってくる。」

とステージに飛び入りするのでした。

いや、かっこいいな川喜田さん。

センスも才能もある十代の若者トリオと言えばこちら、ソルティドッグ (僕のジョバンニ)もそうです。オリジナル中心で、JASSはベース、ソルティドッグはドラムがいないところも、フライヤーにセンスの欠片もないところも同じです。(大がPCで作ったフライヤーは三人の焼き肉を食べる写真、縁の手書きフライヤーに至っては、ヘタな犬の絵が添えられているという代物)

二作品の連載時期からすると年齢的に5歳くらいJASSの方が上なのですが、この二つのバンドが出会ったらどんな感じなのでしょう。

・・・なんとなく、雪祈と縁が喧嘩して終わりそうな気がする。



1巻はこちら

2巻はこちら

3巻はこちら

4巻はこちら

5巻はこちら

7巻はこちら

8巻はこちら

9巻はこちら

 

Amazon Primeでオンラインピアノレッスンが3か月無料、その他にも会員特典がたくさん。

Amazon prime会員限定セールはこちら

100チェロコンサート記念!僕のジョバンニとのコラボ企画 

弦楽器の専門誌「サラサーテ」8月号で、「僕のジョバンニ」とのコラボ企画


サラサーテ2019年8月号

僕のジョバンニで鉄雄が弾く、ジョバンニ・バッツォーニの「チェロよ、叫べ!」

モデルになっているのはジョヴァンニ・ソッリマと、彼の作曲した「チェロよ、歌え!」

そのジョヴァンニ・ソッリマが8月に来日します。それを記念して、弦楽器の専門誌サラサーテ誌上で僕のジョバンニとソッリマの特集記事が掲載されます。作者の穂積さんの描きおろしの表紙とともに、ぜひどうぞ。

ソッリマが世界各国で繰り広げる100チェロコンサートが、8月東京で開催されます。その公式サイトに僕のジョバンニの作者、穂積さんがコメントを寄せています。こちらからご覧ください。

100チェロコンサートの公式サイトはこちら

 

 

 

上達し続けるための、体と心のコントロール

故障を防ぎ、上達し続けるために役立つボディワークやメンタルトレーニング

僕のジョバンニ3巻で、イタリアの音楽学校の同級生とのあまりの技術の違いに焦り、過剰な量の練習量をこなす鉄雄に百合子が最初に教えたのが「ディスポキネシス」という音楽家のための心と体のコントロール法です。無理な体の使い方や、緊張やプレッシャーにより思うように演奏ができなくなってしまうことは、演奏活動をする上で問題となります。そこで、音楽を続けるために必要なボディワークとメンタルトレーニングや参考文献をご紹介します。

ディスポキネシス―音楽家のために生まれた、心身コントロール法

ディスポキネシスは、オランダ発祥の音楽家向けのボディワークです。特徴として、体だけではなく緊張等の心の問題から引き起こされる障害にも焦点を当てている点、音楽家向けとして開発された点があげられます。今までのボディワークは、役者やアスリート等のために開発されたものを音楽家向けに取り入れていたため、トレーナーが演奏については門外漢であることも多かったのです。ディスポキネシスは音楽の専門教育を受けている人がトレーナーになるので、楽器特有のの悩みにも対応可能です。

まだ比較的知られていないボディワークですが、日本でもレッスンが受けられます。京都と東京の2か所だけですが、出張レッスンも受け付けているようです。お問い合わせはディスポキネシス・ジャパンまでどうぞ。

アレクサンダー・テクニーク―元祖、ボディワーク。各界で実践者多数。

最も古い歴史を持つボディワークです。役者であるアレクサンダーが開発した、「体の悪い使い方の癖」をやめる、首を解放し背中を広く使う、ということを体に直接覚えさせるワークです。日本ではミュージシャン、ダンサーなどに多く広まっています。ディスポキネシスは音楽家のために専門化されたボディワークですが、アレクサンダーテクニークはどのジャンルでも体を使うものなら応用可能です。

トレーナー(アレクサンダーテクニークでは、教師と呼ぶ)は手指を使い、生徒の体に直接触れて微調整をします。レッスンの回数を重ねて体に正しい動きを覚えさせるのです。現役のミュージシャンの教師も多く、演奏のレッスンと並行して教えている教師も多数です。また、各地でワークショップも開かれています。教師の人数も多いので、地方でも受講しやすいと思います。レッスンを受けたい方は、日本アレクサンダーテクニーク協会HP で教師を検索できます。

本もたくさん出ていますが、演奏家向けのものを抜粋してご紹介します。


演奏者のための はじめてのアレクサンダー・テクニーク~からだを使うのが楽になる~


マンガとイラストでよくわかるアレクサンダー・テクニーク 実践編: 音楽演奏と指導のための


筋肉を意識したギター上達法30 ~上達の壁は身体の使い方で越えろ!~ [DVD]


音楽家ならだれでも知っておきたい「からだ」のこと―アレクサンダー・テクニークとボディ・マッピング


吹奏楽部員のためのココロとカラダの相談室 コンクール・本番編 今すぐできるよくわかるアレクサンダー・テクニーク


ドラマーが知っておくべき身体の仕組みと動かし方 [DVD]


実力が120%発揮できる! ピアノがうまくなるからだ作りワークブック

フェルデンクライスメソッド―一人でもできるボディワーク

フェルデンクライスメソッドは、物理学者のフェルデンクライスが創始者となったボディワークです。日本では演出家の安井武氏が最初に広めた関係で、まず演劇の世界で広まりました。

フェルデンクライスメソッドはATMと呼ばれるグループレッスンと、FIと呼ばれる個人レッスンの2種類からなりたちます。ATMは見本などはなく、プラクティショナーの言葉による誘導だけでイメージしながら動き、FIはプラックティショナーの指先のタッチの誘導で動き、いずれも質の良い動きを学習していくメソッドです。

ATMは各地でワークショップや定期的なグループレッスンが行われているので、それに参加したり、また誘導のCD等も購入できるので、それを聞いて独学することも可能です。ただ、最初はワークショップ等に出た方がわかりやすく効率的だと思います。

一方FLはアレクサンダーテクニークに似た個人レッスンです。リハビリ等によく用いられています。創始者のフェルデンクライスが膝を故障し医学からは見放された時に、自分用のリハビリとして開発し全快したとあって、効果が高いようです。

プラクティショナーはこちらから探せます。日本フェルデンクライス協会HP

また、ATMレッスンの音源はこちらです。音楽家のためのフェルデンクライスのレッスンもこちらです。

フェルデンクライスジャパンHP

CD、ダウンロード、また書籍もこちらで購入できます。

4スタンス理論―身体を4タイプに分けて、タイプごとの特徴に合わせた動きを指導

4スタンス理論は、整体師の廣戸聡一さんが提唱する、人間の身体を4つのタイプに分けて、それぞれのタイプに合った動きを習得することでパフォーマンスをあげることができるという理論を基にした、体操や整体などの総合的ボディワークです。

4スタンス理論では、身体の重心のかかり方によって、A1、A2、B1、B2の4種類に分けます。さらにA1,B2をクロス、B1,A2をパラレルの2種類に分けます。そのタイプによって身体の効率的な使い方が違ってきます。

そのため、自分と違うタイプの先生に教わっても上達しなかったりします。それどころか思わぬけがにつながる可能性もあるのです。

音楽の場合、4つのタイプによって身体のどこでリズムをとるのが向いているか、それぞれ違ってきます。また、2つのタイプによって得意なリズムが変わってきます。

例えば、うねりがあり踊りたくなるようなグルーヴはクロスタイプが得意としますが、スピード感のある正確で切れのいいリズムはパラレルタイプに向いています。

自分のタイプの診断の仕方はこちら

4スタンス理論についてもっと知りたい場合、トレーニングや整体のお問い合わせはこちら。

廣戸道場(整体)

4スタンス倶楽部(4スタンス理論詳細)

レッシュ・プロジェックト(トレーニング、セミナーなど)

 

各種ワークショップには音楽のワークショップもあります。

タイプの診断については自己診断でも判別しやすいのですが、実際にトレーナーに判定してもらうとより正確です。

参考書籍はこちら


マンガでわかる「4スタンス理論」身体能力を最大限発揮するすごいカラダの使い方

ピアノ脱力法メソッド―楽にいい音で弾けるメソッド

ピアノ講師の大嶋聡子さんが考案した、ピアノを脱力していい音で楽に弾き続けるためのメソッドです。さとう式リンパケアを取り入れた脱力体操からはじまり、椅子やピアノ使ったフィンガートレーニング、うまく弾けないところの個別ピンポイント・レッスンもあります。

以前受けたとき、一回のフィンガートレーニングで指が広がったのにはびっくりしました。内容はどんどんブラッシュアップされているので、再受講を重ねるとより効果的だと思います。また、メールと動画の通信講座もあり、個人レッスンにもオンラインがあるので、地方在住でも受講が可能です。

お問い合わせはピアノ脱力法メソッド

 

その他の関連書籍をまとめて紹介

僕のジョバンニ3巻の参考書籍の一つです。


演奏者のためのメンタル・トレーニング 演奏者 勝利学

同じ著者によるメンタルトレーニングの本。わかりやすいです。


演奏家のための「こころのレッスン」―あなたの音楽力を100%引き出す方法

Amazonのunlimitedでも読める、ギターやベースのためのボディコントロール法ですが、どの楽器の人にも使えると思います。


楽器は筋肉で弾くな!!骨で弾け!!: 〜腰痛も軽減させる ギタリストとベーシストのための ボディコントロール術〜

 

音楽漫画 僕のジョバンニ 4巻 あらすじとネタバレ

落ちこぼれトリオのライブ!ソルティドック


購入は画像をクリック

鉄雄に自作曲でライブをやることを提案した縁は、乗り気ではない鉄雄をよそにどんどん話を進めます。まずバイオリニストとして、鉄雄と郁未が出たコンクールで百合子の弟子を騙った御手洗健太をスカウトします。御手洗はバイオリンからチェロに転向したのでバイオリンも弾けるのです。

さらにライブ会場として、縁のバイト先の喫茶店を選んでありました。喫茶店ではじめて御手洗と音合わせをした鉄雄は、御手洗がチェロよりバイオリンの方が巧いことに気づきます。御手洗は音楽一家に育ち父親も兄姉も国内で入賞経験がある中ので落ちこぼれで、バイオリンでは一番になれないからチェロに転向したと語ります。

それを聞いた鉄雄は、

「コンクール嫌いのピアニスト、音楽一家の落ちこぼれ、師匠が有名なだけの凡人」

3人の落ちこぼれライブだと言い、面白いライブにする、とやる気になるのでした。

オリジナル曲だけのライブの難しさを知るマスターの松浦の提案で、ライブ曲をあらかじめ録音した音源をライブの日の二週間前から店のBGMとして流すことになります。宅録ができることで鉄雄のテンションは一気にあがるのでした。

トリオ名はソルティドッグ。カクテルの名前ではなく、「しょっぱい負け犬」という意味です。ライブ当日の一曲目はオリジナルではなく、キング・クリムゾンの「21世紀のスキッツォイド・マンバリバリのプログレです。キンクリは今でも現役ですが、録音自体は1969年、喫茶店の常連客も大半が子供か、まだ生まれていないかです。それを現在の高校生が演ってしまうのですから、それだけでも注目は集まります。そこに鉄雄の超絶アレンジ、そしてぶっ続けでオリジナルに入る展開で、客席を完璧に掴みます。この辺は、イタリアでジャズクラブ等にも入り浸っていた鉄雄がライブというものをよく知っていたためにできること、と言えるでしょう

鉄雄は演りながら、

「ああ・・・俺、本当に 音楽が好きだな

と幸福感に満たされていきます。さらにハプニングもあり騒ぎになりましたが、その際の松浦の言葉も鉄雄の心に響きます。ライブを終えて、鉄雄は何かをつかんだように感じるのでした。

哲郎に思いがけない仕事のオファー。

哲郎は鉄雄が少し変わったことに気づきます。そして、百合子に自分がもっとしっかりしていたら鉄雄と郁未はここまでこじれなかったかもしれない、と思いを打ち明けます。自分がチェロをやめてから、一人で弾くしかなくなった鉄雄がどれだけ孤独だったか、鉄雄を孤独にしたのは自分で、それが郁未を追い詰めることにつながったのではないか、哲郎は一人思い悩んでいたのでした。百合子は哲郎に、自分を責めるなと伝えます。お前は一人でしょい込みすぎるとも言います。

そんな時、哲郎の勤めるメンタルトレーナーの事務所に、哲郎を指名する仕事が舞い込みます。クライアントは橘郁未。郁未と手塚兄弟が関わりが深いことを知る郁未のマネージャーからのオファーでした。

現在の鉄雄と郁未の関係を鑑み依頼を断ろうとする哲郎ですが、事務所所長の説得もあり、一度だけでも郁未に会ってみようと依頼を受けます。郁未は数時間の面談の間哲郎の語りかけにも拒否を示し、面談は失敗だったと思う哲郎でしたが、マネージャーは面談終了間近に初めて郁未が自分から人に話しかけるところを見たと言い、再度の面談を依頼するのでした。

哲郎は郁未との面談で、一緒に暮らしていた頃の昔話をするのでした。話をするのは主に哲郎で、郁未は哲郎の問いかけに答えるだけなのですが、その郁未の記憶があまりにも鮮明で哲郎はそれに驚き、東京へ出てきてからの郁未の孤独と帰国して仲間が増えた鉄雄を思います。

鉄雄は再度コンクールに出ることを決めます。百合子はその、カルミナ国際コンクールに、郁未と対をなすもう一人の天才高校生チェリストが出ることを聞きつけます。もう一人の天才、皆川優(みながわ まさる)は郁未が出ることを期待しての出場らしいこともです。そして郁未は鉄雄が出るからカルミナ国際に出るはずだと、鉄雄は言い切ります。

御手洗に、郁未との関係を聞かれた鉄雄は

「・・・トモダチ」

と切ない表情で答えるのでした。

4巻で使われた曲はこちら

ソルティドックのファーストライブ1曲目、キングクリムゾンの名曲です。ここに聖夜の深井が客としていたら大喜びしそうです。1980年にプログレはもう終わったと嘆いていた彼ですが、この曲は1969年、全盛期の頃です。

ダウンロード版


21世紀のスキッツォイド・マン

収録アルバム新品/中古


クリムゾン・キングの宮殿(K2HD/紙ジャケット仕様)

クリックでyoutubeへ

 

百合子がコンサート直前に、スポンサーの意向で予定に入れてないのに弾くように要請されブチ切れた曲。鉄雄の説得で弾くことになりました。。

 


亡き王女のためのパヴァーヌ


ラヴェル : 亡き王女の為のパヴァーヌ/マックス・エシーク社/ピアノ伴奏付チェロ・ソロ用編曲楽譜

 

1巻はこちら

2巻はこちら

3巻はこちら

5巻はこちら

 

 

音楽漫画 僕のジョバンニ 3巻 あらすじとネタバレ

5年ぶりに再会した鉄雄と郁未


僕のジョバンニ(3) (フラワーコミックス) [ 穂積 ]

さて、2巻のラスト、コンクールで再会した鉄雄と郁未でしたが、どのような再会だったのでしょうか。

「久しぶりだな。」

と話しかける鉄雄、それに対する郁未は、

「なぜお前がここにいる。」

と冷たい表情で返します。郁未は鉄雄に、自分を恐れてイタリアに逃げたお前に、日本での居場所なんかない。と告げます。鉄雄は、昔から自分の居場所なんかなかった。日本に帰ってきたのは、0からはじめるためだと答えるのでした。確かにコンクール会場では、郁未の名前は知れ渡り恐れられ、鉄雄は「見ない顔」とされています。

縁は郁未のことを語る鉄雄の表情で何らかを悟り、

「鉄雄は鉄雄の演奏をしたらいい。」

と話します。今後、この縁の洞察力や思いやりが要所要所でうまく働いていくのです。若いのに大した子です。百合子の推薦で鉄雄の伴奏者になった縁ですが、ピアノの実力だけでなく人柄も合わせて鉄雄と相性がいいと考えての推薦だったのではないかと思います。結構言いたいこと言ってるように見えて、本当に言ってはならないことは言わない、取得選択能力もあります。伴奏者として最適なのです。

郁未の圧倒的才能の前に、崩れていく出場者たち。果たして鉄雄は?

演奏順は郁未がトップです。既に名が通っている奏者がトップで演奏することが実際にあるかどうかはわかりませんが、最初に郁未の演奏を聴いた出場者が皆、調子をくずして実力を発揮できないで演奏を終えてしまいます。郁未の見せる圧倒的な実力や才能の違いに、自分を失ってしまったのです。そしていよいよ鉄雄の出番が来ました。

会場の空気はまだ、最初の郁未の演奏に支配されたままです。鉄雄の出番は休憩をはさんで14番目です。郁未の演奏がどれだけ強烈だったかわかりますね。はらはらして哲郎が見守る中、鉄雄の演奏がはじまります。

鉄雄の演奏は会場の空気を一気に変えました。感情を十分に乗せた、個性的で直観的な演奏です。それが実は緻密な計算の上に成り立つものだと気づいた人は、客席の中には二人しかいませんでした。

その、完璧なはずの世界が、客席の郁未の姿を見たとたん崩れてしまったのです。縁がなんとか合わせにいこうとしますが、立ち直れないまま鉄雄の出番は終わってしまいます。鉄雄は予選落ち、さらにその直後、郁未が本選を辞退します。繰り上げの通過者にも鉄雄の名前はありませんでした。

どう言葉をかけていいかわからない哲郎に鉄雄は、

「ものすごく悔しい。」

「でも、これが俺の今の実力。」

「過去の成績とか、師匠が誰かとか、そういったものをすべてとっぱらったところから始める。」

と告げます。

百合子の突然の帰国。いったいなぜ?

ある日、公園でチェロを弾く鉄雄の前に郁未が現れ、

「これほどの実力があって、なぜコンクールではあんな演奏をした!」

と鉄雄を責めます。コンクールでの鉄雄の演奏が、技巧だけで作り上げたものだということに気づいていた一人は郁未でした。郁未は昔の鉄雄の演奏の方が好きだとも言います。そして自分と鉄雄の間にチェロ以外に何がある?と聞き、

「自分は上に行く。お前はそこでそうしてろ。」

と言い残して去っていったのです。

そんな中、百合子が突然帰国します。空港に迎えに行った鉄雄たち兄弟と縁。百合子は会うなり鉄雄に旅行鞄で鉄拳を食らわせます。

「人前で技巧だけの演奏をすることを、お前に固く禁じていたはずだ。」

返答次第では破門にする、と百合子は言います。鉄雄の演奏の真意に気づいていたもう一人は、審査員で百合子の知人だったのです。

鉄雄の演奏は過去の演奏家達の完璧な模倣をつなぎ合わせたもので、模倣としてクオリティが高くそのためかえって、鉄雄の欲とあざとさが耳についたとその審査員は言ったのです。

「小賢しい」

百合子の説教はさらに続きます。模倣を否定するわけじゃない。あくまで自分の表現を高める手段の一つとして有効。

「どう飲み込んで解釈して消化するかの方がはるかに重要。その工程を経て初めて、技は揺るぎない自身の血肉となる。」

その工程を省いた鉄雄の演奏は、お前である必要があるのか、と。

鉄雄はそれに対して、試してみたかったのだと答えるのでした。その方が作者の意に沿う演奏になると思ったともいいます。哲郎は鉄雄のその言葉を聞き、鉄雄は作曲家になりたいのではないかと思うのでした。そして鉄雄は百合子に謝ります。

鉄雄はイタリアでの生活を哲郎と縁に話して聞かせます。留学先での他の生徒たちとの技術のあまりの違いに打ちのめされ、焦り、追い詰められていく鉄雄に百合子は、鉄雄を弟子にした理由を語ります。

「面白い、と思った。」

そして、

「お前がお前であることを、希望にするか絶望にするかはお前しだいだ。」

と告げます。

「まず自分で自分を愛せ。それが弟子になる第一条件だ。」と。

それから百合子は、鉄雄にチェロを続けるために必要なことを、そして作曲家になるために必要なことを教え込みます。鉄雄が夜中にこっそり曲を書いていることを、百合子はとっくに知っていたのでした。

イタリアでの生活は、百合子がいかに弟子としての鉄雄を愛していたかが伝わるシーンが多くあります。また百合子が鉄雄に語る言葉も深みがあります。あらすじの一つとしてダイジェストで語っても伝わらないので、ここには書きません。ぜひ原作を読んでみてください。特に表現者であれば深く刺さるものが多いと思います。

縁はある日、鉄雄の描いた曲の譜面を発見し、ピアノで弾いてみます。そして鉄雄に

「これを人前でやらないか。」

と提案するのでした。すなわち、ライブをやってみないか、と。

3巻で使用した曲はこちら

鉄雄がコンク-ルで弾いた曲


[楽譜] ベートーヴェン チェロ・ソナタ第3番イ長調作品69【10,000円以上送料無料】(ベートーウ゛ェンチェロソナタダイ3バンイタンチョウサクヒン69*ベートーベン*ベートーウ゛ェン)

ちなみに郁未がトップで弾いたのは、百合子の演奏を聴いて一週間で覚えた難曲

一方公園で、郁未にペンチで弦を切られながら弾いていたのはこちら。


楽譜 パガニーニ/ロッシーニのオペラ「モーゼ」の主題によるG線での変奏曲(モーゼ幻想曲)(【734733】/2344/チェロとピアノ/輸入楽譜(T))

1巻はこちら

2巻はこちら

4巻はこちら

5巻は9/10頃発売予定

音楽漫画 僕のジョバンニ 2巻 あらすじとネタバレ

郁未のまれにみるチェロの才能に、鉄雄は・・・。


百合子の弾く難曲、ドボルザークのチェロ協奏曲を自分が簡単に弾けるようになれば鉄雄が喜ぶ、そう信じて鉄雄へのプレゼントとしてこの曲を弾く郁未。ところが鉄雄は郁未のまれにみる才能と、それを自分が持っていないことに同時に気づき、深く打ちのめされるのでした。チェロをやめた兄、哲郎は

「お前を憎みたくなかったから、チェロをやめた。」

と伝えます。哲郎は鉄雄の才能に屈し、弟を憎まないうちにチェロをやめたのでした。

鉄雄がずっとあこがれて自らから放ちたかった音を、郁未が奏でるのを聴いてしまい、友達なのに郁未が憎いと泣きじゃくります。その鉄雄に何も言ってやる言葉がみつからないと、かつて同じ思いを当の弟に抱いた兄は弟を抱きしめます。

哲郎は二人がどうにか折り合いをつけてこれまで通りの友達でいてほしいと願いますが、百合子は、折り合いなどつけたら鉄雄はその瞬間、チェリストとして死ぬ、と言います。残酷な世界で苦しみながらでもチェロを離さない、生半可ではない覚悟が必要だと。

鉄雄は郁未に、気持ちをぶつけてしまいます。

「俺のチェロを返せ!」

鉄雄しかいない郁未は、彼から向けられる憎しみに大きく傷つきます。それはチェロしかない鉄雄の苦しみと同質のもののようにも思えます。郁未は、チェロをやめたら鉄雄の友達でいられる、という哲郎の言葉に、鉄雄の特別でいるためにチェロをやめない、と告げます。鉄雄と郁未とチェロの三角関係がはじまったようです。哲郎は、郁未の鉄雄に対する執着に恐怖すら感じます。

一方鉄雄は、百合子に弟子にしてくれ、と頼みます。一度は断った百合子ですが、彼女いわく「気まぐれ」で鉄雄を弟子にするのでした。鉄雄は小学校卒業を待たずに百合子とイタリアに旅立ちます。

鉄雄はイタリアへ、一方郁未は

5年後、日本に帰ってきた鉄雄が最初に目にしたのは、既に有名チェリストとなっている郁未の姿でした。郁未の存在で日本にはチェロブームが起きていたのです。鉄雄は東京で哲郎と同居生活に入ります。哲郎は一浪して入った大学を中退し、スポーツ心理学を専攻できる大学に入りなおしました。今は演奏家専門のメンタル・トレーナーとして事務所に勤務しています。

鉄雄は帰国してすぐ伴奏者を探しますが、候補から次々断られてしまいます。鉄雄が変わってしまっているようで哲郎は心配になります。そこに現れたのが成田縁(なりた ゆかり)音楽高校ピアノ科の生徒です。彼女なら鉄雄と合うのではないかと百合子から紹介されたのです。

鉄雄の演奏は個性的過ぎて、今までの伴奏候補が誰も合わせられなかったため断られていたことを、哲郎は悟ります。そして、縁は鉄雄の演奏は個性的なのではない、技術でびっちり個性的に聴こえるように作りこんであることを看破します。鉄雄についてこられたのは縁が初めてだったようです。鉄雄と縁はお互いを認め合い、縁は鉄雄の伴奏者となります。縁は鉄雄の伴奏を楽しんでいたことを告げます。鉄雄は小規模のコンクールに出場することになり、その会場で郁未と再会します。

鉄雄が郁未の怪物的な才能の前に、なすすべもなく泣きじゃくるシーン、読んでいてこちらが苦しくなります。百合子の言うとおり、残酷な世界なのです。そして、鉄雄とも郁未とも違って何にもとらわれていない縁の存在が、鉄雄に新しい風を送るように感じます。伴奏者に縁を得て、鉄雄がどのように変わっていくのか楽しみです。

2巻で使われた曲はこちら

鉄雄と縁の初顔合わせの時にやったリベルタンゴはこちらの一曲目です。


ヨーヨーマ・プレイズ・ピアソラ/ヨーヨー・マ[CD]【返品種別A】


ピアノ 楽譜 ピアソラ | リベルタンゴ(ピアノソロ)

youtubeからはちょっと珍しいピアニカバージョンをどうぞ(クリックでyoutubeへ)

 

1巻はこちら

3巻はこちら

4巻はこちら

5巻はこちら

音楽漫画 僕のジョバンニ 1巻 あらすじとネタバレ


僕のジョバンニ(1) (フラワーコミックス) [ 穂積 ]

僕のジョバンニは穂積さん作、現在連載中のチェロ弾きの少年二人の物語です。天賦の才能と努力の天才の二つの才能のぶつかり合いがストーリーの軸になっています。現在4巻まで発売中。未完結作品なので、1巻づつ紹介していきます。

手塚鉄雄は小学生。海沿いの小さな町でただ一人チェロを弾く子供です。以前一緒にチェロを弾いていた兄の哲郎はすでにチェロを辞めており、学校の友達もチェロに対する鉄雄の思いなど到底理解できるはずもなく、孤独な日々を送っています。鉄雄のチェロの腕前は小学生ながら大きな大会で優勝するほどですが、鉄雄は一人ではなく誰かと弾きたいのです。哲郎にもう一度弾いてほしい、一緒にやってほしいと頼みますが、鉄雄を可愛がっている哲郎は
「それだけはできない。」
と断るのでした。

橘・A・郁未(たちばな・アレックス・いくみ)は海難事故のただ一人の生存者として鉄雄の住む町に流れ着きます。郁未は海に投げ出されたとき自分を呼ぶ声を聞き、その声の元に必死に泳ぎ着きます。実はその声は鉄雄の弾くチェロの音色だったのです。郁未はその事故で母親を亡くし、外国人の父親も親戚もまったく頼るもののいない孤児となってしまいました。身元引受人がいないため、鉄雄の家に預けられることになります。

初めて会った郁未は口をきかず、鉄雄は郁未に
「お前、愛想ねえな。」
と言い放ちます。
ある日、鉄雄は弾くチェロを耳にした郁未は、海で自分を呼ぶ叫び声が鉄雄のチェロだったと悟ります。
それから郁未は、鉄雄のそばを離れず毎日チェロを聴くのでした。

郁未は哲郎から、鉄雄がいつも弾いている曲「チェロよ、叫べ」が本来は2挺で弾く曲だと聞き、自分が弾くから教えろと鉄雄に頼み、鉄雄は喜んで郁未に基礎からチェロを仕込みます。郁未は鉄雄の、誰にも理解されないという孤独を知り、それを「天才の孤独」と呼びます。郁未は自分だけは一生友達でいると誓うのでした。
「鉄雄は太陽の匂いがする。だから、お前を絶対に裏切らない。」

鉄雄と郁未の友情が深まっていったある日、手塚兄弟の祖父の古い知り合いでプロのチェリストの曽我百合子が手塚家にやってきます。
いつの頃からか百合子を苦手とするようになった鉄雄は浮かない顔です。それを知った郁未は自分も百合子とは口をきかないと言います。鉄雄は百合子から数年前に言われたある言葉に呪縛され苦しんでいました。

郁未は手塚家に正式に引き取られます。姓が変わっていないので、おそらく里子なのでしょう。郁未は鉄雄にだけ心を開き、少しでも離れることを嫌がります。その郁未を見て、手塚家の両親が郁未を引き取ることを決めたのです。今、鉄雄を引き離すことはできないと考えたのでした。郁未の鉄雄に対する感情は、友情というには激しすぎるものでした。

百合子は毎年夏に一か月ほど手塚家に滞在します。鉄雄が栃木の母方の祖父の家に遊びに行っていた一週間で、郁未は百合子の弾く曲を聴いて覚え、真似して弾けるようになります。その演奏を鉄雄に聴かせ、
「簡単だった。だから百合子なんて大したことない。あいつの言葉なんかで苦しむな。」
郁未は鉄雄を励まし、喜ばせるつもりで言ったのです。が、それは百合子に言われた言葉よりも何倍も深く鉄雄を傷つけます。
郁未が一週間で耳コピしたその曲は、チェロの曲の中でも最も難曲とされる曲でした。そして、鉄雄はまだその曲を弾けないのです。
本当の天才は郁未だったのです。これで鉄雄を百合子のかけた呪いから救うことができたと信じ、満面に幸せそうな笑みを浮かべる郁未と、この世の終わりのような絶望的な表情の鉄雄のアップが読む方も辛くなります。まだ小学生の二人が、これから才能というものに苦しむことを予感させます。一人は才能がない故に、もう一人は才能がある故に。

郁未がチェロをはじめたのは鉄雄を一人にしないためで、鉄雄が2挺のチェロで合わせたがっていた「チェロよ、叫べ!」を二人で弾くためです。この「チェロよ、叫べ」は架空の曲ですが、モデルとなっているのは「チェロよ、歌え」という曲です。歌うを通り越して叫んでしまうんです。その叫びは鉄雄の孤独の叫びであり、その声を聞いた郁未を引きつけ、命を救った叫びなのでしょう。これから成長していく二人がどうなるか、楽しみに追っていきます。

「チェロよ、叫べ!」のモデルとなった「チェロよ、歌え」はこちら。


【輸入盤】ホーナー:パ・ド・ドゥ、ペルト:フラトレス、ソッリマ:チェロよ歌え!、エイナウディ:希望の扉 サムエルセン兄妹、ペトレンコ&リヴ [ James Horner ]

【輸入楽譜】ソッリマ, Giovanni: チェロよ歌え!(8本のチェロ): パート譜セット [ ソッリマ, Giovanni ]

郁未が一週間で耳コピした難曲、チェロ協奏曲はこちら


ドヴォルザーク:チェロ協奏曲 他、エルガー:チェロ協奏曲 他 [ ジャクリーヌ・デュ・プレ ]


日本語ライセンス版 ドヴォルジャーク : チェロ協奏曲ロ短調op.104 小型スコア スプラフォン社日本語ライセンス版

2巻はこちら

3巻はこちら

4巻はこちら

5巻はこちら