BLUE GIANT 7巻(ブルージャイアント)あらすじとネタバレ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

JASS!初ギャラいただきました!

購入は画像をクリック

6巻の最後で、JASSのステージに飛び入りした日本を代表するジャズギタリストの一人、川喜田 元(かわきた もと)に客席もざわめくのですが、なんと大は川喜田を知りませんでした。川喜田の選んだ曲はジョン・コルトレーンのインプレッションズ。ギターではなくサックスの曲を選んだことで川喜田が本気で勝負に出たことを悟る雪祈は、大に「負けるな。」と告げます。

観客は川喜田のソロに盛り上がり、川喜田の正体を知らない大もその熱いプレイに引きつけられます。セッションが終わったあと、川喜田は雪祈にはまた勝負しに来ると言い、大には名前を聞きます。覚えておくから頑張れ、と告げるのでした。そして玉田にも「ありがとう。」と声をかけます。

大は雪祈との会話のなかで、川喜田とは思う存分できたと話します。そこで雪祈に

「玉田はどうだった?」

と聞かれ、初めて玉田のドラムを気にせず演ることができたことに気づくのでした。

川喜田がSNSでつぶやいた影響もあったのか、JASSの3度目のライブは小さなライブハウスをほぼ満席にしていました。終演後、観客に囲まれる大と雪祈を目の当たりにしながら、自らの手の豆を見つめる玉田。その玉田に声をかけたのは初回からライブを見に来ている紳士でした。

「僕は成長する君のドラムを聴きに来ているんだ。」

「君のドラムはどんどんよくなっている。」

とかけられた言葉に玉田は密かに涙するのです。それは明らかに先日、橋の上で流した涙とは違うものでした。

そしてこの日、JASSに初めてのギャラが入ったのです。一人一万円ずつ分けたギャラを三人はそれぞれ思い思いの使い方をするのでした。

玉田は教則DVDを購入します。以前は初心者向けの教本を買ったのですが、今度は上級者向けです。さらに通っている音楽教室の先生にビールを買います。

雪祈は花屋で5千円分の花束を二束買います。一束は実家の母に、もう一束はTake Twoのアキコさんに贈るためです。雪祈はアキコさんに、自分たち三人からだと言って花を渡します。

そして大は、女物の服やら靴やらを見て回っています。しかし、贈る相手のサイズすらわかっていません。さんざん迷った大が選んだのは、楽器屋で一番安いフルートでした。もらったギャラに自分で自由に使えるギリギリのお金を足して買ったフルートは、仙台の妹、彩花に届けられます。かつて雅兄は大に、店で一番高いサックスを贈りました。大は、雅兄にプレゼントをするのではなく自分より下の妹にフルートを贈るのでした。長兄から弟へ、次兄から妹へ、順繰りに贈られるのです。

大が彩花に贈ったフルートはこれかな?クリックで購入できます。



ゴールがない世界の幸せ

大はライブの時、一瞬だけ音と自分がつながったソロを吹くことが増えてきています。ただそれは一瞬だけで、つながっていたいのにすぐに離れてしまうことがほとんどです。大は、一流のプレイヤーは皆、音と自分がつながり無意識で吹いていることに気づいています。それが自分には一瞬しかおとずれないのです。スキルの問題か気持ちの問題かはわかりません。

雪祈も大が時々無意識の「自動演奏モード」に入ることに気づいています。それは雪祈にはまだ訪れたことのない瞬間です。

ここで、サックス、ピアノ、ベース、ドラムのカルテットが登場します。彼らのバンド名は「ザ・ファイブ」メンバーが一人抜けたばかりの、元はクインテッドだったようです。仕事はそれぞれ別に持っているものの、ギャラをもらえるライブをするセミプロで、メジャーデビューを目指しています。

以前は山ほどあった情熱は結成10年で少しずつ削られ、生活に追われるようになっていますが、サックスの森は自分たちには変化が必要だ、と思っています。

森は音源をレコード会社に持ちこみますが、年齢も30代半ばになるザ・ファイブは音源すら聴いてもらえず門前払いです。

その森のところに川喜田から電話が入ります。川喜田はJASSを聴きに行くように森に伝えます。損はさせないから、と川喜田は言いますが、森はJASSが10代の若者で構成されているバンドであることを知り、聴きに行くことに抵抗を示します。

それでもピアノの阿川に連れられJASSのライブに来た森は大を見て

「あいつ、知ってる。」

と言い出します。以前、ザ・ファイブが定禅寺ストリートジャズフェスティバルに出演したとき、客席でひときわ元気に乗りまくっていたのが大でした。その大に乗せられて森は長々とソロを吹きまくり、結局一曲削ることになったのでした。さらに、演奏を終えた森達がサックス一本の音に惹かれて駆け付けたところ、そこで吹いていたのは先ほどの高校生、大だったのです。森は久しぶりに聴いた大が腕を上げていることに気づきます。

JASSのライブが終わったところで、森達は川喜田の紹介だと言って大達に声をかけ呑みに誘います。そこで森は大に、

「お前はこれからどうなんの?」

と問いかけます。大は、

「JASSで武道館と東京ドームを満員にする、世界中をツアーで回る、グラミー賞も取る。」

「そのためには、毎日出し切らないと、オレの持ってる全部を出し切らないと。」

「だって、幸せじゃないすか。今までたくさんのプレーヤーがいたけど、、ゴールについた人間は誰もいないんすよ。」

「ゴールがない世界でずっとやり続けられるなんて、最高に幸せじゃないすか。」

先ほどまで雪祈に「才能がない。」とやり込められていたザ・ファイブでしたが、森はその言葉にうっすら涙を浮かべるのでした。

そして、ある日の小さなライブハウス、少ない客の前で演奏するザ・ファイブの姿がありました。

So Blueのステージに立ちたい!

雪祈の夢は10代のうちにSo Blueのステージに立つこと。そのための準備に余念がありません。JASSにも固定ファンがつき、一定の集客が望めるようになった頃、雪祈は川喜田の自宅を訪ねます。用件はズバリ

「どうしたらSo Blueのステージに立てるでしょうか。」

と直球です。それはいくらなんでも舐めた考えだ、という川喜田に対し、死ぬほど憧れているSo blue を舐めたことは一度もないと真剣な気持ちを伝え、結果川喜田からSo blueのスタッフに雪祈に連絡するよう伝えるという返事を引き出しました。

それから2週間ほど後、So blueの平と名乗る人物からメールが来ます。雪祈はSo blueでのライブを切望していること、一度自分たちのライブを聴いてほしいことを訴えます。最初にメールが来てからさらに2週間後、ついにSo blue平がJASSのライブを聴きに来ました。

雪祈は大と玉田には何も告げず、「今日もマックスで頼む。」とだけ言います。終演後、平から雪祈にライブハウスの近くのバーにいるとメールが入り、バーへと急ぐ雪祈はファンの男性からサインを頼まれるも断って、平の待つバーへと急ぎます。

平と初めて会った雪祈は挨拶もそこそこにJASSの印象を聞きます。それに対して平は、ドラムは初心者で技術不足だが、一生懸命で好感が持てる。サックスは独特で音に強さ、太さがあり面白い。彼の将来は気になる。さらに平は雪祈に対し、

「君、全然だめだ。」

「君のピアノは鼻につく、つまらない。」

「君、バカにしてないか?バカにしてないとしたら、なぜ本当のソロをやれてない?」

「全力で自分をさらけ出す、それがソロだろ。」

何一つ言い返せないでいる雪祈に向かって平はさらに、雪祈の態度を横柄で人をバカにしていると一刀両断にし、今回の話はなかったことにすると言い残しバーを出て行ったのでした。

雪祈は夜道を一人、平の言葉を反芻しながら歩きます。

「普通、言うか?」

「あそこまで、言ってくれるか?」

「あの人、いい人だな。やっぱスゲエな、この店」

雪祈は歩きながらいつも間にかSo Blueの前まで来ていたのでした。

頑張れ雪祈

と言いたくなる7巻でした。雪祈は小出しにされるエピソードからもわかるように、本当は素直で心優しい子ですが、若さの持つ未熟さとジャズの情熱の故の尖がった面もあり、それがしばしば廻りと軋轢を起こすこともあります。今回もザ・ファイブのメンバーと一発触発の雰囲気にもなりました。雪祈は傲慢な態度を取ることで自分の弱さを隠している面もあると言えます。ところが弱さを隠すことで、平に指摘された自分をさらけ出せないソロしかできないようになってしまったのでしょう。平の言う、「音楽をばかにしている。」というのは、雪祈の傲慢さ、不遜さの奥に隠れている弱さ、素直さ、優しさも音楽に漏れてしまっているのに、隠しきれていると思っているところでしょう。音楽はそんなに甘くはない、音楽に向き合って嘘をついていられるわけはない、だから思い切って自分をさらけ出しなさい、そういう意味ではないでしょうか。

一方大は、そのような屈折はありません。大の音が太く強いのは大の内面の現れで、その強さ故に真っすぐ純粋でいられるのです。あまりにも真っすぐで迷いがないため、今後主人公としては少し影が薄くなるかもしれません。けれども今後大は世界で活躍するミュージシャンになるのはボーナストラックを読んでも明らかです。世界で通用する大きさの器の持ち主だからこそ、純粋でいて大丈夫なのでしょう。

廻りがどれほど嘘をつこうと、ミュージシャンは、いや表現者は自分の表現において嘘は許されないのです。頑張れ雪祈!

7巻に登場の曲はこちら


インプレッションズ
 購入は画像をクリック

Take Twoでのリハ前に雪祈が一人で弾いていた曲

Tom Waits – Grapefruit Moon クリックでyoutubeへ

大が電車の中で出会ったおじさんは、500円玉貯金で買ったトランペットを大事に持っていました。その根性に惹かれ音を聴いてみたくなり、おじさんの個人練習についていきます。そこでおじさんが吹いた曲がこれ。

Blue Mitchel – I’ll close my eyes クリックでyoutubeへ

ちなみにおじさんが買った「相棒」はこちら

おじさんが500円玉貯金で買った相棒 購入は画像をクリック

1巻はこちら

2巻はこちら

3巻はこちら

4巻はこちら

5巻はこちら

6巻はこちら

7巻はこちら

8巻はこちら

9巻はこちら

SNSでもご購読できます。

<a href=”http://h.accesstrade.net/sp/cc?rk=0100epl400jcgj” rel=”nofollow” target=”_blank”><img src=”http://h.accesstrade.net/sp/rr?rk=0100epl400jcgj” alt=”サウンドハウス” border=”0″ /></a>

コメントを残す

*