楽器

G線上のあなたと私3巻 あらすじとネタバレ 

行動では離れて行ってもで心はお互いを見てる

発表会が終わって、也映子は婚活に精を出し、幸恵さんは多実ちゃんのナイスなフォローでお義母さんの態度がぐっと軟化、そして理人は結愛となんとなくいい感じになっています。

3人のミニコンサートを控え、理人にとっての最後のレッスンを終えた3人ですが、お疲れ会でもやろうという也映子の提案に、理人は

「ごめん、いーや」

と、あっけなく帰ってしまいます。そのあっけなさに也映子は、発表会の後の二人での打ち上げの也映子のマジ泣きも

「覚えてないんだろうな」

と思います。

3コン(3人のミニコンサート)のリハをしながら、也映子は体験レッスンで初めて2人と会った時のことを思いだしながら弾き、あげく曲が頭から飛び、演奏を止めてしまいます。気分を変えるためにドリンクバーに飲み物を取りに行き、そこで理人に

「マジ泣き、覚えてたよ」

と言われ驚くのでした。

「それで、あのあっけなさかよ」

と心の中で突っ込みます。

理人という青年は、とことん掴みどころがないのです。あっけないかと思えば、眞於先生には執着ともいえる情熱を抱いていたり、どんな反応をしてくるか予測がつきません。地面にバウンドさせると、どの方向に弾んでいくかわからないラグビーボールのようなものです。キャッチするのには相当の反射神経が必要です。その意味では也映子はいい線いっているかもしれませんね。予想がつかないカードを出してくる理人に対して、しっかり反応をして返しています。

婚活、カップル成立?

也映子は茫然として目の前の相手を見ていました。

コンタクトから眼鏡に戻して気を抜きまくって参加した婚活パーティーで、カップル成立してしまったのです。正直、どんな会話を交わしたかもあまり覚えていなかったので、びっくりしたのです。

相手の白鳥さんから、也映子が眼鏡をかけているのを気に入ったと言われ、なんとなく違和感を覚えた也映子ですが、なんとか白鳥さんのいいところを見つけ、前向きに交際に向けて舵を取ります。

ところがリハをドタキャンして行ったデートで、その違和感が無視できないほど大きくなっていきます。その様子を目撃した理人は、その後一人居酒屋で酔っ払う也映子を送りながら

「そいつ、振っていいと思う」

と告げるのでした。

也映子は白鳥さんに断りのメールを入れ、婚活を凍結し3コンの練習に励みます。

酔って理人と夜道を歩きながら、也映子はバイオリンを弾きたくてたまらなくなります。音楽が恋しい夜です。前日にも床についてからエアバイオリンを弾き、初めて音を出した時のことを思いだしていました。そのトキメキを忘れられなくなっていたのです。バイオリンが也映子の生活の中で大きな割合を占めるものになっていったのでした。

楽器を演奏する人は共感できるのではないでしょうか。最初に奏でたトキメキはまるでカーナビのように、ここから先へ、上へと連れて行ってくれるのです。そして気が付いたら楽器が手放せなくなっています。

一方理人は結愛がバイオリンには興味がなく、理人がやっているから応援しているだけと言っているのを聞いてしまいます。

そしていよいよ3人は3コン当日を迎えるのでした。

ありがとうは雨上がりの翌日のようにすべてを洗い流して

ガチガチに緊張していた也映子でしたが、演奏をはじめるとリラックスして音楽に浸れていたようです。台詞なしの絵だけの描写ですが、3人の表情でそれがわかります。息の合った、いい演奏だったのでしょう。3人はそれぞれ今日までのことを思いだしながら弾いています。

そして最後の曲の前に幸恵さんの挨拶がありました。ドラマ版で幸恵さんのエアバイオリンに感動した人続出でしたが、この挨拶も本当に泣けます。大人だからこそ、諦めたり我慢したりも多いからこその思いが溢れています。途中から也映子はウルウル、幸恵さんもついに想いがこみ上げてしまい二人でポロポロ涙をこぼすのでした。幸恵さんの挨拶は也映子と理人、多実ちゃんとお義母さんに向けた

「ありがとう」

の言葉で締めくくられます。

「ありがとう」

また、その言葉は眞於先生から3人へ贈られ、

「ありがとうございます、お幸せに」

理人から、新しい彼氏ができた眞於先生に贈られるのです。そして、也映子から

「ありがとう、私のバイオリン」


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G線上のあなたと私2巻 あらすじとネタバレ

それぞれの想いを重ねて

年末に忙しすぎたあまり、まったくブログも更新できずにいるうちにドラマも好評のうちに終了していました。そんなわけで旬を過ぎてしまった感は否めませんが、2巻のあらすじとネタバレをどうぞ。

「発表会が終わったら眞於先生に告白する」と宣言した理人に也映子は本気を感じ取り、いつものように茶化すことができないでいました。一方理人は、何かと也映子に眞於先生のことで相談を持ち掛けるようになります。

也映子は発表会を控え、何度も夢を見ます。発表会で失敗する夢、ケースを開けたら楽器がない夢etc.

三人での演奏はこれが最後になるかもしれないからこそ、悔いが残らないよう演奏にしたいという気持ちが也映子を緊張させているようです。そして迎えた本番当日、也映子の携帯に幸恵さんから連絡が入ります。

お義母さんの体調が悪く病院で診てもらったところ脳梗塞を起こしており、発表会には出られなくなったため。也映子と理人は二人でステージに立つことになりました。出番直前、理人は眞於先生に

「終わったら会える?」

と聞きますが、今はG線のことだけ考えるよう言われただけでした。

その頃病院の給湯室で一人洗い物をしていた幸恵さんは、バイオリンを構える姿勢を取り何も持っていない腕でバイオリンを弾き始めます。

ステージで弾く二人の間に、何も持たず空気を抱え込むようにバイオリンを弾く幸恵さんの姿が重なります。一番の名シーンです。

三人それぞれの思いが重なった演奏は眞於先生をして

「今までで一番よかった。」

と言わせしめたのでした。その眞於先生に理人は也映子もいる前で告白をし、速攻でふられるのでした。

「時間の無駄。」

だと。

涙と笑いと、いきなりの壁ドン

也映子と理人は打ち上げに出かけます。そこで酔っ払った理人は眞於先生にふられたことに触れ、

「也映子さんの言った通りになったね。」

と言うのでした。也映子の言う通り思い切りふられて、すっきりしたと。

そして続けて、

「也映子さん、けっこうきつかったでしょ。」

結婚するはずだった相手に突然ふられた也映子の当時の気持ちを、自分の経験を通して理解した理人の言葉に也映子は思わず感極まって涙します。希望をまったく与えないできっぱりふった眞於先生の言い方のきつさに

「あれはない。」

「だけど、あれ以上の断り方もない。」

涙が止まらなくなった也映子は泣きながら理人にバイオリンを続けよう、三人でこれからも続けようと説得します。

店を出たところで理人はバイオリンを取りに戻ります。待っている間也映子は幸恵さんに電話をし、発表会をリベンジしようと提案します。戻ってきた理人に替わるため携帯を渡す也映子に理人は

「ナンパされていなくなったかと思った。」

「今日、可愛いから。」

その言葉に也映子は勿論、電話の向こうの幸恵さんも固まります。

一方眞於先生は発表会が終わったあと、見に来ていた理人の兄と顔を合わせていました。

ミニコンサートと婚活と眼鏡

也映子は、ある日幸恵さんに

「カラオケのパーティールームでミニコンサートをやろう。」

と提案します。ピアノもあるので多実ちゃんに伴奏してもらいたい、観客は誰を呼ぼう、と盛り上がる也映子に幸恵さんはニヤニヤ笑いを隠せず

「理人とはあれからどうなった?」

と聞きます。しかし也映子は発表会後の最初のレッスンの後、理人に打ち上げの夜のこと何にも覚えていないと言われてしまったのでした。

理人は

一方理人は、眞於先生に付き合いたいと思っている相手がいるらしいことを知り、きっぱり諦めたはずが複雑な気持ちになり也映子を巻き込んでレッスンをさぼるのです。今、眞於先生の顔を見たら、相手が誰か、どんな奴か、聞いてしまって結果ますます嫌われるのだと落ち込む理人に也映子は

「あたし、婚活する。」

と唐突に告げ、さらに

「先生に聞いちゃいなよ。」

とけしかけます。それに対して理人は

「也映子さん聞いて。」

と頼み、二人は教室に戻ります。さすがに聞けるわけもなくレッスンを終えた帰り道、二人は一瞬手をつなぐのでした。

手はつないだものの一瞬で離れ、

「頑張れよ、婚活!」

「おうっ!」

と色気も何もないやりとりで理人と別れた也映子は、ある日婚活パーティーに出席していました。

結婚したい、と思ったのは本当だったのですが、婚活向けの服装で参加したにもかかわらず、相変わらずの眼鏡姿で気合が入らないまま、なんの収穫もなく婚活パーティーは終わってしまいました。

也映子は以前はコンタクトを使っていました。一方的に婚約破棄をされたあの日から学生時代に使っていた眼鏡をしたままの也映子は、まだどこか恋愛に前向きになれないでいました。そんな気持ちを眼鏡と一緒に婚活の場に持ってきてしまったのでした。

気持ちを3人でのミニコンサートに向けなおした也映子は理人とカラオケボックスで選曲をするのですが、そこに理人のバイト仲間で彼のことが好きな清水 結愛(しみず ゆあ)がやってきます。結愛から二人の選曲会議に遊びにいってもいいか聞かれた理人がOKを出したのです。

理人は結愛からの度重なるアタックにもはっきりと冷たい態度をとっていました。その理人が結愛を拒否せずに二人でいる場所に受け入れたことを也映子は、眞於先生にこっぴどく振られた理人が迷惑でしかなかった結愛の気持ちを受け入れるようになったのだと解釈し、仲よさそうな二人の様子にいたたまれなくなります。

その時偶然きたメールに

「大変、のっぴきならない用事が。」

とカラオケボックスを飛び出します。なんとなくモヤモヤするその理由を、果たして也映子は自覚しているのでしょうか。

 

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G線上のあなたと私 1巻あらすじとネタバレ 

大人からはじめるからことわかる、音楽の楽しさ

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今までご紹介してきた作品は、登場人物がほとんど楽器熟練者でした。世界を目指す天才や音楽学校の生徒、アマチュアでもライブハウスのレギュラーだったり、セッションに飛び入りできたり、少なくとも初心者ではないのです。ブルージャイアントの玉田が初心者ではありますが、大や雪祈と一緒に演っている時点で普通の初心者とはだいぶ違いますね。

今回は本当の”ド”初心者のお話を紹介します。
現在ドラマも放映中の 「G線上のあなたと私」はバイオリン教室のグループレッスンで出会った3人の物語です。これといって共通点のない、偶然同じ初心者クラスでレッスンを受けるようになった3人が次第に心を通わせていく話です。
小暮也映子(こぐれ やえこ)は25歳、結婚が決まり寿退社をしたその日に婚約者から
「好きな娘ができた。」
と婚約破棄されて現在無職です。その最悪の日にCD売り場のBGMの「G線上のアリア」を聴いて、この曲を弾いてみたいとバイオリン教室に入会したのです。
北河幸恵(きたがわ ゆきえ)は40歳、夫と娘、姑と暮らすパート勤めの主婦です。娘がピアノを習っていて、一緒に合わせることができたらとバイオリンをはじめました。一見明るい北河さんも嫌味でうるさい姑に悩まされていました。
加瀬理人(かせ りひと)は19歳、大学生、理人の兄が講師の久住真於(くずみ まお)先生と知り合いだった関係でバイオリンをはじめたと語りますが、そこにはもっと複雑な事情がありました。
毎週一回は顔を合わせる3人でしたが当たらず触らずの表面的な会話に終始していました。ところが、発表会に出ることになった3人はレッスン後、理人の提案でカラオケボックスで練習をすることになり、そこから互いのことを知るようになり距離が縮まっていったのです。
ある日のカラオケボックスで理人の兄と真於先生が元婚約者同士であること、兄は別の女性と結婚しもうすぐ子供が生まれることを知った也映子は自分と真於先生を重ね合わせ、酔いも手伝って
「あなたのお兄さんはひどい人です!」
と大泣きし自分の境遇を打ち明けるのでした。
またある日は、幸恵さんが大トラとなり姑や夫への不満をぶちまけます。幸恵さんの提案でアドレスを交換した3人のカラオケ練習は発表会が終わっても続き、也映子と幸恵さんは飲み仲間にもなります。
ある日のレッスンで、理人は突然
「個人レッスンに変更したい。」
と申し出、也映子と幸恵さんを慌てさせます。練習熱心で上達が早い理人の足を引っ張ってしまったとファミレスで幸恵さんと二人反省会をした也映子は、理人の自宅を訪ねます。
「3人でのレッスンを続けていきたい。」
と伝えるも、何となく説得になるようなならないような、関係あるようなないような言葉を並べる也映子でしたが、
「じゃ、3人で頑張りましょう。」
と何となくまとめ、理人と握手をして帰ります。
バイオリンを背負ったその後ろ姿を見送る理人は、仕事から帰宅した兄に会います。理人の兄は也映子の背負っているのがバイオリンであることから、理人が真於先生に会っているのではないかと問います。

二回目の発表会・・・G線上のアリア

早くも二回目の発表会の季節を迎えました。前回あまり乗り気ではなかった3人は、今度は

「出ます」

と即答です。他人と音楽を創っていく楽しさに目覚めたようです。3人の距離が縮まったことも作用したようです。也映子たち3人の発表曲は「G線上のアリア」也映子がバイオリンをはじめるきっかけとなった曲です。

3人は幸恵さんの娘、多実ちゃんのピアノ伴奏で練習をすることになりました。多実ちゃんはおばあちゃんにもお父さんにも可愛がられる5年生、明るくてしっかりちゃっかりしている彼女は、幸恵さんの一番の理解者であります。幸恵さんは多実ちゃんに何でも話し、その結果多実ちゃんは也映子や理人の大人の事情も知ってしまっています。多実ちゃんのピアノで合わせてみて、アンサンブルの楽しさに気づいた也映子でしたがもう一つ気づいたことがありました。

婚約破棄直後に聴いたこの曲を弾いても、弾きたいと思った気持ちはよみがえってくるけれど、その時感じた痛みはそれほどではなかったのです。

「もう一回弾いてくれる?」

と也映子が多実ちゃんに頼んだとき、明日旅行から帰るはずの幸恵さんのお義母さんが突然帰宅します。続けられる雰囲気ではなくなってしまい、練習は終わりになりました。

「あれ、絶対わざとだ。」

幸恵さんは楽しみにしていた4人での練習をぶち壊しにされて思わず涙してしまいます。

「もっと楽しかったはずなのに。」

それに対して理人は

「楽しかったよ、俺。」

と返すのでした。だから泣かないで楽しく終わろうと語り、幸恵さんも笑顔で

「楽しかった。」

と返します。そんな二人を見て也映子はなぜか、今まで経験したことのない感情を覚えるのでした。

開いた心、近づく距離

也映子は理人の心が最近開いてきていることに気づいています。幸恵さんに真於先生に出したメールの返事がこないことや、幸恵さんに「楽しかった。」と言ったことなど、仲間になってきているのを感じています。その一方で、仲間でしかないことも悟っています。

ある日、也映子と幸恵さんは理人のバイトする居酒屋に呑みにいきます。そこで也映子は思わず幸恵さんに

「あの時、たぶん嫉妬した。」

と打ち明けるのでした。自分と幸恵さんに対する理人の態度が違うことに対して、幸恵さんは

「私は対象外。あなたの方が自分にずっと近いからよ。」

「でも、嫉妬されちゃうなんてちょっと刺激的。」

と笑います。二人はお互いを初めて下の名で呼びあい、友情が一段深まったようです。

ある日、也映子は理人に

「前の彼氏をどうやって忘れられた?」

と聞かれます。それに対して也映子は、本気でつきあって本気で振られたのだから、忘れるしかなかったのだと答え、

「思い切って振られてみればいいんだよ。」

と理人を焚きつけます。理人は也映子のいう通りにする、発表会が終わったら真於先生に告って、振られたら教室も辞める、と結論を出します。

大人になってからの音楽

大人になってから楽器を習いだす人も増えているようです。子供の頃に習ってみたかったけど習わせてもらえなかった、ちょっとだけ習っていたけど受験でやめた、などの理由から「大人のレッスン」の門を叩く方も多いと思います。
大人になってからはじめてもプロになるわけでもないのに無駄な時間、とか、ピアノは3歳から、と言われているのに弾けるようになるわけない、など思ったり言われたりせっかく大人になって親の意向ではなく自分の意志だけで物事を決められるようになってもなお、思い悩んでしまうものでよね。
幸恵さんがバイオリンについても姑から嫌味を言われながら続けているように、大人ならではの事情もあります。
それでも、音楽がある生活をお勧めします。はっきり言ってしまえば大人が生きていくのはそれなりに辛いことも多いです。でもそこに音楽があるだけで同じような生活がどことなく違って感じられます。音楽を聴くだけでもいいのですが、思い切って奏でることをしてみてはいかがでしょう。
也映子と幸恵さんのように、歳の離れた友人ができるのも大人の趣味の特徴です。自分と全然違う世界の人とも知り合うことができます。仲間ができるのはとても楽しいことです。
音楽を奏でるようになると、日常で耳にする音楽も少し違った聴き方ができるようになります。新しい世界が広がるのです。
音楽でなくてもなんでも好きなことをやってみていいのです。ただこのブログは音楽ブログですから、音楽をお勧めしてしまうのですが(笑)。

まずやってみよう、お勧めの音楽教室

楽器がもらえるヴァイオリン教室
こちらの教室【EYS音楽教室】では、楽器がプレゼントされます。楽器は結構高いので、それだけでもはじめるためのハードルはだいぶ低くなりますが、こちらの教室は仲間を作ったり、バンドやセッションなどの活動に無理なくつなげることができるコースがあるのです。楽器初心者にとって、バンドやセッション、ライブなど憧れる反面、

「楽器をはじめるの遅かったから無理だ。」

「才能なんてないから無理だ。」

と思ってしまう、心理的に高い壁があるものなのです。そんな大人の初心者を徹底的にサポートして同じような仲間と一緒にバンド活動を始めることができるようにサポートしてくれます。

也映子たち3人は、偶然同じレッスン日にレッスンを受けていた3人が仲良くなって一緒に練習したり発表会に出たりするようになりました。しかし、ギターやキーボードなどは比較的仲間を見つけやすいのですが仲間探しという点でバイオリンはちょっと難しくなります。EYS音楽教室ではストリングスのグループやオーケストラなどにも挑戦できるので 仲間探しも容易になります。

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EYS音楽教室は全国展開していますが、それでも教室が近くにないという方、また時間が合わなかったりまずは一人でやってみたいという方は、独習用のDVDと楽器のセットはいかがでしょうか。DVDなのでわからない所は何度でも繰り返し見ることができます。もっとやってみたいと思ったら教室に通ってもいいですし、教室のレッスンの補助用にも使えます。

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音楽小説 蜂蜜と遠雷(上)その2 あらすじとネタバレ

蜜蜂王子と天才少女

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1次予選は異色の天才少年、風間塵の出番です。塵の天才少年との評判は既に観客にも届いているらしく、ステーイに出ると割れんばかりの拍手で迎えられました。それに16歳という年齢よりもさらに子供っぽい様子で応えてお辞儀をし、ピアノの前に座ると弾き始めます。

「何だ?この音は。」

その音に驚愕したのは審査員の一人でマサルの師、ナサニエルです。音の鳴りが他のコンテスタントとまったく違うのです。一人で弾いているとは思えない立体的な音と、観客がぎっしり入っているにもかかわらず長いリバーブタイム、通常ではありえなかったのです。塵は微笑みを浮かべ楽し気に弾いていました。その様子は塵の音楽がなんの気負いもなく自然と生まれてきたものであると示すようでした。

風間塵の演奏はここでも物議を醸し、審査員の評価は割れました。割れるだけではなく審査員の間にパニックすら与えたのです。

嵯峨三枝子は何となく風間塵の音楽がもたらすものがわかってきました。塵の音楽は心の中の一番柔らかいところに触れてくるのです。それは音楽の理想とも言うべきものだと三枝子は思うのでした。また、三枝子は最初に聞いた時ほど塵の演奏に嫌悪感を感じなくなっていました。

一方、復活がかかっている栄伝亜夜は不安のあまり居たたまれなくなっていました。自分は落ちる、一次予選で落ちるとの思いにとらわれていたのです。亜夜は奏に誘われ風間塵の演奏を聴きに客席に向かいました。塵の演奏は亜夜の不安を

「このように弾きたい。」

という思いに変えていきました。

亜夜はステージに立った瞬間から周囲の空気を変え、格が違う音楽を奏でナサニエルをして

「マサルのライバルは風間塵ではなく栄伝亜夜だ。」

と思わせたのです。

そのマサルは、亜夜を見て懐かしい想いに駆られます。実は亜夜はマサルを最初にピアノへと導いた少女だったのです。マサルは演奏を終えた亜夜に会いにひたすら会場を駆け抜けます。

「アーちゃん!」

「マーくんなの?」

二人はようやく再会したのでした。

一次予選には四人全員が通りました。ただ、風間塵の評価が割れたため一次通過ギリギリのラインになってしまったのですが。

二次予選

二次予選の目玉となる曲は、芳ヶ江国際ピアノコンクールのために作曲されたオリジナル曲「春と修羅」です。この曲のカデンツァ部分は「自由に、宇宙を感じて」と指示があるだけの即興演奏です。

亜夜はマサルと即興部分をどうするか話していた時、ぶっつけ本番の本当の即興にすると話しマサルを驚かせました。クラシックの演奏者は即興とはいっても予め譜面に起こしたものを練習して弾くことが圧倒的に多いのです。亜夜はクラシックから離れていた間ジャズやフュージョンを演っていたのです。それでアドリブに抵抗がないのでしょう。予め作って練習していった演奏では「自由に、宇宙を感じて」から外れていってしまう、というのが亜夜の主張でした。

一方明石は、カデンツァをしっかりと作りこんでいました。社会人で時間がなく、音大も卒業してしまっているため改めて当時の恩師に指導を受けるのも憚られる明石は、考え方を変えて年長者でなくてはできない解釈で「春と修羅」に挑むことにしたのです。

明石は通勤中に昔よく読んでいた宮澤賢治を読み直し、「春と修羅」の舞台となったとされている場所を見に岩手まで出かけて行ったりして自分なりのイメージを固めていきました。

その行程を経て、早く人前で弾いてみたいと感じるようになり二次予選を迎えたのです。

風間塵は客席で二次予選を聴いていました。塵は音楽の本質に体や行動が自然と反応してしまうようで(そこがこの少年の面白いところなのですが)上手いだけで面白みがない演奏だと眠ってしまい、楽しめる音楽だと自然とグルーウ”に身をまかせて揺れています。傍目には同じことに見えているのですが、明らかに塵の中では違います。

塵の唯一の師、ユウジ・フォン=ホフマンは

「音楽は現在でなければならない。」

と常々塵に伝えていました。曲が生まれた時代の背景や、曲の仕組みを知ることは大切なことだけれど、現在を生きるものでなければならないのです。

塵は高島明石の演奏を聴いて、その音の中に豊かなイメージを感じ取り気に入りました。宇宙まで感じられるイメージに驚いてもいたのです。

三枝子とナサニエルは、「春と修羅」の作曲者である菱沼忠明から、風間塵がピアノを持っていないこと、養蜂家の息子で父親と一緒に旅の暮らしをしている塵は、旅先でピアノを借りては弾いていたといいます。ユウジ・フォン=ホフマンと出会うまで、そのような練習だったという話に三枝子とナサニエルは驚愕します。

二次予選二日目、マサルは「春と修羅」を弾く夢を見ながら目覚めました。マサルは「春と修羅」で全部説明しきらない余白を表現すると決めました。そのためにどうすればいいか見つけたときに喜びを感じ、早く弾いてみたくなったのです。試行錯誤の末見つけ出した自分の「春と修羅」、その感覚を再現するためにマサルは二次予選のステージに向かうのです。そして亜夜はマサルの演奏を聴きその引き出しの多さに簡単し、「春と修羅」の宇宙に鳥肌を立てるのでした。

一次予選で風間塵が弾いた曲はこちら


映画「蜜蜂と遠雷」〜藤田真央 plays 風間塵

Piano Sonata in F Major, K. 332: I. Allegro クリックでyoutube

栄伝亜夜にこのように弾きたいと思わせ、彼女の復活の一助となった演奏がこれです。

そして亜夜の演奏はこちら。


映画「蜜蜂と遠雷」 ~ 河村尚子 plays 栄伝亜夜

淡々と進んでいくコンクールの中にたくさんのドラマがあるのですが、あらすじをまとめるのに非常に苦労しています。時間が欲しい。

下巻は映画の公開が終わってから更新しようかな。

音楽小説 蜜蜂と遠雷(上)その1 あらすじとネタバレ

芳ヶ江国際ピアノコンクール・・・4人のコンテスタント

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映画、「蜜蜂と遠雷」を公開初日に観てきました。音楽映画はやはり劇場でよい音響で観るのが一番です。映画中の音楽以外の音も堪能できます。ぜひ公開中に観ることをお勧めします。

原作小説は、芳ヶ江国際ピアノコンクール(モデルとなっているのは浜松国際ピアノコンクール)のパリオーディションシーンからはじまります。モスクワ、パリ、ミラノ、ニューヨーク、芳ヶ江の各地でのオーディションで選ばれた90名が、芳ヶ江で行われる1次予選に参加、その90名は3次予選までに12名に絞られます。そして3次予選を突破した6名が本選に駒を進めるのです。

その中のパリオーディションに、クラシックのピアニストとしてまるきり異端としか思えない16歳の少年が出場するところから物語ははじまります。移動に時間がかかり遅刻したため、順番が最後となった彼は泥だらけの手、カジュアルなシャツとパンツで現れ、立て続けに課題の3曲を弾いたのです。その演奏は他のコンテスタントとかけ離れていました。音色が、まったく同じピアノと思えないほど違っていたのです。それだけならよくあることで、よい演奏者なら同じ楽器を使っていても、同じ楽器とは思えないほどいい音を出すものなのです。しかし、この少年の音はそのレベルではありませんでした。

審査員の一人、嵯峨三枝子はその音に恐怖すら感じました。恐怖を感じつつも耳はその音を聴きたがり前のめりになっていくのです。三枝子の恐怖はやがて、なぜか怒りに変わっていきました。

少年のオーディションの合否は揉めに揉め、決定に時間がかかりました。その少年、風間 塵(かざま じん)は恐らくほとんど正規の音楽教育を受けていないであろう、その塵がオーディションに合格した理由は、三枝子が恐怖に駆られるほどの圧倒的な才能ともう一つ、塵がユウジ・フォン=ホフマンの推薦状を携えていたことによるものでした。

コンテスタントの一人、栄伝 亜夜(えいでん あや)は20歳。かつて天才少女と呼ばれ、幼い頃にCDデビューを果たし演奏活動もしていたが、13歳のときステージを直前でドタキャンします。亜夜の最初のピアノの先生でありマネージャーでもあった最愛の母が亡くなり、それから間もないコンサートで母の不在を強く実感してしまった亜夜の中から取り出すべき音楽が消えてしまったのです。

演奏活動から離れ、普通の高校生として生活するようになった亜夜の元に、母の音大時代の友人の男性が訪ねてきました。浜崎と名乗るその男性は亜夜の非凡な音楽性が今でも彼女の中に息づいているのを認め、自分が学長を務める音大に誘ったのです。クラシックの演奏活動はまったくしていなかった亜夜でしたが、音楽は今でも身近にあり好きだったため、音大進学を決めたのでした。

亜夜は身の回りの音すべてから音楽を聴くことができ、それが彼女をして天才少女と呼ばわしめた才能であったのです。

高島明石は28歳、コンクール出場年齢ギリギリの明石は音大を出た後、楽器店に勤務し教師の妻と保育園に通う息子の三人家族という異色の存在です。地に足のついた生活者の音楽を奏でる明石は常にある疑問を抱いていました。

「生活者の音楽は、音楽だけを生業とする者より劣るのだろうか。」

抜きんでた才能があるわけではない明石ですが、音楽には縁のなかったはずの祖母の耳のよさを身近に感じ、音楽は一部の天才だけのものではないと生活の中の音楽を大事にするのでした。明石の祖母は、明石や遊びにくる明石の友達の弾くピアノの音色を聴いて、性格や精神状態を言い当てるのでした。深いところで音楽を聴く人だったのです。

マサル・カルロス・レウ”ィ・アナトールはフランス人を父に、日系三世のペルー人を母に持つ、今回のコンテスタントの中で一番の注目株です。幼少の頃一時期日本に住み、その後フランス、アメリカと移り住み、現在はジュリアードに在学する19歳です。ジュリアードの王子様、との異名も持っています。マサルはその出自と成育歴から多国籍な感性と雰囲気を持ち、すでにスターとしての貫禄を身に着けていました。もちろん雰囲気だけでなく実力もずば抜けていたのです。

マサルがピアノに初めて触れたのは、日本に住んでいた時です。近所に住んでいたピアノを習っている少女との出会い、その少女とピアノの先生に耳の良さを見出されたのがきっかけでした。マサルがフランスに帰国することになった時先生はぜひピアノを習うように勧め、その言葉通りにフランスでピアノを習いはじめたマサルはたちまち頭角を現し二年後には神童として広く名を知られるようになったのです。

1次予選

一次予選がはじまりました。高島明石の演奏シーンは、明石の妻満智子の目を通して語られます。満智子は明石とは幼馴染です。研究者一家に生まれ自らも研究者を志し挫折した満智子は、音楽の道を一度挫折して再挑戦する明石に共感し応援し続けていたのです。

明石の出番の前から聴いていた満智子は、他のコンテスタントを

「みんな上手だな。」

と感じていたのですが、明石の演奏を聴き同じピアノなのに全然違う印象があることに気づくのでした。音楽とは人間性であることを、子供の頃ピアノを少し習っただけでそれ以外には無縁だった満智子をして気づかせた明石の演奏でした。その音には満智子のよく知っている明石の人柄が現れていました。

そして明石の演奏は審査員にも大きな印象を与えたのでした。音楽を聴いた感じ、という感想をもらす審査員もいるなか、嵯峨三枝子は、明石の名をしっかり覚えこんだのでした。

栄伝亜夜は、客席を占める観客のあまりに驚いていました。今日はジュリアードの王子と呼ばれるコンテスタントが出ると浜崎奏(はまざき かなで)に聞かされ、怪訝な表情を浮かべます。奏は亜夜を自分の音大に誘った浜崎学長の次女で今回は亜夜のマネージャーのような立場で同行し、何くれとなく世話を焼いています。大らかで少し天然な亜夜としっかり者で常識人の奏は相性もよく、姉妹のように付き合っています。

奏の言うジュリアードの王子様がステージに姿を現したとき、その華やかな雰囲気に圧倒されながらも亜夜は、なぜか懐かしいものを感じるのでした。王子の演奏がはじまり、他のコンテスタントとの徹底的な違い、スターの持つオーラ、まさしく王子である気品に客席も審査員席も虜になっていったのです。

一次予選最終日、亜夜の出番がやってきます。

芳ヶ江国際ピアノコンクールで実際に演奏された曲はこちら

映画、「蜜蜂と遠雷」では、4人の登場人物の演奏をその個性に合わせて違うピアニストが吹き替えをしています。


映画「蜜蜂と遠雷」〜福間洸太朗 plays 高島明石 [ 福間洸太朗 ]

明石が一次予選で本当に弾きたかったのはこの曲です。時間制限に引っかかるので諦めました。

Chopin – Ballade no. 4 in F minor, op. 52 – Kotaro Fukuma クリックでyoutubeへ


【ポイント10倍】金子三勇士/映画「蜜蜂と遠雷」〜金子三勇士 plays マサル・カルロス・レヴィ・アナトール[UCCS-1252]【発売日】2019/9/4【CD】

そして、ジュリアードの王子様マサル・カルロスの吹き替え、金子三勇士の演奏です。一次予選でマサルが弾いた曲が見つからなかったのでこちらを。

金子三勇士 – 献呈(シューマン/リスト編) S.566 クリックでyoutubeへ

長い作品なので分割します。その2へ続く。

 

 

 

BLUE GIANT10巻(ブルージャイアント)あらすじとネタバレ

最初で、そして・・・最後かもしれない

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いよいよ雪祈がSo Blueのステージに立ちます。ステージ袖で出番を待つ雪祈の胸に去来するのは、幼い頃からひたすらピアノとジャズに邁進した日々でした。突き指を恐れ体育のバスケを見学して指のトレーニングをする雪祈。一方水泳の授業では水の抵抗を使った水中でのトレーニングをする小学生の雪祈。バンド仲間はロックをやりたがりバンドを一人離れる中学生の雪祈。そして母に連れられて初めて行ったSo Blue!そのすべてを胸に雪祈はSo Blueのピアノに向き合いました。

雪祈はたちまち世界で活躍する一流のプロの力を肌で知りますが、客席にいる大は雪祈しか目に入らなくなっていました。

そして雪祈のソロ、So Blueで弾く最初の、そして最後かも知れないソロ、雪祈はそのソロで今の自分を正直に出そうと決め、それは客席中を沸かせ圧倒するソロとなります。終演後、雪祈は「出来た・・・。」とトイレで一人涙します。

21ミュージックの五十貝はJASSのCDのリリースを進めるため上司に掛け合います。先日のSo Blueのライブも聴きに行って手ごたえを感じた五十貝は、若干19歳でフレッド・シルバーカルテットのメンバーとしてSo Blueのステージに立ったピアニストという話題性も武器に説得をしたのです。ジャズ専門誌にも記事が載り、流れが一気に変わってきたある日、雪祈は平からJASSのSo Blue出演のオファーを受けます。

いつも通り熱の入った練習の後Take Twoに出勤してくるアキコさんを待ち受け、雪祈はそのことを告げます。アキコさんは

「そう、よかった。」

とクールに一言、それきり雪祈達に背を向け洗い物をするのでした。いつもぶっきらぼうで素っ気ない彼女らしい対応でしたが、実はアキコさん、背を向けたまま声もなく涙を流すのでした。

「本当におめでとう。」

と心の中で祝福します。

So Blueの平は知る限りの音楽ライターにコンタクトを取りJASSの記事を書いてくれるよう頼み、評論家にも連絡します。

21ミュージックの

五十貝も、上層部の説得に成功、いよいよ2日後にSo BlueのステージにJASSが立つという、その夜。

・・・とても意味のあるライブだった。

雪祈はいつものように工事現場のバイトに出ます。いつものようにヘルメットをかぶり交通整理しています。いつもの夜、雪祈はJASSを想っていました。

「三人だから、ここまでできた。」

「大、玉田、あいつらと組んで、本当によかった。」

そこに突然の閃光と衝撃!突っ込んできたトラックにはねられた雪祈の腕と指があらぬ方向に曲がっていました。雪祈は無事だった左手で大に電話をします。

「ライブ出られねえや・・・。」

病院に駆け付けた大と玉田は、雪祈のバイト先の人から今手術中であること、右腕が残せるかどうかもまだわからないことを聞き、その足でTake Twoに向かい練習を続けるのでした。大は、今止まってはいけない気がしているのです。

JASSのライブ当日、So Blueの入り口に向かう大と玉田を平が出迎えました。前日に大が雪祈の事故のこと、サックスとドラムのデュオでやりたいことを伝え、平はそれを了承したのです。雪祈のいないJASSのリハが淡々と続けられ、本番を迎えます。影アナは自ら名乗り出た平が勤め、そこで雪祈が交通事故で重体のため出演不可であること、今も怪我と戦っていることが告げられます。そして、JASSのライブを平自身が本当に楽しみにしていたことも明かされるのでした。その平の紹介によって、ステージに上がった二人は予想より大幅に減った観客すべてを巻き込み、ドラムとサックスのデュオという異例の形態ながら大きな感動と強い印象を残したのでした。

楽屋に戻る大と玉田を待ち構えていた平は涙をこらえきれずに二人に告げます。

「とても意味のあるライブだった。」

大は、1日も止まっちゃいけない

大と玉田は雪祈を見舞い、そこで雪祈の右手が元に戻るかどうかわからないことを知ります。ただ切断は免れたようです。さらに雪祈は二人に

「JASSを解散しよう。」

と告げるのでした。

「大は、1日も止まっちゃいけない奴だろ。」

病院を出て用があるという玉田と別れ、大は玉田の家で一人号泣します。

ある日、大が仙台に帰ってきました。仙台に着いてすぐに由井の家を訪れます。由井は

「まず吹いてみろ。」

と大の音を聴くことを求めました。

大が由井の元を訪ねたのは相談があったためです。東京での経験を話し、海外に行きたい、いろいろな国の音を吸収したいと。そのためにはどこの国がいいだろうかと由井の意見を求めに来たのです。それに対して由井はヨーロッパのある国を示唆しました。聴く側も演る側も熱く、ジャズに対して柔らかく開いている国だと。大は、その国に行くことにします。

旅立つ日、成田へ向かうシャトルバスで玉田に見送られ、成田から雪祈に電話をします。雪祈は今実家の松本で療養中です。雪祈はピアノに向かい、慣れない左手で譜面を書いていました。その雪祈に大は

「お前のピアノが好きだ。」

「お前の一番のファンかもしれない。」

雪祈は、大のその言葉に恐らく声を出さずに号泣し、

「大、行け」

と一言、告げます。そして大は旅立っていくのでした。

止まることのない大の物語は次へと続く

大の物語はこの後続編、ブルージャイアントシュプリームへと続きます。大は止まりません。So Blue出演の際、大は平を覚えていませんでした。雪祈を狙っていると勘違いしてけん制したことも何もかもです。当然「ザ・ファイブ」の森に定禅寺で会ったことも忘れています。それは決して彩花の言うように「ちっちゃい兄ちゃん、ほんとバカ。」だからではなく、前しか向いていないからですね。

ところで雪祈はどうなったのか。単行本巻末のボーナストラックには雪祈自身は出てきません。他の人のインタビューの中に雪祈の話題は出るのですが、現在の話ではないのです。

雪祈は作曲家になっているのではないでしょうか。作曲が好きだと言う台詞があり、ラストシーンも作曲しているシーンでしたから。いずれにしろ、音楽家として一線で活躍しているのは間違いないと思います。そんなことを思わせる希望のあるラストでした。

10代でSo Blueのステージに立つ。リアルブルージャイアント

雪祈が夢見ていたSo Blueのステージに10代で立つ、その夢を実際にかなえた若者を紹介して締めとしたいと思います。

2019ブルージャイアントナイト、オープニングアクトオーディションファイナリスト

Ascension

Ts.佐々木諒太

Pf.菊池冬真

B.山本修也

Dr.片山晴翔

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BLUE GIANT9巻(ブルージャイアント)あらすじとネタバレ

初めてのジャズフェス、3人で圧倒

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JASSが初めて出演するジャズフェス「カツシカジャズ」の打ち合わせからTake Twoに戻ってきた雪祈は非常に怒っています。アクトの天沼に若さだけのバンドと決めつけられた腹立ちです。雪祈は大と玉田に、アクトに勝つ!と宣言したことを話します。ビビる玉田に喜ぶ大、3人は当日に向けて走り出すのでした。ちなみに大は本当に走っています。それぞれ個人練習に打ち込む雪祈と玉田のカットの後、サックスを持たずに走り込みをする大のシーンが描かれます。以前雪祈に「強い音を出せ」と言われたときも大は走り、泳いでいました。

カツシカジャズ当日、JASSのリハを耳にした天沼の評価は徐々に「これは、ありじゃないか?」に変わっていきました。

「ピアノ、上手いな。」

「サックスは野太い音だね。」

「ドラムは、まあまあか。」

ドラム、まあまあなんですよ。So Blueの平には初心者と見抜かれてた玉田が、それから幾らもたたないうちに大や雪祈を支えるドラマーkとして「まあまあ」の評価を得るのですから、これってすごいです。

ただし、本番前までの天沼の評価は「なかなかいいバンド」まで好転したものの、やはり若い後輩バンドとして下に見る気持ちは消えないようでした。自分達が盛り上げるから失敗など気にせず演っていいと言う天沼に雪祈が再びムカつきだしたのを見た大は、天沼に元気に自己紹介と挨拶をし

「いつも通り全力全開で盛り上げます。ですので、天沼さん達も頑張ってください。」

と、挑発するのでした。

JASSのステージは大のソロではじまります。初っ端から全開で飛ばす大の音量のリハとのあまりの違いにPAさん焦りますが、音圧は下げない方向で必死にベストポジションを探ります。ステージ袖で見守る天沼の表情が変わり始めます。3分ほど続いた大のソロに雪祈と玉田が飛び込みます。そして雪祈のソロ、壁を完全に乗り越え考えないプレイをしている雪祈とノッている観客を認めた大は玉田に囁きます。

「ソロやっぺ!!」

玉田の初ソロは、バスドラのみの連打からはじまりました。熱いソロを叩き出す玉田とそれを見守る天沼の表情、観客のノリ、JASSは3人で場を圧倒したのです。曲終わりに大がメンバー紹介をします。玉田を紹介した時に、その玉田のスティックを握った手をつかみ高々と掲げたのは雪祈でした。

ステージ袖に戻ってきたJASSの3人に天沼は惜しみない拍手を送り、握手を求めステージへと出ていきます。そこで天沼は熱いプレイを繰り広げそれはアクトの他のメンバーにも伝染し、大人のプロとしての演奏で観客を沸かせるのでした。

この玉田のソロからアクトの演奏までが一話に納められていますが、一話を通して文字が一切なく絵だけで表現されています。一番音が鳴っている場面で直接的な音の表現がまったくないのです。台詞ももちろんありません。この一話、最高にかっこいいです。

次の一話で描かれる大の仙台の家族の話もとてもいいです。残された家族がそれぞれ自分の持ち場で大の話をする、それだけなのですがストーリー全体に厚みを与えています。ちなみに彩花は、由井先生にフルートを習っています。大に贈られたフルートです。

ある日、仙台から三輪舞が大を訪ねてきました。突然のことにびっくりする大に舞は

「お台場に連れて行って。」

と言います。

二人は久しぶりにデートをします。東京へ来てから一年、ジャウとバイト三昧だった大にとって初めてのお台場で案内などはとてもできませんが、お互いの近況を話しながら観光してまわります。大は、東京で色々なことがあったこと、それでも舞のことは忘れたことがないと話します。

二人は観覧車に乗ります。そこで大は舞から

「好きな人ができました。」

と告げられます。すぐには言葉を返せない大でしたが、続く舞の言葉に一年もほとんど連絡をとらず放っておいた自分を省みるのでした。

別れ際、舞は

「私、疑ったことないんだ。1ミリも。」

「宮本大が、世界一のサックスプレーヤーになるの。」

いつか、世界一の大のサックスを聴きに行くと言い残して舞は仙台に帰ります。

So Blueのステージに立つ!

舞との別れは大にとって想像以上のショックを与えました。大はそれを悟られまいと普段通りに振舞っていたのですが、大の出す音に現れていたため雪祈にも玉田にも気づかれていました。それを知った大は、気持ちがすべて伝わってしまうジャズはやはりすごい、と感じ改めて目標として

「So Blueのステージに立つ。」

と宣言します。舞との最後のデートで舞が言った

「宮本大は、昔話が似合わないね。」

の一言の通り、止まらずに突き進みジャズしか見えていない男なのです。

・・・別れて正解だわ、舞ちゃん。

JASSに可能性は残されている。

その日、雪祈はいつものように工事現場でバイト中でした。休憩中携帯が突然鳴りだし、表示された相手の名前を見て雪祈は驚愕するのでした。

「平さん So Blue」

平は緊急事態を迎えていました。So Blueでライブを二日後に控えたカルテットのピアニストが急病で倒れ来日できなくなったと連絡を受けたところだったのです。ついてはトラのピアニストを探してほしいとの要請でした。

電話を取った雪祈に平は事情を話し、出演してみないかと言うのです。ただし、JASSではなく雪祈だけだと。

雪祈はメンバーと話し3時間以内で返事をすると約束し、大の居候する玉田の家に駆け付けます。

玉田の家では大と玉田が牛乳の賞味期限のことで平和に喧嘩中でした。そこで雪祈はSo Blueから雪祈一人に出演オファーがあったことを告げます。抜け駆けだと思われてもしかたない、と話しはじめる雪祈をよそに大は玉田と二人分のチケットを入手します。

深夜のコンビニで譜面を手に入れ、徹夜で練習をして翌日昼からのリハに参加した雪祈はカルテットのメンバーにも無事

「いいと思うよ。」

と本番の参加を認められました。そして雪祈は平に頭を下げあの夜のことを謝ります。そして精一杯やるので今回自分の演奏がよかったら

「JASSに可能性は残されていると言ってください。」

と心から言うのでした。

そして、ステージははじまります。

天沼使用の機材はこれ





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RolandのJUNOシリーズです。現在は後継種のこちら、JUNO-DSシリーズに引き継がれていますが、こちらもまだまだ現役で愛されています。



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JUNOは80年代に大人気だったJUNO-106、JUNO-6といったアナログシンセから続く、Rolandの長寿シリーズです。JUNO-106は今でもオークション等で取引される貴重品です。アナログシンセとしては珍しくMIDIポートが搭載されていました。

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音楽漫画 僕のジョバンニ5巻 あらすじとネタバレ

今の彼を、俺にはどうしても放っておけない

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ある日、縁は高校の前で不審な男に出会います。彼は縁に郁未の所在を縁に尋ね、さらに縁を自らのファンだと勘違いして無理やりサインをして去っていくのでした。その不審者は皆川優、4巻で名前だけ出てきたもう一人の天才少年です。

無理やり鞄にサインをされた縁は怒り心頭で、練習場所で鉄雄相手に怒りをぶちまけます。

鉄雄は縁の怒りにはお構いなしでカルミナ・コンに向けて予選の課題曲も決まり、気合が入っているところを見せます。さらに皆川優が以前、鉄雄が金、銀該当なして銅賞をとったコンクールの有力候補だったことを思い出し、雪辱戦だとばかりますますやる気が漲るのでした。

そんな鉄雄に百合子は、ある事実を告げます。

「カルミナコンの予選の曲、郁未とかぶってる。」

「同じ曲を、橘郁未も弾く。」

偶然だな、とかわす鉄雄、百合子は続けてその場にいた哲郎に、

「郁未の元に出入りしているのは本当か?」

と聞きます。鉄雄は百合子が、哲郎が郁未に情報を流していることを疑っていると感じ、すべて偶然だ、と言い募りますが、百合子は、鉄雄と郁未の間にこの手の偶然が多いことを指摘します。公園で偶然会ったこと、鉄雄の出た東コンに郁未も出たこと。百合子は哲郎に

「お前が弁解するなら、お前の言葉を信じる。」

と言います。哲郎はそれに対し、

「郁未と会っていたのは本当だ。」

と告げます。しかし、

「郁未に鉄雄の情報を流したりはしていない。絶対に。」

とも言いました。しかし哲郎はもう一つ、鉄雄に告げることがありました。

「俺、郁未のメンタルトレーナーになろうと思う。」

「今の郁未を、俺はどうしても放っておけない。」

もう一人の天才・・・チェロとなら、どこへでも行け

鉄雄は自分がいると哲郎がやりづらいと思い、居候していた哲郎の家を出ます。自分の中の醜い感情を出してしまうことも、ため込んでおかしな方向に行ってしまうことも、両方を恐れる鉄雄。そんな鉄雄に縁はこっそり囁きます。

「誰にも言わないから、言ってみ。」

「あいつ、俺の大事なもの全部、持ってっちゃうのな・・・っていう。」

さらに続けて、醜い感情なくして音楽やるつもりだったのかよ、音楽は全部の感情を許容してくれる。

「だから私は音楽が好きだよ。」

そんな縁に鉄雄は

「俺と一緒に走って。最後まで。」

と頼み、縁は

「任せろ!」

と請け負います。それを影から見ていた百合子は密かに安堵するのでした。

百合子は鉄雄に、カルミナコンまで厳しく指導していくことを告げ、それを受け鉄雄は百合子に向かって

「宜しくお願いします。」

と頭を下げるのです。そんな鉄雄を目にした百合子の表情は我とは知らず和み、やはり蘇我百合子はこの唯一の弟子に師匠として並々ならぬ愛情を注いでいることが見て取れるのでした。

そしてカルミナコン当日、二人の天才と称される郁未と皆川優の邂逅に、参加者がざわめくのでした。橘郁未以外には眼中にないという態度を周囲に見せつける皆川に対し郁未は

「誰だ?」

と問いかけてしまい、皆川の態度にムカつきを抑えられない縁は密かに(でもないか)留飲を下げるのでした。郁未の心にあるのはあくまで鉄雄一人だったのです。しかしそれと同時に縁は、「皆川のようなタイプは強い」と見切っており、それを鉄雄に告げます。

トップバッターの皆川の演奏がはじまり、それとともに皆川の独白が流れます。無理やり習わされたピアノのレッスンから逃げ出した幼い皆川の目に映ったチェロ。その瞬間、彼はこの楽器を愛せる、この楽器となら自由になれる、なぜならチェロを愛しているから。

しかし、皆川は思ったほど自由になれなかったのです。皆川の目は郁未に向けられるようになりました。郁未となら自由になれる、そう思ったのです。

一方哲郎は、郁未のマネージャーの鷺とカルミナコンに出かけます。そこで鷺の持つ「郁未に頼まれた荷物」を目にしてしまいます。それは「東村山興信所」と名の入った封筒でした。

俺にとっての天才は、手塚鉄雄なんです。

出番待ちの縁は、皆川と再び出会います。そこで縁は皆川から

「思い出した。成田縁でしょ。僕と同じく神童と言われてた。」

と言われます。今はコンクール嫌いの縁も昔はコンクールで金賞を取りまくっていたのでした。カルミナコンには出場ではなく伴奏であると言う縁に皆川は、コンクールから逃げたと決めつけます。その皆川に縁は

「私は自分の大切なものを大切にしているだけ。」

と告げ、その場を去ります。落ち込んだ縁は鉄雄の元に行き

「死ぬのなら、どんな日がいい?」

と問いかけるのでした。続けて鉄雄は、

「もう死ぬって、どうしようもなくって、ここでおしまいってわかってたら、最後くらい笑いながらこんな晴れた日に、踊りながら死ぬのも悪くない。」

鉄雄の出番中、伴奏しながら縁は、鉄雄のそういう強さは嫌いじゃない、と思い返すのでした。そしてそれを客席で聴く郁未の表情がすべてを物語っているようだったのです。

郁未のマネージャーの鷺は、鉄雄の演奏を以前と全然印象が違う、チェリストはいろいろな表現ができてすごいと肯定的に評価しますが、哲郎はそれは鉄雄がまだ迷いのなかにいるからだと評します。身内だから厳しいという鷺に哲郎は、鉄雄を信じているからだと、自分にとっての天才は蘇我百合子でも橘百合子でもなく、手塚鉄雄だと言うのでした。

お兄ちゃんはつらいよ!

哲郎は百合子に、「お前は抱え込みすぎだ。」と言われますが、それに対して哲郎は「お兄ちゃんだからね。」と答えます。お兄ちゃんと言えばブルージャイアントの雅兄が思い浮かびます。初任給で弟の大に店で一番いいサックス買ってあげるお兄ちゃん、たった13歳で母親を亡くしてから弟妹の面倒を見てきたザ・兄貴です。哲郎は雅兄とは違って、自分もチェロをやっていて今も音楽家のサポートを生業としているだけあってその目は厳しいです。ただ、厳しい分確かな目で鉄雄の将来を信じているようです。さらに、郁未のメンタルトレーナーとなることである意味鉄雄の敵側についてしまった哲郎は、郁未に対してもお兄ちゃんなのですね。もっとも郁未はそれをまったく認めていませんが。

気分はグルービーの憲二と大将もお兄ちゃんですが、妹のかおりと麻美は兄貴を完全に舐めてるからな。

タランテラ

鉄雄と郁未がカルミナコンで弾く曲、ダーウ”ット・ポッパーの「タランテラ」

タランテラ自体はイタリアの舞曲で、ダーウ”ット・ポッパーのタランテラは鉄雄が縁と演るならこの曲、と選曲したものです。

D.Popper – Tarantella/Daniil Shafran (1950) クリックでyoutube

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ポッパー:タランテラ



夜間でも安心のサイレントチェロ

連載再開!フラワーズ3月号は1/28発売


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BLUE GIANT8巻(ブルージャイアント)あらすじとネタバレ

全力で自分をさらけ出す

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雪祈は人を探しています。顔しか知らない人です。JASSがライブを演っている店を回って、その人が来たら教えてもらえるよう頼んでいます。その人に会わないと、始まらない何かが雪祈にはあるようです。

ある夜、雪祈はいつものように工事現場の誘導のバイトをしています。そこで、その人らしい人を見つけるのでした。その人は豆腐店の名前が入った軽トラに乗っていました。雪祈はバイトを終えてから地図アプリを頼りにその豆腐屋を訪ねます。たどり着いたのは深夜1時過ぎ、それから2時間ほど待って店のシャッターを開けた人は、雪祈の探していたその人でした。

まだ寒い早朝から黙々と仕事をするその人を雪祈は見つめています。

「こういう人が、JASSのライブを聴きに来てくれている。」

その人は、先日雪祈がライブ後にサインを断った男性でした。仕事が一段落するのを見計らい、雪祈は男性に声をかけ、自分のサインを渡します。

「次はもっと、いい演奏しますので。」

そういって頭を下げるのでした。

雪祈はSo Blueの平に言われた言葉が心底堪えていました。本当のソロができないこと、音楽以前に人として駄目であることを突き付けられ、自分を変え本当のソロを演りたいと思います。その一歩として無下にサインを断った男性にサインを渡し、次のもっといい演奏を約束しないと始まらなかったのです。

雪祈が悩んでいるらしいことは、始終一緒に合わせている大や玉田にも伝わっています。雪祈は何かを言ったわけではありませんが、音で伝わってしまうのです。

雪祈は、自宅を酒を持って訪ねてきた大に

「俺のソロ、どう思うよ。」

と聞きます。その雪祈の問いに大は

「話になんねえな。」

「俺はサックスを吹く時はいつでも、世界一だと思って吹いてる。」

「次元が違い過ぎて話になんねえ。」

と、ざっくり切り捨てるのでした。

しかし、大は雪祈を信じていたのです。

壁を破れなければそこで終わり。でも、あいつは破る。

So Blueの平は悩んでいました。仕事でブッキングした大物プレイヤーは昔の面影はなく、客の入りも今一つ。本人にもやる気は見られません。落ち目であることもわかっていない様子です。

平は雪祈に言い過ぎたと後悔するのです。仕事の合間にセミプロのバンドを何バンドか聴いてみて、JASSは面白いバンドだったと思い返します。面白いと思ったからこそ、率直過ぎることを言ってしまったのです。

ある日、平は立ち寄ったライブハウスで大を見かけます。途中で退席した大を追い、声をかけます。平は肩書を隠し、JASSのライブを聴いたこと、一杯奢らせてほしいと大に申し出ます。ところが、そこで少々おかしな誤解が生じてしまうのです。

平が大を連れてきた行きつけのスナックのママが心だけ女性のトランスジェンダーの男性であったことで、大は平がゲイだと勘違いします。

平は気になっていた雪祈の近況を聞きます。そこで大は、平が雪祈を狙っていると思い込み、

「雪祈は彼女いますよ。100人、いやもっと、メチャメチャモテるんで、女に。」

勘違いなのですが、大なりに雪祈を守るつもりで滅茶苦茶なことを言います。ここは妹の彩花じゃありませんが

「ちっちゃい兄ちゃん、ほんとバカだ!」

と言いたくなりますが、勿論平はそんなことは言わず、それどころか気にも留めず

「ピアノ、弾いてる?」

と聞きました。大は、今雪祈が大きな壁に突き当たり苦しんでいることを話します。

「壁を破れなかったら終わりです。」

誰も助けられない雪祈の悩みを思っての言葉です。

「でも、雪祈は破るでしょうね。」

大は別れ際、いつか必ず、JASSでSo Blueに出演するから見に来てください、と平に言います。

そんなある日のライブ、雪祈はまだ苦しんでいます。どうしても手グセのフレーズやコード進行の枠組みの中で考えたフレーズしか出てこないのです。平と会ってから数週間、練習しても練習しても自分をさらけ出すソロが弾けないのです。ダメであることに失望しながら自分のソロを終え、大に渡します。

ところが、大は吹きません。吹かないどころかサックスから手を放し、腕組みしてしまいます。次も雪祈のソロです。雪祈は渾身のソロを弾きます。考えるな、考えるな!

これでどうだ?と大を見ますが、大は相変わらずサックスから手を放したまま雪祈を煽ります。もうやるしかない袋小路に追われた雪祈のソロが再び続きます。両手でのワンノートの連打からはじまるソロ、考えずに自分をさらけ出している様が、絵だけで伝わってきます。そこに大の掛け声と観客の歓声、そして大のソロが割って入ります。玉田はその雪祈のソロが今までで一番良かったと感じながらサポートするのでした。

もっといい音が出るように

雪祈の最高のソロ、そのライブを観に来た人が楽屋に訪ねてきました。21ミュージックの五十貝と名乗るその人は、ジャズの時代が終わったと言われている今、ジャズを売ろうと思っていると言い、通るかどうかわからないがCDリリースの企画に出すからとJASSの音源を求めるのでした。

五十貝は21ミュージックのジャズ部に所属し、ジャズを売ろうと奔走していますが、力を入れたミュージシャンのCDでさえ初版1,500枚しかリリースできず、上からはジャズはわかりにくく売れないからリスクのない音楽を求められています。それでも負けずに日々戦い続けます。

雪祈はCDリリースが月旅行だとしたら、五十貝の話は熱海や品川までで月には遠すぎるというのですが、大は

「月まで行こうぜって言いに来たんだべ、あの人は。」

と、ほんの少しでも月に近づいたことを示唆します。

年末になり、冬休みを迎えた雪祈と玉田はそれぞれ実家に帰省します。一人になった大はバイト代も入り少しだけリッチな年末年始を過ごせることになる・・・はずでした。

サックスのメンテナンス代を払ったあとの全財産の入った財布を落とし、の日々を送るはめになるのでした。大晦日もいつもの練習場所でひたすら練習する大のもとに、家族からの電話が入ります。

一人で迎えた新年、大は通りかかった神社で初詣をします。次にバイト代が入るまでの残り少ない財産から100円を賽銭箱に入れて

「もっといい音が出るように。」

と祈るのでした。

うちのテナーを見れば、全部わかるんで

冬休みも終わり、雪祈も玉田も東京に戻ってきて再び練習の日々です。

そして、JASSに初めてジャズフェスの出演依頼がきました。町おこしとして開催される小さなジャズフェスですが、メインの出演者が名の通った「アクト」というバンドで、JASSの出番はアクトの直前です。

出演者の説明会と親睦会を兼ねた集まりに参加するため、雪祈は柴又駅に降り立ちます。ジャズフェスの名前はカツシカジャズ。葛飾区で実際にジャズフェスをやっているかどうか調べてみましたが、見当たらないようなので架空のジャズフェスの模様です。

会場にはアクトのピアニストの天沼がいて、雪祈に声をかけてきました。天沼は評論はラジオ等でも活動している著名なピアニストです。

雪祈はJASSをカツシカジャズに推薦したのは天沼だと知りますが、どこでJASSのライブを観たのか聴くと天沼は

「聴いたことはない。」

と答えるのです。知り合いに若くて元気のいいバンドを教えてもらった、それがJASSだったというわけでした。

少し鼻白む雪祈でしたが、天沼はJASSはどのような音楽をやっているか問い、「オリジナル中心のジャズ。」と答える雪祈に続けて、それだけでは曖昧すぎて何も伝わらない、アクトはジャズを数少ないジャズファンに届けるため幅広い活動をしてマイナーなジャズが受け入れられる努力をしてきた。JASSは何を伝えようとしているのだ、と畳みかけます。言っていることは正論ではありますが、JASSを若さだけのバンドと蔑んで絡んでいるようにも見えます。

それに対して雪祈は、

「一人でも多くの人に自分たちの音楽を聴いてもらうために出演する。」

と返し、

「うちのテナーを見れば、全部わかるんで。」

そう言い残し会場を去りました。

それにしても玉田の成長っぷりときたら

8巻は雪祈り中心に話が進んでおり、その分主人公である大の影がなんとなく薄いのですが、玉田の成長が地味にすごいのです。初心者ですから伸びしろは当然たっぷりあるのですが、雪祈のソロを聴いて「苦しそう」と思いながら叩いたり、また雪祈が壁を破ったライブでは「今までで一番よかった。」と感じたり、音をしっかり聴きながら叩いているし、音の裏側にあるものも感じ分けています。

努力が実っていることもありますが、大の音を聴いてまったく縁のなかったジャズをやってみたいと思うあたり、ジャズと相性がよく耳もよかったのだと思います。

玉田は大や雪祈のようにジャズプレイヤーとして生活していこうとは思っていません。いずれは大学に戻り就職するつもりです。そのうえで今はドラムに打ち込む(ドラムだけに)ことに決め大学を留年させてほしいと親を説得するために年末に仙台まで帰郷します。

ブルージャイアントの各巻には巻末に「bonus track」というサイドストーリーが掲載されています。その大半が恐らく世界を股にかけるサックスプレイヤーとなった大の無名時代の縁の人のインタビューという形式になっています。インタビューを受ける人の職場や自宅等でのインタビューです。

玉田は7巻に出演します。会社の会議室のようなところで、玉田はジャケットにノーネクタイというソフトカジュアルで出てきます。自由な雰囲気の業界に就職したようです。音楽関係の可能性もありますね。もしかしたら21ミュージック?などと思ってみるのも楽しいです。

玉田が8巻でスティックを購入したのがこちら。楽器の事なら石橋楽器!

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BLUE GIANT 7巻(ブルージャイアント)あらすじとネタバレ

JASS!初ギャラいただきました!

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6巻の最後で、JASSのステージに飛び入りした日本を代表するジャズギタリストの一人、川喜田 元(かわきた もと)に客席もざわめくのですが、なんと大は川喜田を知りませんでした。川喜田の選んだ曲はジョン・コルトレーンのインプレッションズ。ギターではなくサックスの曲を選んだことで川喜田が本気で勝負に出たことを悟る雪祈は、大に「負けるな。」と告げます。

観客は川喜田のソロに盛り上がり、川喜田の正体を知らない大もその熱いプレイに引きつけられます。セッションが終わったあと、川喜田は雪祈にはまた勝負しに来ると言い、大には名前を聞きます。覚えておくから頑張れ、と告げるのでした。そして玉田にも「ありがとう。」と声をかけます。

大は雪祈との会話のなかで、川喜田とは思う存分できたと話します。そこで雪祈に

「玉田はどうだった?」

と聞かれ、初めて玉田のドラムを気にせず演ることができたことに気づくのでした。

川喜田がSNSでつぶやいた影響もあったのか、JASSの3度目のライブは小さなライブハウスをほぼ満席にしていました。終演後、観客に囲まれる大と雪祈を目の当たりにしながら、自らの手の豆を見つめる玉田。その玉田に声をかけたのは初回からライブを見に来ている紳士でした。

「僕は成長する君のドラムを聴きに来ているんだ。」

「君のドラムはどんどんよくなっている。」

とかけられた言葉に玉田は密かに涙するのです。それは明らかに先日、橋の上で流した涙とは違うものでした。

そしてこの日、JASSに初めてのギャラが入ったのです。一人一万円ずつ分けたギャラを三人はそれぞれ思い思いの使い方をするのでした。

玉田は教則DVDを購入します。以前は初心者向けの教本を買ったのですが、今度は上級者向けです。さらに通っている音楽教室の先生にビールを買います。

雪祈は花屋で5千円分の花束を二束買います。一束は実家の母に、もう一束はTake Twoのアキコさんに贈るためです。雪祈はアキコさんに、自分たち三人からだと言って花を渡します。

そして大は、女物の服やら靴やらを見て回っています。しかし、贈る相手のサイズすらわかっていません。さんざん迷った大が選んだのは、楽器屋で一番安いフルートでした。もらったギャラに自分で自由に使えるギリギリのお金を足して買ったフルートは、仙台の妹、彩花に届けられます。かつて雅兄は大に、店で一番高いサックスを贈りました。大は、雅兄にプレゼントをするのではなく自分より下の妹にフルートを贈るのでした。長兄から弟へ、次兄から妹へ、順繰りに贈られるのです。

大が彩花に贈ったフルートはこれかな?クリックで購入できます。



ゴールがない世界の幸せ

大はライブの時、一瞬だけ音と自分がつながったソロを吹くことが増えてきています。ただそれは一瞬だけで、つながっていたいのにすぐに離れてしまうことがほとんどです。大は、一流のプレイヤーは皆、音と自分がつながり無意識で吹いていることに気づいています。それが自分には一瞬しかおとずれないのです。スキルの問題か気持ちの問題かはわかりません。

雪祈も大が時々無意識の「自動演奏モード」に入ることに気づいています。それは雪祈にはまだ訪れたことのない瞬間です。

ここで、サックス、ピアノ、ベース、ドラムのカルテットが登場します。彼らのバンド名は「ザ・ファイブ」メンバーが一人抜けたばかりの、元はクインテッドだったようです。仕事はそれぞれ別に持っているものの、ギャラをもらえるライブをするセミプロで、メジャーデビューを目指しています。

以前は山ほどあった情熱は結成10年で少しずつ削られ、生活に追われるようになっていますが、サックスの森は自分たちには変化が必要だ、と思っています。

森は音源をレコード会社に持ちこみますが、年齢も30代半ばになるザ・ファイブは音源すら聴いてもらえず門前払いです。

その森のところに川喜田から電話が入ります。川喜田はJASSを聴きに行くように森に伝えます。損はさせないから、と川喜田は言いますが、森はJASSが10代の若者で構成されているバンドであることを知り、聴きに行くことに抵抗を示します。

それでもピアノの阿川に連れられJASSのライブに来た森は大を見て

「あいつ、知ってる。」

と言い出します。以前、ザ・ファイブが定禅寺ストリートジャズフェスティバルに出演したとき、客席でひときわ元気に乗りまくっていたのが大でした。その大に乗せられて森は長々とソロを吹きまくり、結局一曲削ることになったのでした。さらに、演奏を終えた森達がサックス一本の音に惹かれて駆け付けたところ、そこで吹いていたのは先ほどの高校生、大だったのです。森は久しぶりに聴いた大が腕を上げていることに気づきます。

JASSのライブが終わったところで、森達は川喜田の紹介だと言って大達に声をかけ呑みに誘います。そこで森は大に、

「お前はこれからどうなんの?」

と問いかけます。大は、

「JASSで武道館と東京ドームを満員にする、世界中をツアーで回る、グラミー賞も取る。」

「そのためには、毎日出し切らないと、オレの持ってる全部を出し切らないと。」

「だって、幸せじゃないすか。今までたくさんのプレーヤーがいたけど、、ゴールについた人間は誰もいないんすよ。」

「ゴールがない世界でずっとやり続けられるなんて、最高に幸せじゃないすか。」

先ほどまで雪祈に「才能がない。」とやり込められていたザ・ファイブでしたが、森はその言葉にうっすら涙を浮かべるのでした。

そして、ある日の小さなライブハウス、少ない客の前で演奏するザ・ファイブの姿がありました。

So Blueのステージに立ちたい!

雪祈の夢は10代のうちにSo Blueのステージに立つこと。そのための準備に余念がありません。JASSにも固定ファンがつき、一定の集客が望めるようになった頃、雪祈は川喜田の自宅を訪ねます。用件はズバリ

「どうしたらSo Blueのステージに立てるでしょうか。」

と直球です。それはいくらなんでも舐めた考えだ、という川喜田に対し、死ぬほど憧れているSo blue を舐めたことは一度もないと真剣な気持ちを伝え、結果川喜田からSo blueのスタッフに雪祈に連絡するよう伝えるという返事を引き出しました。

それから2週間ほど後、So blueの平と名乗る人物からメールが来ます。雪祈はSo blueでのライブを切望していること、一度自分たちのライブを聴いてほしいことを訴えます。最初にメールが来てからさらに2週間後、ついにSo blue平がJASSのライブを聴きに来ました。

雪祈は大と玉田には何も告げず、「今日もマックスで頼む。」とだけ言います。終演後、平から雪祈にライブハウスの近くのバーにいるとメールが入り、バーへと急ぐ雪祈はファンの男性からサインを頼まれるも断って、平の待つバーへと急ぎます。

平と初めて会った雪祈は挨拶もそこそこにJASSの印象を聞きます。それに対して平は、ドラムは初心者で技術不足だが、一生懸命で好感が持てる。サックスは独特で音に強さ、太さがあり面白い。彼の将来は気になる。さらに平は雪祈に対し、

「君、全然だめだ。」

「君のピアノは鼻につく、つまらない。」

「君、バカにしてないか?バカにしてないとしたら、なぜ本当のソロをやれてない?」

「全力で自分をさらけ出す、それがソロだろ。」

何一つ言い返せないでいる雪祈に向かって平はさらに、雪祈の態度を横柄で人をバカにしていると一刀両断にし、今回の話はなかったことにすると言い残しバーを出て行ったのでした。

雪祈は夜道を一人、平の言葉を反芻しながら歩きます。

「普通、言うか?」

「あそこまで、言ってくれるか?」

「あの人、いい人だな。やっぱスゲエな、この店」

雪祈は歩きながらいつも間にかSo Blueの前まで来ていたのでした。

頑張れ雪祈

と言いたくなる7巻でした。雪祈は小出しにされるエピソードからもわかるように、本当は素直で心優しい子ですが、若さの持つ未熟さとジャズの情熱の故の尖がった面もあり、それがしばしば廻りと軋轢を起こすこともあります。今回もザ・ファイブのメンバーと一発触発の雰囲気にもなりました。雪祈は傲慢な態度を取ることで自分の弱さを隠している面もあると言えます。ところが弱さを隠すことで、平に指摘された自分をさらけ出せないソロしかできないようになってしまったのでしょう。平の言う、「音楽をばかにしている。」というのは、雪祈の傲慢さ、不遜さの奥に隠れている弱さ、素直さ、優しさも音楽に漏れてしまっているのに、隠しきれていると思っているところでしょう。音楽はそんなに甘くはない、音楽に向き合って嘘をついていられるわけはない、だから思い切って自分をさらけ出しなさい、そういう意味ではないでしょうか。

一方大は、そのような屈折はありません。大の音が太く強いのは大の内面の現れで、その強さ故に真っすぐ純粋でいられるのです。あまりにも真っすぐで迷いがないため、今後主人公としては少し影が薄くなるかもしれません。けれども今後大は世界で活躍するミュージシャンになるのはボーナストラックを読んでも明らかです。世界で通用する大きさの器の持ち主だからこそ、純粋でいて大丈夫なのでしょう。

廻りがどれほど嘘をつこうと、ミュージシャンは、いや表現者は自分の表現において嘘は許されないのです。頑張れ雪祈!

7巻に登場の曲はこちら


インプレッションズ
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Take Twoでのリハ前に雪祈が一人で弾いていた曲

Tom Waits – Grapefruit Moon クリックでyoutubeへ

大が電車の中で出会ったおじさんは、500円玉貯金で買ったトランペットを大事に持っていました。その根性に惹かれ音を聴いてみたくなり、おじさんの個人練習についていきます。そこでおじさんが吹いた曲がこれ。

Blue Mitchel – I’ll close my eyes クリックでyoutubeへ

ちなみにおじさんが買った「相棒」はこちら

おじさんが500円玉貯金で買った相棒 購入は画像をクリック

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