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沢辺 雪祈(さわべ ゆきのり)18歳 担当パート、ピアノ
take2のアキコさんに教わったライブハウスで、大はピアニストの沢辺雪祈と出会います。一曲通して左手だけで弾き通し大の心を強く動かした雪祈は、大の右手の親指にできているタコを見てサックス吹きであることを看過し、さらに大の年齢を聞き
「一緒に組まない?」
と誘いをかけるのでした。雪祈の野望は、10代の若いプレイヤーで東京の音楽シーンの先頭に立つこと。そして、長らく日本のジャズ界でプレイするベテランミュージシャンにわからせてやるのだと大に語ります。
「あいつらがどんだけジャズをダメにしてきたか、あいつらのせいでジャズが負け続けてきたんだっつーのを・・・。」
そう言う雪祈の言葉を遮るように大は言います。
「ジャズを好きな人たちがいるから、今日もまたジャズがある。」
他の人がどう思うかより、自分しか出せない音を出すことに、必死だと。
生意気で傲慢、しかし心根は優しい雪祈と真っすぐでスケールが名前の通り大きく、とんでもない可能性を秘めた大、二人の才能ある若者の最初の出会いでした。
雪祈に連れられて行った日本屈指のライブハウス「So Blue」(モデルはBlue Note Tokyo)の立見席で、週三回通っているという雪祈が、ライブの音に合わせて一心に手すりを「弾いている」のを見た大は、
「雪祈、組もう。」
と言います。
3年間、どんだけやってきたんだ・・・
工事現場で誘導のバイト中の雪祈の元に、大から電話が入ります。サックスがメンテナンスから戻ってきたので、自分の音を聴いてほしいとの電話でした。バイトを終えた雪祈はTake Twoに向かいます。そこで雪祈は、大のサックス歴が3年であること、ブラバン部員ですらなくバスケ部であったことを知り、密かに軽くみるのでした。
大はピアノを弾こうとした雪祈を押しとどめ、
「オレ一人で吹いても、ヘタかどうか雪祈なら分かるべ?」
「一緒にプレーするのは、組んでからでいいんだべ。」
そういって一人でプレーし始めます。
吹き終わった大を、雪祈は何も言わずに帰します。そして、Take Twoのカウンターで一人涙するのでした。
大の音に心を揺さぶられた涙でした。才能と・・・努力に、感動したのです。
「たった3年で、どれだけ努力したんだ。」
雪祈は努力家です。口でも相当のことを言い、自信家でもありますが、それには才能だけでなくそれ以上の努力の積み重ねという裏付けがあってのことでした。その雪祈を、大の音は完全に打ちのめしたのでした。そして、その大の努力に感動する雪祈の努力も凄まじいもので、その雪祈だからこそわかるものでもありました。
ドラムは車。ドライブさせてくれる才能あるドラマー、急募!
大は雪祈からOKの返事をもらい、二人は一緒にやることになります。大は雪祈が大の音につき抜かれてしまったとを知りません。雪祈はあくまで、「合格」とだけ伝えたのです。
雪祈はリズムセkション、それもまずドラマーが必要だと言います。ドラマーの必要性がいまいちわかっていない大に、雪祈は
「ドラムは車だ。」
と言うのでした。ドラムは車、いいジャズドラマーはレーシングカーでも高級車でもスポーツカーでもトラックでも、すべての車になることができ、乗せている上物プレイヤーの音に瞬時に反応する耳を持っているのが才能あるドラマーだと。
大の家主である玉田は高校の時からサッカー部で、大学に入ってもサークルでサッカーをやっています。しかし玉田はサークルのサッカーの緩さに物足りなさを感じていました。。
勝手に玉田のアパートに上がり込み、決起集会を繰り広げ熱くジャズを語り合う大と雪祈に何かを感じた玉田は、サークルを辞めました。その足で、川原で一人練習する大の元に行きます。大は玉田に木の枝と空き缶を渡し、リズムを出してもらいます。玉田の叩くリズムで一心に吹く大を見る玉田の脳裏には、かつて全力で打ち込んでいた高校のサッカー部がよみがえります。一方大は、玉田の天性のリズム感に気づきます。玉田は自分にドラムができるのだろうかと大に問い、大はそんな玉田を雪祈の元に連れていき
「ドラマーの玉田君です。」
と紹介するのでした。勿論、雪祈は大反対です。押し切った大が玉田に叩かせてのセッションですが、初めてドラムに触った玉田は当然ついていけません。雪祈は玉田を帰し、素人とはやれない、自分たちには時間がない、と大に告げます。雪祈の夢は10代のメンバーでSo Blueのステージに立つこと。18歳の雪祈には残された時間は本当にわずかなのです。ジャズの高い敷居をまたいで越えてきた奴としか組めない、そう雪祈は言うのでした。
それに対して大は
「なら、オレもだ。」「ジャズの敷居、見たこともまたいだこともねえっちゃ。」
ドラマー 玉田俊二 ドラム歴4日
玉田が帰ってから4時間ほど雪祈とセッションした大が帰宅すると、玉田は毛布をかぶってバケツを叩き続けていました。それを見た大は
「やりてんだから、いいじゃんな。」
とつぶやくのでした。
玉田はさらに電子ドラムを購入し、教本を見ながら練習をはじめます。そしてドラム教室の体験レッスンにも参加します。玉田の生活はわずかな間にドラム一色に変わりました。
ちなみに玉田購入の電子ドラムは多分これ。作中でYAMAHAの箱で届けられています。値段も一緒。
一方雪祈は、大学のジャズ研の同期のドラマー、上野を連れてきます。雪祈は玉田に、上野と玉田とどちらが上か玉田自身で決めろといいます。
大、雪祈、上野の三人のセッションがはじまりますが、大は雪祈のいうドライブさせてくれる車を上野に感じません。雪祈の求める反応のよさもなく、ついていくのがやっとでした。上野もすぐにそれを悟りサークルに戻っていきます。
玉田はそのあと、雪祈に止められながらもドラムの前に座ります。習ったばかりの8ビートでセッションが始まります。
セッション後に玉田とはやれない、という雪祈に対して大は、それが一番簡単だ。だからジャズがダメになるのだと言い放つのでした。
「オレは上手くても下手でも、感動できればいい。」
雪祈は玉田に今は正式なメンバーにはできないけど、練習には好きなだけ来ていいと言います。ドラマー、玉田俊二の誕生です。
So Blue・・・Blue Note Tokyo
雪祈の憧れのライブハウス、So BlueのモデルになっているのがBlue Note Tokyo。
言わずと知れた日本のジャズクラブのトップに位置する名門です。ただSo Blueのように安い立見席はありませんので、雪祈が週3回通い続けるのは無理な気がします。
そのBlue Note Tokyoのステージに最年少で立ったのがLittle Glee Monster。MTV Unpluggedの公開録画でのことでした。2018年6月のことなので、ブルージャイアント5巻の本誌掲載時には10代のミュージシャンはまだいなかったことになります。
果たして雪祈の夢は叶うのか、これから先明らかになります。
Blue Note Tokyo
雪祈は「音楽教室なんか行くな」と独白するのですが
9巻はこちら
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