2019年 10月 の投稿一覧

音楽小説 蜂蜜と遠雷(上)その2 あらすじとネタバレ

蜜蜂王子と天才少女

購入は画像をクリック

1次予選は異色の天才少年、風間塵の出番です。塵の天才少年との評判は既に観客にも届いているらしく、ステーイに出ると割れんばかりの拍手で迎えられました。それに16歳という年齢よりもさらに子供っぽい様子で応えてお辞儀をし、ピアノの前に座ると弾き始めます。

「何だ?この音は。」

その音に驚愕したのは審査員の一人でマサルの師、ナサニエルです。音の鳴りが他のコンテスタントとまったく違うのです。一人で弾いているとは思えない立体的な音と、観客がぎっしり入っているにもかかわらず長いリバーブタイム、通常ではありえなかったのです。塵は微笑みを浮かべ楽し気に弾いていました。その様子は塵の音楽がなんの気負いもなく自然と生まれてきたものであると示すようでした。

風間塵の演奏はここでも物議を醸し、審査員の評価は割れました。割れるだけではなく審査員の間にパニックすら与えたのです。

嵯峨三枝子は何となく風間塵の音楽がもたらすものがわかってきました。塵の音楽は心の中の一番柔らかいところに触れてくるのです。それは音楽の理想とも言うべきものだと三枝子は思うのでした。また、三枝子は最初に聞いた時ほど塵の演奏に嫌悪感を感じなくなっていました。

一方、復活がかかっている栄伝亜夜は不安のあまり居たたまれなくなっていました。自分は落ちる、一次予選で落ちるとの思いにとらわれていたのです。亜夜は奏に誘われ風間塵の演奏を聴きに客席に向かいました。塵の演奏は亜夜の不安を

「このように弾きたい。」

という思いに変えていきました。

亜夜はステージに立った瞬間から周囲の空気を変え、格が違う音楽を奏でナサニエルをして

「マサルのライバルは風間塵ではなく栄伝亜夜だ。」

と思わせたのです。

そのマサルは、亜夜を見て懐かしい想いに駆られます。実は亜夜はマサルを最初にピアノへと導いた少女だったのです。マサルは演奏を終えた亜夜に会いにひたすら会場を駆け抜けます。

「アーちゃん!」

「マーくんなの?」

二人はようやく再会したのでした。

一次予選には四人全員が通りました。ただ、風間塵の評価が割れたため一次通過ギリギリのラインになってしまったのですが。

二次予選

二次予選の目玉となる曲は、芳ヶ江国際ピアノコンクールのために作曲されたオリジナル曲「春と修羅」です。この曲のカデンツァ部分は「自由に、宇宙を感じて」と指示があるだけの即興演奏です。

亜夜はマサルと即興部分をどうするか話していた時、ぶっつけ本番の本当の即興にすると話しマサルを驚かせました。クラシックの演奏者は即興とはいっても予め譜面に起こしたものを練習して弾くことが圧倒的に多いのです。亜夜はクラシックから離れていた間ジャズやフュージョンを演っていたのです。それでアドリブに抵抗がないのでしょう。予め作って練習していった演奏では「自由に、宇宙を感じて」から外れていってしまう、というのが亜夜の主張でした。

一方明石は、カデンツァをしっかりと作りこんでいました。社会人で時間がなく、音大も卒業してしまっているため改めて当時の恩師に指導を受けるのも憚られる明石は、考え方を変えて年長者でなくてはできない解釈で「春と修羅」に挑むことにしたのです。

明石は通勤中に昔よく読んでいた宮澤賢治を読み直し、「春と修羅」の舞台となったとされている場所を見に岩手まで出かけて行ったりして自分なりのイメージを固めていきました。

その行程を経て、早く人前で弾いてみたいと感じるようになり二次予選を迎えたのです。

風間塵は客席で二次予選を聴いていました。塵は音楽の本質に体や行動が自然と反応してしまうようで(そこがこの少年の面白いところなのですが)上手いだけで面白みがない演奏だと眠ってしまい、楽しめる音楽だと自然とグルーウ”に身をまかせて揺れています。傍目には同じことに見えているのですが、明らかに塵の中では違います。

塵の唯一の師、ユウジ・フォン=ホフマンは

「音楽は現在でなければならない。」

と常々塵に伝えていました。曲が生まれた時代の背景や、曲の仕組みを知ることは大切なことだけれど、現在を生きるものでなければならないのです。

塵は高島明石の演奏を聴いて、その音の中に豊かなイメージを感じ取り気に入りました。宇宙まで感じられるイメージに驚いてもいたのです。

三枝子とナサニエルは、「春と修羅」の作曲者である菱沼忠明から、風間塵がピアノを持っていないこと、養蜂家の息子で父親と一緒に旅の暮らしをしている塵は、旅先でピアノを借りては弾いていたといいます。ユウジ・フォン=ホフマンと出会うまで、そのような練習だったという話に三枝子とナサニエルは驚愕します。

二次予選二日目、マサルは「春と修羅」を弾く夢を見ながら目覚めました。マサルは「春と修羅」で全部説明しきらない余白を表現すると決めました。そのためにどうすればいいか見つけたときに喜びを感じ、早く弾いてみたくなったのです。試行錯誤の末見つけ出した自分の「春と修羅」、その感覚を再現するためにマサルは二次予選のステージに向かうのです。そして亜夜はマサルの演奏を聴きその引き出しの多さに簡単し、「春と修羅」の宇宙に鳥肌を立てるのでした。

一次予選で風間塵が弾いた曲はこちら


映画「蜜蜂と遠雷」〜藤田真央 plays 風間塵

Piano Sonata in F Major, K. 332: I. Allegro クリックでyoutube

栄伝亜夜にこのように弾きたいと思わせ、彼女の復活の一助となった演奏がこれです。

そして亜夜の演奏はこちら。


映画「蜜蜂と遠雷」 ~ 河村尚子 plays 栄伝亜夜

淡々と進んでいくコンクールの中にたくさんのドラマがあるのですが、あらすじをまとめるのに非常に苦労しています。時間が欲しい。

下巻は映画の公開が終わってから更新しようかな。

音楽小説 蜜蜂と遠雷(上)その1 あらすじとネタバレ

芳ヶ江国際ピアノコンクール・・・4人のコンテスタント

購入は画像をクリック

映画、「蜜蜂と遠雷」を公開初日に観てきました。音楽映画はやはり劇場でよい音響で観るのが一番です。映画中の音楽以外の音も堪能できます。ぜひ公開中に観ることをお勧めします。

原作小説は、芳ヶ江国際ピアノコンクール(モデルとなっているのは浜松国際ピアノコンクール)のパリオーディションシーンからはじまります。モスクワ、パリ、ミラノ、ニューヨーク、芳ヶ江の各地でのオーディションで選ばれた90名が、芳ヶ江で行われる1次予選に参加、その90名は3次予選までに12名に絞られます。そして3次予選を突破した6名が本選に駒を進めるのです。

その中のパリオーディションに、クラシックのピアニストとしてまるきり異端としか思えない16歳の少年が出場するところから物語ははじまります。移動に時間がかかり遅刻したため、順番が最後となった彼は泥だらけの手、カジュアルなシャツとパンツで現れ、立て続けに課題の3曲を弾いたのです。その演奏は他のコンテスタントとかけ離れていました。音色が、まったく同じピアノと思えないほど違っていたのです。それだけならよくあることで、よい演奏者なら同じ楽器を使っていても、同じ楽器とは思えないほどいい音を出すものなのです。しかし、この少年の音はそのレベルではありませんでした。

審査員の一人、嵯峨三枝子はその音に恐怖すら感じました。恐怖を感じつつも耳はその音を聴きたがり前のめりになっていくのです。三枝子の恐怖はやがて、なぜか怒りに変わっていきました。

少年のオーディションの合否は揉めに揉め、決定に時間がかかりました。その少年、風間 塵(かざま じん)は恐らくほとんど正規の音楽教育を受けていないであろう、その塵がオーディションに合格した理由は、三枝子が恐怖に駆られるほどの圧倒的な才能ともう一つ、塵がユウジ・フォン=ホフマンの推薦状を携えていたことによるものでした。

コンテスタントの一人、栄伝 亜夜(えいでん あや)は20歳。かつて天才少女と呼ばれ、幼い頃にCDデビューを果たし演奏活動もしていたが、13歳のときステージを直前でドタキャンします。亜夜の最初のピアノの先生でありマネージャーでもあった最愛の母が亡くなり、それから間もないコンサートで母の不在を強く実感してしまった亜夜の中から取り出すべき音楽が消えてしまったのです。

演奏活動から離れ、普通の高校生として生活するようになった亜夜の元に、母の音大時代の友人の男性が訪ねてきました。浜崎と名乗るその男性は亜夜の非凡な音楽性が今でも彼女の中に息づいているのを認め、自分が学長を務める音大に誘ったのです。クラシックの演奏活動はまったくしていなかった亜夜でしたが、音楽は今でも身近にあり好きだったため、音大進学を決めたのでした。

亜夜は身の回りの音すべてから音楽を聴くことができ、それが彼女をして天才少女と呼ばわしめた才能であったのです。

高島明石は28歳、コンクール出場年齢ギリギリの明石は音大を出た後、楽器店に勤務し教師の妻と保育園に通う息子の三人家族という異色の存在です。地に足のついた生活者の音楽を奏でる明石は常にある疑問を抱いていました。

「生活者の音楽は、音楽だけを生業とする者より劣るのだろうか。」

抜きんでた才能があるわけではない明石ですが、音楽には縁のなかったはずの祖母の耳のよさを身近に感じ、音楽は一部の天才だけのものではないと生活の中の音楽を大事にするのでした。明石の祖母は、明石や遊びにくる明石の友達の弾くピアノの音色を聴いて、性格や精神状態を言い当てるのでした。深いところで音楽を聴く人だったのです。

マサル・カルロス・レウ”ィ・アナトールはフランス人を父に、日系三世のペルー人を母に持つ、今回のコンテスタントの中で一番の注目株です。幼少の頃一時期日本に住み、その後フランス、アメリカと移り住み、現在はジュリアードに在学する19歳です。ジュリアードの王子様、との異名も持っています。マサルはその出自と成育歴から多国籍な感性と雰囲気を持ち、すでにスターとしての貫禄を身に着けていました。もちろん雰囲気だけでなく実力もずば抜けていたのです。

マサルがピアノに初めて触れたのは、日本に住んでいた時です。近所に住んでいたピアノを習っている少女との出会い、その少女とピアノの先生に耳の良さを見出されたのがきっかけでした。マサルがフランスに帰国することになった時先生はぜひピアノを習うように勧め、その言葉通りにフランスでピアノを習いはじめたマサルはたちまち頭角を現し二年後には神童として広く名を知られるようになったのです。

1次予選

一次予選がはじまりました。高島明石の演奏シーンは、明石の妻満智子の目を通して語られます。満智子は明石とは幼馴染です。研究者一家に生まれ自らも研究者を志し挫折した満智子は、音楽の道を一度挫折して再挑戦する明石に共感し応援し続けていたのです。

明石の出番の前から聴いていた満智子は、他のコンテスタントを

「みんな上手だな。」

と感じていたのですが、明石の演奏を聴き同じピアノなのに全然違う印象があることに気づくのでした。音楽とは人間性であることを、子供の頃ピアノを少し習っただけでそれ以外には無縁だった満智子をして気づかせた明石の演奏でした。その音には満智子のよく知っている明石の人柄が現れていました。

そして明石の演奏は審査員にも大きな印象を与えたのでした。音楽を聴いた感じ、という感想をもらす審査員もいるなか、嵯峨三枝子は、明石の名をしっかり覚えこんだのでした。

栄伝亜夜は、客席を占める観客のあまりに驚いていました。今日はジュリアードの王子と呼ばれるコンテスタントが出ると浜崎奏(はまざき かなで)に聞かされ、怪訝な表情を浮かべます。奏は亜夜を自分の音大に誘った浜崎学長の次女で今回は亜夜のマネージャーのような立場で同行し、何くれとなく世話を焼いています。大らかで少し天然な亜夜としっかり者で常識人の奏は相性もよく、姉妹のように付き合っています。

奏の言うジュリアードの王子様がステージに姿を現したとき、その華やかな雰囲気に圧倒されながらも亜夜は、なぜか懐かしいものを感じるのでした。王子の演奏がはじまり、他のコンテスタントとの徹底的な違い、スターの持つオーラ、まさしく王子である気品に客席も審査員席も虜になっていったのです。

一次予選最終日、亜夜の出番がやってきます。

芳ヶ江国際ピアノコンクールで実際に演奏された曲はこちら

映画、「蜜蜂と遠雷」では、4人の登場人物の演奏をその個性に合わせて違うピアニストが吹き替えをしています。


映画「蜜蜂と遠雷」〜福間洸太朗 plays 高島明石 [ 福間洸太朗 ]

明石が一次予選で本当に弾きたかったのはこの曲です。時間制限に引っかかるので諦めました。

Chopin – Ballade no. 4 in F minor, op. 52 – Kotaro Fukuma クリックでyoutubeへ


【ポイント10倍】金子三勇士/映画「蜜蜂と遠雷」〜金子三勇士 plays マサル・カルロス・レヴィ・アナトール[UCCS-1252]【発売日】2019/9/4【CD】

そして、ジュリアードの王子様マサル・カルロスの吹き替え、金子三勇士の演奏です。一次予選でマサルが弾いた曲が見つからなかったのでこちらを。

金子三勇士 – 献呈(シューマン/リスト編) S.566 クリックでyoutubeへ

長い作品なので分割します。その2へ続く。

 

 

 

BLUE GIANT10巻(ブルージャイアント)あらすじとネタバレ

最初で、そして・・・最後かもしれない

購入は画像をクリック

いよいよ雪祈がSo Blueのステージに立ちます。ステージ袖で出番を待つ雪祈の胸に去来するのは、幼い頃からひたすらピアノとジャズに邁進した日々でした。突き指を恐れ体育のバスケを見学して指のトレーニングをする雪祈。一方水泳の授業では水の抵抗を使った水中でのトレーニングをする小学生の雪祈。バンド仲間はロックをやりたがりバンドを一人離れる中学生の雪祈。そして母に連れられて初めて行ったSo Blue!そのすべてを胸に雪祈はSo Blueのピアノに向き合いました。

雪祈はたちまち世界で活躍する一流のプロの力を肌で知りますが、客席にいる大は雪祈しか目に入らなくなっていました。

そして雪祈のソロ、So Blueで弾く最初の、そして最後かも知れないソロ、雪祈はそのソロで今の自分を正直に出そうと決め、それは客席中を沸かせ圧倒するソロとなります。終演後、雪祈は「出来た・・・。」とトイレで一人涙します。

21ミュージックの五十貝はJASSのCDのリリースを進めるため上司に掛け合います。先日のSo Blueのライブも聴きに行って手ごたえを感じた五十貝は、若干19歳でフレッド・シルバーカルテットのメンバーとしてSo Blueのステージに立ったピアニストという話題性も武器に説得をしたのです。ジャズ専門誌にも記事が載り、流れが一気に変わってきたある日、雪祈は平からJASSのSo Blue出演のオファーを受けます。

いつも通り熱の入った練習の後Take Twoに出勤してくるアキコさんを待ち受け、雪祈はそのことを告げます。アキコさんは

「そう、よかった。」

とクールに一言、それきり雪祈達に背を向け洗い物をするのでした。いつもぶっきらぼうで素っ気ない彼女らしい対応でしたが、実はアキコさん、背を向けたまま声もなく涙を流すのでした。

「本当におめでとう。」

と心の中で祝福します。

So Blueの平は知る限りの音楽ライターにコンタクトを取りJASSの記事を書いてくれるよう頼み、評論家にも連絡します。

21ミュージックの

五十貝も、上層部の説得に成功、いよいよ2日後にSo BlueのステージにJASSが立つという、その夜。

・・・とても意味のあるライブだった。

雪祈はいつものように工事現場のバイトに出ます。いつものようにヘルメットをかぶり交通整理しています。いつもの夜、雪祈はJASSを想っていました。

「三人だから、ここまでできた。」

「大、玉田、あいつらと組んで、本当によかった。」

そこに突然の閃光と衝撃!突っ込んできたトラックにはねられた雪祈の腕と指があらぬ方向に曲がっていました。雪祈は無事だった左手で大に電話をします。

「ライブ出られねえや・・・。」

病院に駆け付けた大と玉田は、雪祈のバイト先の人から今手術中であること、右腕が残せるかどうかもまだわからないことを聞き、その足でTake Twoに向かい練習を続けるのでした。大は、今止まってはいけない気がしているのです。

JASSのライブ当日、So Blueの入り口に向かう大と玉田を平が出迎えました。前日に大が雪祈の事故のこと、サックスとドラムのデュオでやりたいことを伝え、平はそれを了承したのです。雪祈のいないJASSのリハが淡々と続けられ、本番を迎えます。影アナは自ら名乗り出た平が勤め、そこで雪祈が交通事故で重体のため出演不可であること、今も怪我と戦っていることが告げられます。そして、JASSのライブを平自身が本当に楽しみにしていたことも明かされるのでした。その平の紹介によって、ステージに上がった二人は予想より大幅に減った観客すべてを巻き込み、ドラムとサックスのデュオという異例の形態ながら大きな感動と強い印象を残したのでした。

楽屋に戻る大と玉田を待ち構えていた平は涙をこらえきれずに二人に告げます。

「とても意味のあるライブだった。」

大は、1日も止まっちゃいけない

大と玉田は雪祈を見舞い、そこで雪祈の右手が元に戻るかどうかわからないことを知ります。ただ切断は免れたようです。さらに雪祈は二人に

「JASSを解散しよう。」

と告げるのでした。

「大は、1日も止まっちゃいけない奴だろ。」

病院を出て用があるという玉田と別れ、大は玉田の家で一人号泣します。

ある日、大が仙台に帰ってきました。仙台に着いてすぐに由井の家を訪れます。由井は

「まず吹いてみろ。」

と大の音を聴くことを求めました。

大が由井の元を訪ねたのは相談があったためです。東京での経験を話し、海外に行きたい、いろいろな国の音を吸収したいと。そのためにはどこの国がいいだろうかと由井の意見を求めに来たのです。それに対して由井はヨーロッパのある国を示唆しました。聴く側も演る側も熱く、ジャズに対して柔らかく開いている国だと。大は、その国に行くことにします。

旅立つ日、成田へ向かうシャトルバスで玉田に見送られ、成田から雪祈に電話をします。雪祈は今実家の松本で療養中です。雪祈はピアノに向かい、慣れない左手で譜面を書いていました。その雪祈に大は

「お前のピアノが好きだ。」

「お前の一番のファンかもしれない。」

雪祈は、大のその言葉に恐らく声を出さずに号泣し、

「大、行け」

と一言、告げます。そして大は旅立っていくのでした。

止まることのない大の物語は次へと続く

大の物語はこの後続編、ブルージャイアントシュプリームへと続きます。大は止まりません。So Blue出演の際、大は平を覚えていませんでした。雪祈を狙っていると勘違いしてけん制したことも何もかもです。当然「ザ・ファイブ」の森に定禅寺で会ったことも忘れています。それは決して彩花の言うように「ちっちゃい兄ちゃん、ほんとバカ。」だからではなく、前しか向いていないからですね。

ところで雪祈はどうなったのか。単行本巻末のボーナストラックには雪祈自身は出てきません。他の人のインタビューの中に雪祈の話題は出るのですが、現在の話ではないのです。

雪祈は作曲家になっているのではないでしょうか。作曲が好きだと言う台詞があり、ラストシーンも作曲しているシーンでしたから。いずれにしろ、音楽家として一線で活躍しているのは間違いないと思います。そんなことを思わせる希望のあるラストでした。

10代でSo Blueのステージに立つ。リアルブルージャイアント

雪祈が夢見ていたSo Blueのステージに10代で立つ、その夢を実際にかなえた若者を紹介して締めとしたいと思います。

2019ブルージャイアントナイト、オープニングアクトオーディションファイナリスト

Ascension

Ts.佐々木諒太

Pf.菊池冬真

B.山本修也

Dr.片山晴翔

リーダー佐々木諒太の公式HPはこちら

Ascinsionの公式Twitterはこちら

Blue Giant night 2019 ライブ告知動画はこちら






チケットぴあ

1巻はこちら

2巻はこちら

3巻はこちら

4巻はこちら

5巻はこちら

6巻はこちら

7巻はこちら

8巻はこちら

9巻はこちら