2019年 6月 の投稿一覧

BLUE GIANT2巻(ブルージャイアント)あらすじとネタバレ

ヘタクソでナニが悪いんすか?

購入は画像をクリック

毎日川原でサックスの練習を続ける大にも、好きな女の子がいます。水泳部の三輪 舞(みわ まい)です。舞は背が高く、さっぱりした気性の女の子です。修学旅行の時、大は舞をデートに誘います。

「自転車に乗せていくから、海を見に行こう。」

大らしく、ストレートな誘いの言葉でしたが、その時には実現しませんでした。それから一年後、花火大会の日に川原で練習する大の元に舞が現れます。

大は舞に今練習している曲を聴かせるため、ヘッドホンを舞に貸し、スマホでコルトレーンを流します。

「喫茶店のBGMみたいな感じ」

と舞が思ったところで、大がホリュームを上げます。びっくりした舞に

「もう少しそのままデカい音で聴いて。」

舞は先ほどまでとは全然違う音楽に思わず笑みをもらし、

「いいね。」

「それが、ジャズ!」

いいね、と笑う舞の表情がとてもいいのです。

舞を家まで送る途中、駅前でストリートミュージシャンが演奏しているところに出くわします。と、そこに通りかかった酔っ払いが一人、

「ヘタクソ」

と怒鳴るのでした。

大は思わず、

「ヘタの何が悪い。」

「みんなヘタクソからはじまるんだ。ヘタだから練習して、そしていつの日か、誰かの気持ちに届く音を出す。ヘタクソで、何が悪いんすか。」

と言ってしまいます。

酔っ払いは大に、お前はヘタクソか、と聞き、練習しろと言い残して去りました。これが、大と師匠の由井(ゆい)との出会いでした。

Gの座標に立つ・・・ジャズへの一歩

いつものように川原で練習する大の所に、初めてのライブをやったジャズバー「バード」のマスター、川西訪ねてきます。川西は大の音が忘れられず、会わせたい人がいる、と大をバードに連れていきます。そこにいたのは駅前で出会った酔っ払いの由井でした。

大はビビりながら、ピアノの前に座った由井と初めてのセッションをします。前回のライブのことを思い出し躊躇する大に由井は、

「いつもの川原の感じてやれ。」

と促すのでした。

はじめてすぐに由井は、大の出す音が尋常でない響きを持っていること、理論ではなく感覚、躍動感でのアドリブであること、そしてその音が未熟なのにも関わらず人を圧倒することを見抜きます。そして大も、自分の音が支えられる初めての感覚に楽しくてしかたがなくなるのです。

初めて全部出せた充実感と疲労感を覚える大に由井は、

「ヘタだ。」

と言います。理論、もプレイも全部だめ。だけど・・・。由井は大にサックスを教える、と言うのでした。

由井の初レッスン、まず教わったのは「G」の音。音の名前も高低も知らないままサックスを吹いてきた大への、初めての伝授と言えるものでした。「G」の音を座標とし、そこからどこにでも動ける。音を操縦する技術を身に着けることができる。「G」の上にしっかり立て。と教わるのです。

ちなみにレッスン室は由井の自宅スタジオですが、酒瓶がピアノの上にたくさん転がっています(笑)

定禅寺ストリートジャズフェスティバル

定禅寺ストリートジャズフェスティバルとは、仙台で行われている実在のジャズフェスです。仙台の街中で市民ボランティアが中心となって1981年から開催されている歴史あるフェスなのです。ジャズとついているものの、ジャンルは問わず、ありとあらゆる音楽を気軽に楽しむことができます。毎年9月の第2土曜、日曜に開催され、700組のバンドと75万人の聴衆で仙台の街がいっぱいになります。

大は舞と一緒に定禅寺ストリートジャズフェスティバルに出かけます。実質初めてのデートです。様々なジャンルの音楽を片っ端から聴き歩く二人、音楽といえば女子高生に人気の曲しか聞かない舞も、普段聴かないような音楽を楽しんでいます。

大は、街中のステージのない通りでサックスを取り出します。驚いた舞に一人で何を吹くのか聞かれた大は、

「音楽はいいなあ、音楽はスゲエな。を吹きます。」

と答え、吹きはじめます。

大の音に圧倒された人々が集まってくるシーン、最初に驚きで振り返った幼女の表情、衝撃を受けた人々の顔と吹き続ける大の姿、この一連のシーンは是非とも原作で味わってください。これは漫画でなきゃ伝わらないです。

2巻のボーナストラック2は定禅寺ストリートジャズフェスティバルの潜入レポートです。合わせてお楽しみください。

定禅寺ストリートジャズフェスティバルを含む、2019年今から間に合うストリート音楽フェスティバルのご紹介はこちら

50万円、36回払いのサックス

大は10歳の時に母親を亡くしています。兄、雅之は13歳、妹の彩花は3歳でした。何もわからない彩花、泣きじゃくる大に対して、中学生の雅之は泣くのをずっとこらえていました。それから雅之は、忙しい父をサポートし弟妹の保護者代わりに面倒を見てきたのです。

大のサックスは雅之からのプレゼントです。大がジャズに心惹かれ、サックスを吹いてみたいと思っていることを聞いた雅之は、楽器屋に行き

「この店で一番いいサックスをください。」

と言って初任給で36回ローンを組んだのでした。

欲しいもの何か買ってやる、と雅之が言っても、無邪気にねだる彩花とは対照的に大は、何もいらないと断るのです。大は雅之の給料を使わせることを気にしていたのでした。

就職と同時に家を出て一人暮らしをしていた雅之が、ある日突然帰宅して大に

「お前のだぞ。」

とサックスを手渡します。それを見た大は、何も言わず家を飛び出し一人涙します。

大を取り巻く人間関係が、暖かく実があるいいものなのです。兄の雅之だけではなく、妹の彩花や、スーパーの店長をしている父、音楽とは関係ないバイト先の上司や同級生との関係も、わざとらしくなく表現されています。なかでもこの雅之とのエピソードは何度読んでも泣けます。

ところで雅之が大に贈ったのは、セルマーのテナーサックスです。一番価格が近いのはこれかな?



雅之が大に贈ったのはセルマーのテナー。購入はこちら

 

由井先生も雅兄もいないけど、サックスをはじめてみたい方はこちら

1巻はこちら

3巻はこちら

4巻はこちら

5巻はこちら

6巻はこちら

7巻はこちら

8巻はこちら

9巻はこちら

 

 

 

 

 

 

BLUE GIANT1巻(ブルージャイアント)あらすじとネタバレ

迷わず突き進む。宮本大は今までで一番新しい主人公かもしれない

購入は画像をクリック

BLUE GIANT(ブルージャイアント)は仙台に住む高校生、宮本大(みやもと だい)がジャズに魅せられ、サックスに魅入られて、ジャズの世界に飛び込み世界一のサックスプレイヤーになると決めて突き進む物語です。ジャズに夢中な同級生の近藤周平(こんどう しゅうへい)に中学卒業記念にジャズライブに誘われて初めてジャズに触れ、一気にジャズにのめりこんでいきます。バスケ部に所属していますが、部活の後に毎日、広瀬川の土手でサックスの練習をします。まったくの独学です。教本すらも使っていません。

高校の同級生にはジャズという音楽の魅力をまったくわかってもらえません。このあたりは、僕のジョバンニの鉄雄の小学生時代と共通するものがあります。大にとってジャズは「熱く激しいもの」なのですが、その魅力をどう伝えればいいかはわかりません。

一方、高校へ入ったらジャズピアノをやると決めていた周平ですが、医者の息子で自らも医者志望の彼は勉強が忙しく、ピアノは高校一年で辞めてしまいます。ある日、久しぶりに家に訪ねてきた大が、あの日からずっとサックスを練習し続けていたことを知ります。周平は大の初めての観客になるのでした。

決してうまくはない大のサックスに引き込まれた周平は、世界一のサックスプレイヤーになるという大に

「俺は世界一の医者になるぞ。」

と告げるのでした。

初めてのライブの後、公園で一人・・・。

ある日、いつもリードを買いにいく楽器屋の店長から、

「決まったから、君のライブ」

と突然の誘いが来ます。店長の小熊は、いつも尋常ではない数のリードを買いにくる大を、高校のブラバン部員だと思っていたのです。が、一人でその量のリードを消費しているのを知り、それだけでは足りず竹でリードを自作したり、どうすればジャズプレイヤーになれるかと質問したりするのを見て、大を面白い子だと思うようになったのです。

初めてのライブ、ライブどころかセッションも出たことがない、譜面も読めない、曲も知らない大は、とにかく自分を出し切ると決めてソロを吹くのでした。

そして・・・。

夜の公園で、一人涙を流します。ジャズの約束事を何一つ知らない大は、途中でステージを下ろされてしまったのです。

けれども、次の日もまた、土手で一人練習する大の姿がありました。めげず、まっすぐにジャズの道を突き進むのです。

あっさりクビになってしまった最初のライブでしたが、大のまれにみる才能と、それすらも上回る情熱に注目していた人もいました。ライブハウスの店長と、バンドのピアニストです。各巻の最後にボーナストラックとして、世界で活躍し恐らく海外在住であろう大の現在を、縁の人達のインタビューという形で垣間見ることができます。1巻ではそのピアニストのインタビューも入っています。大のめちゃくちゃでド素人な演奏に一発で惚れたと語る彼は、そののち一流プレイヤーとなった大と再び共演しているようです。

世界を当然手に入れられると信じている

大は初めから世界に出られることを信じて疑いません。時々は疑ったり自信を失ったりしますが、総じて自分は当たり前に世界一であると信じています。「世界一」は初めから自分の中にあり、それを具体的に形にしていくだけのことなのでしょう。だから小さいことで悩んでいる暇はないのです。

ところで天才サックスプレイヤーといえば、この人もそうですね。「キャバレー」の矢代俊一。彼も自分の世界に出る才能についてだけは、まるで疑っていないようです。ただ性格的にうじうじしやすいところがあるため、ジャズ以外のところでおおいに思い悩むのですが。

サックスと世界一になるという確信と情熱以外に何も持っていない(あと、いい家族と親友と助けてくれる人はいたな。)大に比べると、俊一は何でも持っています。サックスだけではなくフルートも吹き、裕福な家庭に育ち、幼い頃からピアノとギターを習い、オリジナルも作ります。才能と情熱以外に知識もスキルも十分あります。だからこそ、それらを捨ててたたき上げのしぶとさを身に着けるために、場末のキャバレーで修行をするのです。

何も持っていない大は、ただひたすら突き進みます。捨てるものを何も持っていないのです。俊一が19歳で既にプロでやっていけるレベルであるのに対して、大はまだ素人です。それでも人を魅了することができるのです。

周平は、その大の音を聴いて、自分は世界一の医者になる、と宣言しました。大の中に既にある「世界一」に気づいたのではないでしょうか。

もし、大がここでリードを買っていたら

大は、ブラバン部員が代表で買いに来てる、と楽器店で誤解されるほど大量のリードを消費します。しかもそれでは足りなくて竹でリードを自作します。(まったく使えなかったのですが)

ここで買ったら安かったのにね。

サウンドハウス

D'Addario Woodwinds ( ダダリオウッドウインズ ) / La Voz Tenor Medium RKC10MD テナーサックスリード 10枚入り

D‘Addario Woodwinds ( ダダリオウッドウインズ ) / La Voz Tenor Medium RKC10MD テナーサックスリード 10枚入り

音楽に関わる全ての人が、知っておかないと損をする、楽器、PA機材、何でも安く手に入ります。

でも、大がここでリードを買っていたら、ひろせ楽器の小熊店長からライブの話がくることはなかったでしょうから、これでいいのかも。

2巻はこちら

3巻はこちら

4巻はこちら

5巻はこちら

6巻はこちら

7巻はこちら

8巻はこちら

9巻はこちら



 

 

上達し続けるための、体と心のコントロール

故障を防ぎ、上達し続けるために役立つボディワークやメンタルトレーニング

僕のジョバンニ3巻で、イタリアの音楽学校の同級生とのあまりの技術の違いに焦り、過剰な量の練習量をこなす鉄雄に百合子が最初に教えたのが「ディスポキネシス」という音楽家のための心と体のコントロール法です。無理な体の使い方や、緊張やプレッシャーにより思うように演奏ができなくなってしまうことは、演奏活動をする上で問題となります。そこで、音楽を続けるために必要なボディワークとメンタルトレーニングや参考文献をご紹介します。

ディスポキネシス―音楽家のために生まれた、心身コントロール法

ディスポキネシスは、オランダ発祥の音楽家向けのボディワークです。特徴として、体だけではなく緊張等の心の問題から引き起こされる障害にも焦点を当てている点、音楽家向けとして開発された点があげられます。今までのボディワークは、役者やアスリート等のために開発されたものを音楽家向けに取り入れていたため、トレーナーが演奏については門外漢であることも多かったのです。ディスポキネシスは音楽の専門教育を受けている人がトレーナーになるので、楽器特有のの悩みにも対応可能です。

まだ比較的知られていないボディワークですが、日本でもレッスンが受けられます。京都と東京の2か所だけですが、出張レッスンも受け付けているようです。お問い合わせはディスポキネシス・ジャパンまでどうぞ。

アレクサンダー・テクニーク―元祖、ボディワーク。各界で実践者多数。

最も古い歴史を持つボディワークです。役者であるアレクサンダーが開発した、「体の悪い使い方の癖」をやめる、首を解放し背中を広く使う、ということを体に直接覚えさせるワークです。日本ではミュージシャン、ダンサーなどに多く広まっています。ディスポキネシスは音楽家のために専門化されたボディワークですが、アレクサンダーテクニークはどのジャンルでも体を使うものなら応用可能です。

トレーナー(アレクサンダーテクニークでは、教師と呼ぶ)は手指を使い、生徒の体に直接触れて微調整をします。レッスンの回数を重ねて体に正しい動きを覚えさせるのです。現役のミュージシャンの教師も多く、演奏のレッスンと並行して教えている教師も多数です。また、各地でワークショップも開かれています。教師の人数も多いので、地方でも受講しやすいと思います。レッスンを受けたい方は、日本アレクサンダーテクニーク協会HP で教師を検索できます。

本もたくさん出ていますが、演奏家向けのものを抜粋してご紹介します。


演奏者のための はじめてのアレクサンダー・テクニーク~からだを使うのが楽になる~


マンガとイラストでよくわかるアレクサンダー・テクニーク 実践編: 音楽演奏と指導のための


筋肉を意識したギター上達法30 ~上達の壁は身体の使い方で越えろ!~ [DVD]


音楽家ならだれでも知っておきたい「からだ」のこと―アレクサンダー・テクニークとボディ・マッピング


吹奏楽部員のためのココロとカラダの相談室 コンクール・本番編 今すぐできるよくわかるアレクサンダー・テクニーク


ドラマーが知っておくべき身体の仕組みと動かし方 [DVD]


実力が120%発揮できる! ピアノがうまくなるからだ作りワークブック

フェルデンクライスメソッド―一人でもできるボディワーク

フェルデンクライスメソッドは、物理学者のフェルデンクライスが創始者となったボディワークです。日本では演出家の安井武氏が最初に広めた関係で、まず演劇の世界で広まりました。

フェルデンクライスメソッドはATMと呼ばれるグループレッスンと、FIと呼ばれる個人レッスンの2種類からなりたちます。ATMは見本などはなく、プラクティショナーの言葉による誘導だけでイメージしながら動き、FIはプラックティショナーの指先のタッチの誘導で動き、いずれも質の良い動きを学習していくメソッドです。

ATMは各地でワークショップや定期的なグループレッスンが行われているので、それに参加したり、また誘導のCD等も購入できるので、それを聞いて独学することも可能です。ただ、最初はワークショップ等に出た方がわかりやすく効率的だと思います。

一方FLはアレクサンダーテクニークに似た個人レッスンです。リハビリ等によく用いられています。創始者のフェルデンクライスが膝を故障し医学からは見放された時に、自分用のリハビリとして開発し全快したとあって、効果が高いようです。

プラクティショナーはこちらから探せます。日本フェルデンクライス協会HP

また、ATMレッスンの音源はこちらです。音楽家のためのフェルデンクライスのレッスンもこちらです。

フェルデンクライスジャパンHP

CD、ダウンロード、また書籍もこちらで購入できます。

4スタンス理論―身体を4タイプに分けて、タイプごとの特徴に合わせた動きを指導

4スタンス理論は、整体師の廣戸聡一さんが提唱する、人間の身体を4つのタイプに分けて、それぞれのタイプに合った動きを習得することでパフォーマンスをあげることができるという理論を基にした、体操や整体などの総合的ボディワークです。

4スタンス理論では、身体の重心のかかり方によって、A1、A2、B1、B2の4種類に分けます。さらにA1,B2をクロス、B1,A2をパラレルの2種類に分けます。そのタイプによって身体の効率的な使い方が違ってきます。

そのため、自分と違うタイプの先生に教わっても上達しなかったりします。それどころか思わぬけがにつながる可能性もあるのです。

音楽の場合、4つのタイプによって身体のどこでリズムをとるのが向いているか、それぞれ違ってきます。また、2つのタイプによって得意なリズムが変わってきます。

例えば、うねりがあり踊りたくなるようなグルーヴはクロスタイプが得意としますが、スピード感のある正確で切れのいいリズムはパラレルタイプに向いています。

自分のタイプの診断の仕方はこちら

4スタンス理論についてもっと知りたい場合、トレーニングや整体のお問い合わせはこちら。

廣戸道場(整体)

4スタンス倶楽部(4スタンス理論詳細)

レッシュ・プロジェックト(トレーニング、セミナーなど)

 

各種ワークショップには音楽のワークショップもあります。

タイプの診断については自己診断でも判別しやすいのですが、実際にトレーナーに判定してもらうとより正確です。

参考書籍はこちら


マンガでわかる「4スタンス理論」身体能力を最大限発揮するすごいカラダの使い方

ピアノ脱力法メソッド―楽にいい音で弾けるメソッド

ピアノ講師の大嶋聡子さんが考案した、ピアノを脱力していい音で楽に弾き続けるためのメソッドです。さとう式リンパケアを取り入れた脱力体操からはじまり、椅子やピアノ使ったフィンガートレーニング、うまく弾けないところの個別ピンポイント・レッスンもあります。

以前受けたとき、一回のフィンガートレーニングで指が広がったのにはびっくりしました。内容はどんどんブラッシュアップされているので、再受講を重ねるとより効果的だと思います。また、メールと動画の通信講座もあり、個人レッスンにもオンラインがあるので、地方在住でも受講が可能です。

お問い合わせはピアノ脱力法メソッド

 

その他の関連書籍をまとめて紹介

僕のジョバンニ3巻の参考書籍の一つです。


演奏者のためのメンタル・トレーニング 演奏者 勝利学

同じ著者によるメンタルトレーニングの本。わかりやすいです。


演奏家のための「こころのレッスン」―あなたの音楽力を100%引き出す方法

Amazonのunlimitedでも読める、ギターやベースのためのボディコントロール法ですが、どの楽器の人にも使えると思います。


楽器は筋肉で弾くな!!骨で弾け!!: 〜腰痛も軽減させる ギタリストとベーシストのための ボディコントロール術〜

 

音楽漫画 僕のジョバンニ 4巻 あらすじとネタバレ

落ちこぼれトリオのライブ!ソルティドック


購入は画像をクリック

鉄雄に自作曲でライブをやることを提案した縁は、乗り気ではない鉄雄をよそにどんどん話を進めます。まずバイオリニストとして、鉄雄と郁未が出たコンクールで百合子の弟子を騙った御手洗健太をスカウトします。御手洗はバイオリンからチェロに転向したのでバイオリンも弾けるのです。

さらにライブ会場として、縁のバイト先の喫茶店を選んでありました。喫茶店ではじめて御手洗と音合わせをした鉄雄は、御手洗がチェロよりバイオリンの方が巧いことに気づきます。御手洗は音楽一家に育ち父親も兄姉も国内で入賞経験がある中ので落ちこぼれで、バイオリンでは一番になれないからチェロに転向したと語ります。

それを聞いた鉄雄は、

「コンクール嫌いのピアニスト、音楽一家の落ちこぼれ、師匠が有名なだけの凡人」

3人の落ちこぼれライブだと言い、面白いライブにする、とやる気になるのでした。

オリジナル曲だけのライブの難しさを知るマスターの松浦の提案で、ライブ曲をあらかじめ録音した音源をライブの日の二週間前から店のBGMとして流すことになります。宅録ができることで鉄雄のテンションは一気にあがるのでした。

トリオ名はソルティドッグ。カクテルの名前ではなく、「しょっぱい負け犬」という意味です。ライブ当日の一曲目はオリジナルではなく、キング・クリムゾンの「21世紀のスキッツォイド・マンバリバリのプログレです。キンクリは今でも現役ですが、録音自体は1969年、喫茶店の常連客も大半が子供か、まだ生まれていないかです。それを現在の高校生が演ってしまうのですから、それだけでも注目は集まります。そこに鉄雄の超絶アレンジ、そしてぶっ続けでオリジナルに入る展開で、客席を完璧に掴みます。この辺は、イタリアでジャズクラブ等にも入り浸っていた鉄雄がライブというものをよく知っていたためにできること、と言えるでしょう

鉄雄は演りながら、

「ああ・・・俺、本当に 音楽が好きだな

と幸福感に満たされていきます。さらにハプニングもあり騒ぎになりましたが、その際の松浦の言葉も鉄雄の心に響きます。ライブを終えて、鉄雄は何かをつかんだように感じるのでした。

哲郎に思いがけない仕事のオファー。

哲郎は鉄雄が少し変わったことに気づきます。そして、百合子に自分がもっとしっかりしていたら鉄雄と郁未はここまでこじれなかったかもしれない、と思いを打ち明けます。自分がチェロをやめてから、一人で弾くしかなくなった鉄雄がどれだけ孤独だったか、鉄雄を孤独にしたのは自分で、それが郁未を追い詰めることにつながったのではないか、哲郎は一人思い悩んでいたのでした。百合子は哲郎に、自分を責めるなと伝えます。お前は一人でしょい込みすぎるとも言います。

そんな時、哲郎の勤めるメンタルトレーナーの事務所に、哲郎を指名する仕事が舞い込みます。クライアントは橘郁未。郁未と手塚兄弟が関わりが深いことを知る郁未のマネージャーからのオファーでした。

現在の鉄雄と郁未の関係を鑑み依頼を断ろうとする哲郎ですが、事務所所長の説得もあり、一度だけでも郁未に会ってみようと依頼を受けます。郁未は数時間の面談の間哲郎の語りかけにも拒否を示し、面談は失敗だったと思う哲郎でしたが、マネージャーは面談終了間近に初めて郁未が自分から人に話しかけるところを見たと言い、再度の面談を依頼するのでした。

哲郎は郁未との面談で、一緒に暮らしていた頃の昔話をするのでした。話をするのは主に哲郎で、郁未は哲郎の問いかけに答えるだけなのですが、その郁未の記憶があまりにも鮮明で哲郎はそれに驚き、東京へ出てきてからの郁未の孤独と帰国して仲間が増えた鉄雄を思います。

鉄雄は再度コンクールに出ることを決めます。百合子はその、カルミナ国際コンクールに、郁未と対をなすもう一人の天才高校生チェリストが出ることを聞きつけます。もう一人の天才、皆川優(みながわ まさる)は郁未が出ることを期待しての出場らしいこともです。そして郁未は鉄雄が出るからカルミナ国際に出るはずだと、鉄雄は言い切ります。

御手洗に、郁未との関係を聞かれた鉄雄は

「・・・トモダチ」

と切ない表情で答えるのでした。

4巻で使われた曲はこちら

ソルティドックのファーストライブ1曲目、キングクリムゾンの名曲です。ここに聖夜の深井が客としていたら大喜びしそうです。1980年にプログレはもう終わったと嘆いていた彼ですが、この曲は1969年、全盛期の頃です。

ダウンロード版


21世紀のスキッツォイド・マン

収録アルバム新品/中古


クリムゾン・キングの宮殿(K2HD/紙ジャケット仕様)

クリックでyoutubeへ

 

百合子がコンサート直前に、スポンサーの意向で予定に入れてないのに弾くように要請されブチ切れた曲。鉄雄の説得で弾くことになりました。。

 


亡き王女のためのパヴァーヌ


ラヴェル : 亡き王女の為のパヴァーヌ/マックス・エシーク社/ピアノ伴奏付チェロ・ソロ用編曲楽譜

 

1巻はこちら

2巻はこちら

3巻はこちら

5巻はこちら

 

 

音楽漫画 僕のジョバンニ 3巻 あらすじとネタバレ

5年ぶりに再会した鉄雄と郁未


僕のジョバンニ(3) (フラワーコミックス) [ 穂積 ]

さて、2巻のラスト、コンクールで再会した鉄雄と郁未でしたが、どのような再会だったのでしょうか。

「久しぶりだな。」

と話しかける鉄雄、それに対する郁未は、

「なぜお前がここにいる。」

と冷たい表情で返します。郁未は鉄雄に、自分を恐れてイタリアに逃げたお前に、日本での居場所なんかない。と告げます。鉄雄は、昔から自分の居場所なんかなかった。日本に帰ってきたのは、0からはじめるためだと答えるのでした。確かにコンクール会場では、郁未の名前は知れ渡り恐れられ、鉄雄は「見ない顔」とされています。

縁は郁未のことを語る鉄雄の表情で何らかを悟り、

「鉄雄は鉄雄の演奏をしたらいい。」

と話します。今後、この縁の洞察力や思いやりが要所要所でうまく働いていくのです。若いのに大した子です。百合子の推薦で鉄雄の伴奏者になった縁ですが、ピアノの実力だけでなく人柄も合わせて鉄雄と相性がいいと考えての推薦だったのではないかと思います。結構言いたいこと言ってるように見えて、本当に言ってはならないことは言わない、取得選択能力もあります。伴奏者として最適なのです。

郁未の圧倒的才能の前に、崩れていく出場者たち。果たして鉄雄は?

演奏順は郁未がトップです。既に名が通っている奏者がトップで演奏することが実際にあるかどうかはわかりませんが、最初に郁未の演奏を聴いた出場者が皆、調子をくずして実力を発揮できないで演奏を終えてしまいます。郁未の見せる圧倒的な実力や才能の違いに、自分を失ってしまったのです。そしていよいよ鉄雄の出番が来ました。

会場の空気はまだ、最初の郁未の演奏に支配されたままです。鉄雄の出番は休憩をはさんで14番目です。郁未の演奏がどれだけ強烈だったかわかりますね。はらはらして哲郎が見守る中、鉄雄の演奏がはじまります。

鉄雄の演奏は会場の空気を一気に変えました。感情を十分に乗せた、個性的で直観的な演奏です。それが実は緻密な計算の上に成り立つものだと気づいた人は、客席の中には二人しかいませんでした。

その、完璧なはずの世界が、客席の郁未の姿を見たとたん崩れてしまったのです。縁がなんとか合わせにいこうとしますが、立ち直れないまま鉄雄の出番は終わってしまいます。鉄雄は予選落ち、さらにその直後、郁未が本選を辞退します。繰り上げの通過者にも鉄雄の名前はありませんでした。

どう言葉をかけていいかわからない哲郎に鉄雄は、

「ものすごく悔しい。」

「でも、これが俺の今の実力。」

「過去の成績とか、師匠が誰かとか、そういったものをすべてとっぱらったところから始める。」

と告げます。

百合子の突然の帰国。いったいなぜ?

ある日、公園でチェロを弾く鉄雄の前に郁未が現れ、

「これほどの実力があって、なぜコンクールではあんな演奏をした!」

と鉄雄を責めます。コンクールでの鉄雄の演奏が、技巧だけで作り上げたものだということに気づいていた一人は郁未でした。郁未は昔の鉄雄の演奏の方が好きだとも言います。そして自分と鉄雄の間にチェロ以外に何がある?と聞き、

「自分は上に行く。お前はそこでそうしてろ。」

と言い残して去っていったのです。

そんな中、百合子が突然帰国します。空港に迎えに行った鉄雄たち兄弟と縁。百合子は会うなり鉄雄に旅行鞄で鉄拳を食らわせます。

「人前で技巧だけの演奏をすることを、お前に固く禁じていたはずだ。」

返答次第では破門にする、と百合子は言います。鉄雄の演奏の真意に気づいていたもう一人は、審査員で百合子の知人だったのです。

鉄雄の演奏は過去の演奏家達の完璧な模倣をつなぎ合わせたもので、模倣としてクオリティが高くそのためかえって、鉄雄の欲とあざとさが耳についたとその審査員は言ったのです。

「小賢しい」

百合子の説教はさらに続きます。模倣を否定するわけじゃない。あくまで自分の表現を高める手段の一つとして有効。

「どう飲み込んで解釈して消化するかの方がはるかに重要。その工程を経て初めて、技は揺るぎない自身の血肉となる。」

その工程を省いた鉄雄の演奏は、お前である必要があるのか、と。

鉄雄はそれに対して、試してみたかったのだと答えるのでした。その方が作者の意に沿う演奏になると思ったともいいます。哲郎は鉄雄のその言葉を聞き、鉄雄は作曲家になりたいのではないかと思うのでした。そして鉄雄は百合子に謝ります。

鉄雄はイタリアでの生活を哲郎と縁に話して聞かせます。留学先での他の生徒たちとの技術のあまりの違いに打ちのめされ、焦り、追い詰められていく鉄雄に百合子は、鉄雄を弟子にした理由を語ります。

「面白い、と思った。」

そして、

「お前がお前であることを、希望にするか絶望にするかはお前しだいだ。」

と告げます。

「まず自分で自分を愛せ。それが弟子になる第一条件だ。」と。

それから百合子は、鉄雄にチェロを続けるために必要なことを、そして作曲家になるために必要なことを教え込みます。鉄雄が夜中にこっそり曲を書いていることを、百合子はとっくに知っていたのでした。

イタリアでの生活は、百合子がいかに弟子としての鉄雄を愛していたかが伝わるシーンが多くあります。また百合子が鉄雄に語る言葉も深みがあります。あらすじの一つとしてダイジェストで語っても伝わらないので、ここには書きません。ぜひ原作を読んでみてください。特に表現者であれば深く刺さるものが多いと思います。

縁はある日、鉄雄の描いた曲の譜面を発見し、ピアノで弾いてみます。そして鉄雄に

「これを人前でやらないか。」

と提案するのでした。すなわち、ライブをやってみないか、と。

3巻で使用した曲はこちら

鉄雄がコンク-ルで弾いた曲


[楽譜] ベートーヴェン チェロ・ソナタ第3番イ長調作品69【10,000円以上送料無料】(ベートーウ゛ェンチェロソナタダイ3バンイタンチョウサクヒン69*ベートーベン*ベートーウ゛ェン)

ちなみに郁未がトップで弾いたのは、百合子の演奏を聴いて一週間で覚えた難曲

一方公園で、郁未にペンチで弦を切られながら弾いていたのはこちら。


楽譜 パガニーニ/ロッシーニのオペラ「モーゼ」の主題によるG線での変奏曲(モーゼ幻想曲)(【734733】/2344/チェロとピアノ/輸入楽譜(T))

1巻はこちら

2巻はこちら

4巻はこちら

5巻は9/10頃発売予定