ブルージャイアント

BLUE GIANT2巻(ブルージャイアント)あらすじとネタバレ

ヘタクソでナニが悪いんすか?

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毎日川原でサックスの練習を続ける大にも、好きな女の子がいます。水泳部の三輪 舞(みわ まい)です。舞は背が高く、さっぱりした気性の女の子です。修学旅行の時、大は舞をデートに誘います。

「自転車に乗せていくから、海を見に行こう。」

大らしく、ストレートな誘いの言葉でしたが、その時には実現しませんでした。それから一年後、花火大会の日に川原で練習する大の元に舞が現れます。

大は舞に今練習している曲を聴かせるため、ヘッドホンを舞に貸し、スマホでコルトレーンを流します。

「喫茶店のBGMみたいな感じ」

と舞が思ったところで、大がホリュームを上げます。びっくりした舞に

「もう少しそのままデカい音で聴いて。」

舞は先ほどまでとは全然違う音楽に思わず笑みをもらし、

「いいね。」

「それが、ジャズ!」

いいね、と笑う舞の表情がとてもいいのです。

舞を家まで送る途中、駅前でストリートミュージシャンが演奏しているところに出くわします。と、そこに通りかかった酔っ払いが一人、

「ヘタクソ」

と怒鳴るのでした。

大は思わず、

「ヘタの何が悪い。」

「みんなヘタクソからはじまるんだ。ヘタだから練習して、そしていつの日か、誰かの気持ちに届く音を出す。ヘタクソで、何が悪いんすか。」

と言ってしまいます。

酔っ払いは大に、お前はヘタクソか、と聞き、練習しろと言い残して去りました。これが、大と師匠の由井(ゆい)との出会いでした。

Gの座標に立つ・・・ジャズへの一歩

いつものように川原で練習する大の所に、初めてのライブをやったジャズバー「バード」のマスター、川西訪ねてきます。川西は大の音が忘れられず、会わせたい人がいる、と大をバードに連れていきます。そこにいたのは駅前で出会った酔っ払いの由井でした。

大はビビりながら、ピアノの前に座った由井と初めてのセッションをします。前回のライブのことを思い出し躊躇する大に由井は、

「いつもの川原の感じてやれ。」

と促すのでした。

はじめてすぐに由井は、大の出す音が尋常でない響きを持っていること、理論ではなく感覚、躍動感でのアドリブであること、そしてその音が未熟なのにも関わらず人を圧倒することを見抜きます。そして大も、自分の音が支えられる初めての感覚に楽しくてしかたがなくなるのです。

初めて全部出せた充実感と疲労感を覚える大に由井は、

「ヘタだ。」

と言います。理論、もプレイも全部だめ。だけど・・・。由井は大にサックスを教える、と言うのでした。

由井の初レッスン、まず教わったのは「G」の音。音の名前も高低も知らないままサックスを吹いてきた大への、初めての伝授と言えるものでした。「G」の音を座標とし、そこからどこにでも動ける。音を操縦する技術を身に着けることができる。「G」の上にしっかり立て。と教わるのです。

ちなみにレッスン室は由井の自宅スタジオですが、酒瓶がピアノの上にたくさん転がっています(笑)

定禅寺ストリートジャズフェスティバル

定禅寺ストリートジャズフェスティバルとは、仙台で行われている実在のジャズフェスです。仙台の街中で市民ボランティアが中心となって1981年から開催されている歴史あるフェスなのです。ジャズとついているものの、ジャンルは問わず、ありとあらゆる音楽を気軽に楽しむことができます。毎年9月の第2土曜、日曜に開催され、700組のバンドと75万人の聴衆で仙台の街がいっぱいになります。

大は舞と一緒に定禅寺ストリートジャズフェスティバルに出かけます。実質初めてのデートです。様々なジャンルの音楽を片っ端から聴き歩く二人、音楽といえば女子高生に人気の曲しか聞かない舞も、普段聴かないような音楽を楽しんでいます。

大は、街中のステージのない通りでサックスを取り出します。驚いた舞に一人で何を吹くのか聞かれた大は、

「音楽はいいなあ、音楽はスゲエな。を吹きます。」

と答え、吹きはじめます。

大の音に圧倒された人々が集まってくるシーン、最初に驚きで振り返った幼女の表情、衝撃を受けた人々の顔と吹き続ける大の姿、この一連のシーンは是非とも原作で味わってください。これは漫画でなきゃ伝わらないです。

2巻のボーナストラック2は定禅寺ストリートジャズフェスティバルの潜入レポートです。合わせてお楽しみください。

定禅寺ストリートジャズフェスティバルを含む、2019年今から間に合うストリート音楽フェスティバルのご紹介はこちら

50万円、36回払いのサックス

大は10歳の時に母親を亡くしています。兄、雅之は13歳、妹の彩花は3歳でした。何もわからない彩花、泣きじゃくる大に対して、中学生の雅之は泣くのをずっとこらえていました。それから雅之は、忙しい父をサポートし弟妹の保護者代わりに面倒を見てきたのです。

大のサックスは雅之からのプレゼントです。大がジャズに心惹かれ、サックスを吹いてみたいと思っていることを聞いた雅之は、楽器屋に行き

「この店で一番いいサックスをください。」

と言って初任給で36回ローンを組んだのでした。

欲しいもの何か買ってやる、と雅之が言っても、無邪気にねだる彩花とは対照的に大は、何もいらないと断るのです。大は雅之の給料を使わせることを気にしていたのでした。

就職と同時に家を出て一人暮らしをしていた雅之が、ある日突然帰宅して大に

「お前のだぞ。」

とサックスを手渡します。それを見た大は、何も言わず家を飛び出し一人涙します。

大を取り巻く人間関係が、暖かく実があるいいものなのです。兄の雅之だけではなく、妹の彩花や、スーパーの店長をしている父、音楽とは関係ないバイト先の上司や同級生との関係も、わざとらしくなく表現されています。なかでもこの雅之とのエピソードは何度読んでも泣けます。

ところで雅之が大に贈ったのは、セルマーのテナーサックスです。一番価格が近いのはこれかな?



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由井先生も雅兄もいないけど、サックスをはじめてみたい方はこちら

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BLUE GIANT1巻(ブルージャイアント)あらすじとネタバレ

迷わず突き進む。宮本大は今までで一番新しい主人公かもしれない

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BLUE GIANT(ブルージャイアント)は仙台に住む高校生、宮本大(みやもと だい)がジャズに魅せられ、サックスに魅入られて、ジャズの世界に飛び込み世界一のサックスプレイヤーになると決めて突き進む物語です。ジャズに夢中な同級生の近藤周平(こんどう しゅうへい)に中学卒業記念にジャズライブに誘われて初めてジャズに触れ、一気にジャズにのめりこんでいきます。バスケ部に所属していますが、部活の後に毎日、広瀬川の土手でサックスの練習をします。まったくの独学です。教本すらも使っていません。

高校の同級生にはジャズという音楽の魅力をまったくわかってもらえません。このあたりは、僕のジョバンニの鉄雄の小学生時代と共通するものがあります。大にとってジャズは「熱く激しいもの」なのですが、その魅力をどう伝えればいいかはわかりません。

一方、高校へ入ったらジャズピアノをやると決めていた周平ですが、医者の息子で自らも医者志望の彼は勉強が忙しく、ピアノは高校一年で辞めてしまいます。ある日、久しぶりに家に訪ねてきた大が、あの日からずっとサックスを練習し続けていたことを知ります。周平は大の初めての観客になるのでした。

決してうまくはない大のサックスに引き込まれた周平は、世界一のサックスプレイヤーになるという大に

「俺は世界一の医者になるぞ。」

と告げるのでした。

初めてのライブの後、公園で一人・・・。

ある日、いつもリードを買いにいく楽器屋の店長から、

「決まったから、君のライブ」

と突然の誘いが来ます。店長の小熊は、いつも尋常ではない数のリードを買いにくる大を、高校のブラバン部員だと思っていたのです。が、一人でその量のリードを消費しているのを知り、それだけでは足りず竹でリードを自作したり、どうすればジャズプレイヤーになれるかと質問したりするのを見て、大を面白い子だと思うようになったのです。

初めてのライブ、ライブどころかセッションも出たことがない、譜面も読めない、曲も知らない大は、とにかく自分を出し切ると決めてソロを吹くのでした。

そして・・・。

夜の公園で、一人涙を流します。ジャズの約束事を何一つ知らない大は、途中でステージを下ろされてしまったのです。

けれども、次の日もまた、土手で一人練習する大の姿がありました。めげず、まっすぐにジャズの道を突き進むのです。

あっさりクビになってしまった最初のライブでしたが、大のまれにみる才能と、それすらも上回る情熱に注目していた人もいました。ライブハウスの店長と、バンドのピアニストです。各巻の最後にボーナストラックとして、世界で活躍し恐らく海外在住であろう大の現在を、縁の人達のインタビューという形で垣間見ることができます。1巻ではそのピアニストのインタビューも入っています。大のめちゃくちゃでド素人な演奏に一発で惚れたと語る彼は、そののち一流プレイヤーとなった大と再び共演しているようです。

世界を当然手に入れられると信じている

大は初めから世界に出られることを信じて疑いません。時々は疑ったり自信を失ったりしますが、総じて自分は当たり前に世界一であると信じています。「世界一」は初めから自分の中にあり、それを具体的に形にしていくだけのことなのでしょう。だから小さいことで悩んでいる暇はないのです。

ところで天才サックスプレイヤーといえば、この人もそうですね。「キャバレー」の矢代俊一。彼も自分の世界に出る才能についてだけは、まるで疑っていないようです。ただ性格的にうじうじしやすいところがあるため、ジャズ以外のところでおおいに思い悩むのですが。

サックスと世界一になるという確信と情熱以外に何も持っていない(あと、いい家族と親友と助けてくれる人はいたな。)大に比べると、俊一は何でも持っています。サックスだけではなくフルートも吹き、裕福な家庭に育ち、幼い頃からピアノとギターを習い、オリジナルも作ります。才能と情熱以外に知識もスキルも十分あります。だからこそ、それらを捨ててたたき上げのしぶとさを身に着けるために、場末のキャバレーで修行をするのです。

何も持っていない大は、ただひたすら突き進みます。捨てるものを何も持っていないのです。俊一が19歳で既にプロでやっていけるレベルであるのに対して、大はまだ素人です。それでも人を魅了することができるのです。

周平は、その大の音を聴いて、自分は世界一の医者になる、と宣言しました。大の中に既にある「世界一」に気づいたのではないでしょうか。

もし、大がここでリードを買っていたら

大は、ブラバン部員が代表で買いに来てる、と楽器店で誤解されるほど大量のリードを消費します。しかもそれでは足りなくて竹でリードを自作します。(まったく使えなかったのですが)

ここで買ったら安かったのにね。

サウンドハウス

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音楽に関わる全ての人が、知っておかないと損をする、楽器、PA機材、何でも安く手に入ります。

でも、大がここでリードを買っていたら、ひろせ楽器の小熊店長からライブの話がくることはなかったでしょうから、これでいいのかも。

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