楽器

BLUE GIANT6巻(ブルージャイアント)あらすじとネタバレ

購入は画像をクリック

First Note   大・・・強い音を出せ

その日、雪祈は曲を書いていました。大の強く太い音に負けないメロディを必死で探します。そんな雪祈の元に、一本の電話が入ります。ジャズギタリストの川喜田 元(かわきた もと)が、高校生の頃の雪祈のプレーを聴き、ピアニストとして使ってみたいという電話でした。雪祈は川喜田のライブに参加し、気に入られます。川喜田は自分のバンドのメンバーになりツアーを回るよう雪祈を誘いますが、雪祈は自分の求めるジャズの世界に行ける相手ではないと感じるのでした。そしてその相手は雪祈にとってはやはり大なのです。雪祈は一人闇の中で練習する大を誘い、その晩のギャラで大と玉田に焼き肉を奢ります。ギャラを全部使いきるのでした。

雪祈は曲を書き上げます。タイトルは「First Note」大は非常に気に入ります。玉田はまず自分のことに必死で曲を聴く余裕がありません。そして作曲者である雪祈は、まだまだ不満足です。

大は、ドラムに必死で他の音を聴いている余裕がないと言う玉田のドラムが、いつのまにジャズらしくなってきていることに気づき、さらに雪祈に

「弱い!」

「お前の強い音、どこへ行っちゃった?」

と指摘されます。

玉田の成長と雪祈の努力に背中を押されるように、大は走り込み、泳ぎ、強い音を取り戻すために行動するのでした。さらにジャズバーのセッションに参加し、ソロで長い長い、さらにどんどん強さを待つロングトーンで回りを圧倒し・・・怒られるのでした。しかし、これで大は、自分の強い長い音が武器であることを確信します。

18歳のジャズナイト

大はライブを企画し、一人でチラシを作って配り歩きます。雪祈は無名の自分たちを聴きにくる人などいない、それにまだ初心者の玉田には事が大き過ぎると反対しますが、たった一人でチラシを配る大を見て気持ちを変えます。

ライブ当日、客はお店の常連客が3人だけです。大はその客席を見ながら

「この日を一生、覚えておこう。」

と誓うのでした。そして、ライブがあることも知らず、ただ酒を飲みに来ていた3人の常連、そしてHPに告知もせず、チラシも貼らなかった店長を一気に引き込む演奏をします。そして雪祈は、大が本番のステージで凄みを増し大きくなることを確信するのです。

一方玉田は、自分が予想していたよりずっと、何もできなかったことに傷つき落ち込んでいます。店長や常連客はライブの前後でまったく態度を変えるのですが、それは主に大と雪祈に対してで、玉田の存在感は全くと言っていいほどありません。大はその玉田の姿に、仙台のバードの初ライブの時の自分を重ねます。

バイトを控えているため、初ライブの打ち上げは自販機の缶ジュース、その打ち上げの席で玉田は、

「オレのドラム、クソだ。」

「オレ、抜けないと。」

その玉田に雪祈は

「125回」

と言います。玉田のミスの数です。何も言い返せない玉田に雪祈は続けて

「正直言うわ。」

「思ってたより、悪くなかったわ。」

その夜、一人になった玉田は橋の上で号泣するのでした。バードのライブの後大も泣いていましたが、それを大きく超えて泣きじゃくります。

翌日の練習に遅れてきた玉田は、手が震えてリズムが刻めなくなってしまい、理由をつけて練習場所であるtake twoから抜け出します。それを見た雪祈は大をなじります。

大が、ようやく少し叩けるようになった初心者の玉田をステージに引っ張り出したのが原因で、玉田は叩けなくなったのだと。さらにライブ中にミスを連発しすっかり委縮した玉田を助けることもできず、置き去りにして一人で吹いていたのだと指摘するのです。

一方玉田は、take twoから抜け出した先の公園で、奇妙な音を出す楽器のようなものを吹く男子中学生と出会います。

「それ、楽器?」

玉田は問いかけます。

「トランペットのマウスピースです。」

少年は、中学一年で吹奏楽部に入部したばかり、はじめは音が出せないので楽器には触らせてもらえずマウスピースだけの練習を続けています。彼の中学のブラバンは厳しく、小学校からの経験者は夏から楽器を使えるのですが、彼は初心者のためトランペットを触るだけでも先輩に怒られるが、秋には楽器を使えるのを楽しみにしています。玉田は彼に、

「頑張って。」

と言い残してその場を去るのですが、途中でそれが何か違うように感じ、公園に引き返して彼にこう告げるのです。

「頑張って、じゃなかったわ。」

「先輩、ぶっ飛ばしちゃえ。オレならそうする。」

玉田はその後、昨日号泣した橋の手すりをスティックで叩きながら

「大も雪祈も、全員ぶっ飛ばしてやる。」

と誓い、再び練習に励むのでした。

JASS

以前雪祈に自分のバンドに加わるようオファーをし、結果断られたジャズギタリストの川喜田が、小さなジャズバーに姿を現します。そこでは今時のジャズバーらしくなく、若い観客が歓声をあげ演者をあおり、さらに追っかけらしき若い女性客も黄色い声を張り上げていました。演奏しているのは「JASS」という若者のバンドです。サックス、ピアノ、ドラムの三人編成でベースレスです。

川喜田が探しあてた雪祈がそこにいました。曲の最中でも気に入らないプレイに対して言い合いをし、観客はそれに対しても盛り上がります。ステージと客席が一体になって作り上げる、まさしく「ライブ」な空間でした。そしてそこには玉田もいました。まだ大と雪祈の「fight」には入っていけない玉田ですが、いつか必ず殴り込んでやるつもりでいます。

川喜田は勢いのある三人の演奏、そして雪祈の挑発に対して目の前で成長を見せる大を目にして、マスターにギターを借り

「ちょっと負けに行ってくる。」

とステージに飛び入りするのでした。

いや、かっこいいな川喜田さん。

センスも才能もある十代の若者トリオと言えばこちら、ソルティドッグ (僕のジョバンニ)もそうです。オリジナル中心で、JASSはベース、ソルティドッグはドラムがいないところも、フライヤーにセンスの欠片もないところも同じです。(大がPCで作ったフライヤーは三人の焼き肉を食べる写真、縁の手書きフライヤーに至っては、ヘタな犬の絵が添えられているという代物)

二作品の連載時期からすると年齢的に5歳くらいJASSの方が上なのですが、この二つのバンドが出会ったらどんな感じなのでしょう。

・・・なんとなく、雪祈と縁が喧嘩して終わりそうな気がする。



1巻はこちら

2巻はこちら

3巻はこちら

4巻はこちら

5巻はこちら

7巻はこちら

8巻はこちら

9巻はこちら

 

Amazon Primeでオンラインピアノレッスンが3か月無料、その他にも会員特典がたくさん。

Amazon prime会員限定セールはこちら

BULE GIANT5巻(ブルージャイアント)あらすじとネタバレ

購入は画像をクリック

沢辺 雪祈(さわべ ゆきのり)18歳 担当パート、ピアノ

take2のアキコさんに教わったライブハウスで、大はピアニストの沢辺雪祈と出会います。一曲通して左手だけで弾き通し大の心を強く動かした雪祈は、大の右手の親指にできているタコを見てサックス吹きであることを看過し、さらに大の年齢を聞き

「一緒に組まない?」

と誘いをかけるのでした。雪祈の野望は、10代の若いプレイヤーで東京の音楽シーンの先頭に立つこと。そして、長らく日本のジャズ界でプレイするベテランミュージシャンにわからせてやるのだと大に語ります。

「あいつらがどんだけジャズをダメにしてきたか、あいつらのせいでジャズが負け続けてきたんだっつーのを・・・。」

そう言う雪祈の言葉を遮るように大は言います。

「ジャズを好きな人たちがいるから、今日もまたジャズがある。」

他の人がどう思うかより、自分しか出せない音を出すことに、必死だと。

生意気で傲慢、しかし心根は優しい雪祈と真っすぐでスケールが名前の通り大きく、とんでもない可能性を秘めた大、二人の才能ある若者の最初の出会いでした。

雪祈に連れられて行った日本屈指のライブハウス「So Blue」(モデルはBlue Note Tokyo)の立見席で、週三回通っているという雪祈が、ライブの音に合わせて一心に手すりを「弾いている」のを見た大は、

「雪祈、組もう。」

と言います。

3年間、どんだけやってきたんだ・・・

工事現場で誘導のバイト中の雪祈の元に、大から電話が入ります。サックスがメンテナンスから戻ってきたので、自分の音を聴いてほしいとの電話でした。バイトを終えた雪祈はTake Twoに向かいます。そこで雪祈は、大のサックス歴が3年であること、ブラバン部員ですらなくバスケ部であったことを知り、密かに軽くみるのでした。

大はピアノを弾こうとした雪祈を押しとどめ、

「オレ一人で吹いても、ヘタかどうか雪祈なら分かるべ?」

「一緒にプレーするのは、組んでからでいいんだべ。」

そういって一人でプレーし始めます。

吹き終わった大を、雪祈は何も言わずに帰します。そして、Take Twoのカウンターで一人涙するのでした。

大の音に心を揺さぶられた涙でした。才能と・・・努力に、感動したのです。

「たった3年で、どれだけ努力したんだ。」

雪祈は努力家です。口でも相当のことを言い、自信家でもありますが、それには才能だけでなくそれ以上の努力の積み重ねという裏付けがあってのことでした。その雪祈を、大の音は完全に打ちのめしたのでした。そして、その大の努力に感動する雪祈の努力も凄まじいもので、その雪祈だからこそわかるものでもありました。

ドラムは車。ドライブさせてくれる才能あるドラマー、急募!

大は雪祈からOKの返事をもらい、二人は一緒にやることになります。大は雪祈が大の音につき抜かれてしまったとを知りません。雪祈はあくまで、「合格」とだけ伝えたのです。

雪祈はリズムセkション、それもまずドラマーが必要だと言います。ドラマーの必要性がいまいちわかっていない大に、雪祈は

「ドラムは車だ。」

と言うのでした。ドラムは車、いいジャズドラマーはレーシングカーでも高級車でもスポーツカーでもトラックでも、すべての車になることができ、乗せている上物プレイヤーの音に瞬時に反応する耳を持っているのが才能あるドラマーだと。

大の家主である玉田は高校の時からサッカー部で、大学に入ってもサークルでサッカーをやっています。しかし玉田はサークルのサッカーの緩さに物足りなさを感じていました。。

勝手に玉田のアパートに上がり込み、決起集会を繰り広げ熱くジャズを語り合う大と雪祈に何かを感じた玉田は、サークルを辞めました。その足で、川原で一人練習する大の元に行きます。大は玉田に木の枝と空き缶を渡し、リズムを出してもらいます。玉田の叩くリズムで一心に吹く大を見る玉田の脳裏には、かつて全力で打ち込んでいた高校のサッカー部がよみがえります。一方大は、玉田の天性のリズム感に気づきます。玉田は自分にドラムができるのだろうかと大に問い、大はそんな玉田を雪祈の元に連れていき

「ドラマーの玉田君です。」

と紹介するのでした。勿論、雪祈は大反対です。押し切った大が玉田に叩かせてのセッションですが、初めてドラムに触った玉田は当然ついていけません。雪祈は玉田を帰し、素人とはやれない、自分たちには時間がない、と大に告げます。雪祈の夢は10代のメンバーでSo Blueのステージに立つこと。18歳の雪祈には残された時間は本当にわずかなのです。ジャズの高い敷居をまたいで越えてきた奴としか組めない、そう雪祈は言うのでした。

それに対して大は

「なら、オレもだ。」「ジャズの敷居、見たこともまたいだこともねえっちゃ。」

ドラマー 玉田俊二 ドラム歴4日

玉田が帰ってから4時間ほど雪祈とセッションした大が帰宅すると、玉田は毛布をかぶってバケツを叩き続けていました。それを見た大は

「やりてんだから、いいじゃんな。」

とつぶやくのでした。

玉田はさらに電子ドラムを購入し、教本を見ながら練習をはじめます。そしてドラム教室の体験レッスンにも参加します。玉田の生活はわずかな間にドラム一色に変わりました。

ちなみに玉田購入の電子ドラムは多分これ。作中でYAMAHAの箱で届けられています。値段も一緒。

購入はこちらから



 

一方雪祈は、大学のジャズ研の同期のドラマー、上野を連れてきます。雪祈は玉田に、上野と玉田とどちらが上か玉田自身で決めろといいます。

大、雪祈、上野の三人のセッションがはじまりますが、大は雪祈のいうドライブさせてくれる車を上野に感じません。雪祈の求める反応のよさもなく、ついていくのがやっとでした。上野もすぐにそれを悟りサークルに戻っていきます。

玉田はそのあと、雪祈に止められながらもドラムの前に座ります。習ったばかりの8ビートでセッションが始まります。

セッション後に玉田とはやれない、という雪祈に対して大は、それが一番簡単だ。だからジャズがダメになるのだと言い放つのでした。

「オレは上手くても下手でも、感動できればいい。」

雪祈は玉田に今は正式なメンバーにはできないけど、練習には好きなだけ来ていいと言います。ドラマー、玉田俊二の誕生です。

So Blue・・・Blue Note Tokyo

雪祈の憧れのライブハウス、So BlueのモデルになっているのがBlue Note Tokyo

言わずと知れた日本のジャズクラブのトップに位置する名門です。ただSo Blueのように安い立見席はありませんので、雪祈が週3回通い続けるのは無理な気がします。

そのBlue Note Tokyoのステージに最年少で立ったのがLittle Glee Monster。MTV Unpluggedの公開録画でのことでした。2018年6月のことなので、ブルージャイアント5巻の本誌掲載時には10代のミュージシャンはまだいなかったことになります。

果たして雪祈の夢は叶うのか、これから先明らかになります。

Blue Note Tokyo

 

雪祈は「音楽教室なんか行くな」と独白するのですが

ドラム教室では体験レッスン募集中。ドラムもプレゼント

1巻はこちら

2巻はこちら

3巻はこちら

4巻はこちら

6巻はこちら

7巻はこちら

8巻はこちら

9巻はこちら

 

 

BLUE GIANT4巻(ブルージャイアント)あらすじとネタバレ

ギャフン、っつたんだべよ!

購入は画像をクリック

大をステージから降ろしたおじさんは、「一曲だけでも聴いてほしい。」という大の願いを受け、カウンターに座りなおします。

大はステージに上がり、川原で何度か感じてきた音と自分がつながる感覚を思い出そうとしています。つながれば、いける!そう思っているのです。吹き始めた大の音に、以前のライブを知っているバードのマスターやピアニストは、短い期間での成長を感じます。

けれども大は、間違ったことはやっていないのにつながれない自分を感じるのです。アンサンブルなのに一人で吹いているようにさえ思えます。あせりながら客席の由井を見ると、由井が自分の耳を差し、何か言っています。「聴け!」と。

それを見て悟った大は、改めて回りの音に注意を向け聴き始めます。他の3人のリズム隊は(ドラム、ベース、ピアノ)大の音がバンドにはまってきたことを即座に感じ、反応します。

しっかりとアンサンブルになったところで、大が前に音を出していきます。今度は一人ではありません。そこでつながることのできた大の創り出すラインにピアニストが引っ張られ、喜びの表情を浮かべます。そして例のおじさんは、大が宣言した通り度肝を抜かれたで見ていました

4人で創り出す音の波の中に大がいて、何か掴んだような顔で立っている顔が印象的なコマは原作で確認してください。大を、そろそろ人とやらせようとバードに連れてきた由井の判断は、やはり間違っていなかったのです。

大はおじさんに言います。

「高校を卒業したら、仙台を離れジャズプレイヤーになる。その前におじさんにもう一度聴いてもらいたかった。」

それに対しておじさんは、

「ギャフン、っつったんだべよ。」

と、相変わらず憮然とした表情で答えるのでした。

小っちゃい兄ちゃんは、もう帰ってこないんだ

大の妹、彩花は小6、雅之が大好きで、

「大きい兄ちゃんのお嫁さんになる。」

と公言しています。半面大とはいつも喧嘩ばかりしています。彩花の口癖は、

「小っちゃい兄ちゃん、やっぱ馬鹿だ。」

何かにつけて大を馬鹿にし、舐めた態度を取る生意気盛りの女の子です。雅之は大と彩花の母親代わりも務める大人で優しい青年ですが、次兄である大は彩花をからかったり意地悪をしたり、嫌われるようなことばかりしているので致し方ありません。けれども、雅之は家を出て一人暮らし、父は仕事で不在の時、インフルエンザにかかった彩花を負ぶって医者に連れて行ったのは大であり、彩花も実は大を慕っているのでした。それを二人の兄もよく知っています。

大はジャズプレイヤーになるため東京に行くことに決め、家族を集めその決意を話します。父の提案で、大は初めて家族の前でサックスを吹くのでした。大のサックスを聴いた父と雅之は嬉しそうな顔をし、彩花は涙を流すのでした。

彩花は大のサックスを聴いて、はっきりと悟ってしまったのでした。

「小っちゃい兄ちゃんはもう、帰ってこないんだ。」

Take Twoとの出会い、そして・・・彼がいた

大は東京へ旅立ちました。同級生の玉田のアパートに転がり込んでの居候生活です。生活のためのバイト三昧の日々です。深夜にやっと自分の練習ができます。初めて親元を離れ、まず食べなくてははじまらないという現実を目の当たりにします。

そんなある日、サックスをメンテナンスに出し練習ができない大は、街で見かけたジャズ喫茶に入ります。そこには客の姿はおろか、店主さえも見当たりません。BGMすらなく、流れてくるのはラジオの野球中継でした。

ようやく姿を現した店主は50代くらいの女性、ジャズはやっていないのかと聞く大に

「今日は、なし。」

と不愛想に答えます。そして、

「レコードでもいい?」

と大に問い、夥しい数のレコードから一枚を選び出しました。その膨大なレコードを見て大は、

「この人、ジャズを信じてるんだな。」

と感じるのでした。これが、Take Twoオーナーのアキコさんとの出会いです。

ライブが聴きたかった大でしたがレコードのよさも感じ、すっかりご機嫌になったところで、アキコさんからライブをやっている店を教わりそちらに寄ることにします。店に行ってみるとちょうどセッションの日でした。サックスをメンテナンスに出してしまった大はそれを残念に思いながら店に入ると、ピアノの前に彼がいました。

大が最初にバンドを組む同世代、雪祈(ゆきのり)との邂逅でした。

舞台は仙台から東京へ 大きく転換を迎えた4巻

大の最初のセッションで演った最初の曲はこれ。

Cherokee-Charlie Parker .クリックでyoutubeへ

大は、まず生活のためにバイトをし、「金がないのって甘くねえべ。」とレインボーブリッジを見ながら思います。そして、

「腹へった、腹へった、腹へった、腹へった!!」

と吹いていると、屋形船が近づいてきます。そしてそこに乗っていた客のサラリーマンからリクエストされます。それがこの曲

Herbie Hancock – Maiden Voyage クリックでyoutubeへ

その演奏は、大が初めてギャラをもらった演奏となるのでした。

ブルージャイアントで取り上げられている曲をまとめて聴きたい方にはこちらがお勧め

『ブルージャイアント』コンプリート・エディション [ (V.A.) ]

1巻はこちら

2巻はこちら

3巻はこちら

4巻はこちら

6巻はこちら

7巻はこちら

8巻はこちら

9巻はこちら

100チェロコンサート記念!僕のジョバンニとのコラボ企画 

弦楽器の専門誌「サラサーテ」8月号で、「僕のジョバンニ」とのコラボ企画


サラサーテ2019年8月号

僕のジョバンニで鉄雄が弾く、ジョバンニ・バッツォーニの「チェロよ、叫べ!」

モデルになっているのはジョヴァンニ・ソッリマと、彼の作曲した「チェロよ、歌え!」

そのジョヴァンニ・ソッリマが8月に来日します。それを記念して、弦楽器の専門誌サラサーテ誌上で僕のジョバンニとソッリマの特集記事が掲載されます。作者の穂積さんの描きおろしの表紙とともに、ぜひどうぞ。

ソッリマが世界各国で繰り広げる100チェロコンサートが、8月東京で開催されます。その公式サイトに僕のジョバンニの作者、穂積さんがコメントを寄せています。こちらからご覧ください。

100チェロコンサートの公式サイトはこちら

 

 

 

BLUE GIANT3巻(ブルージャイアント)あらすじとネタバレ

二人の「師」・・・由井

購入は画像をクリック

3巻の1話は、大の師匠の由井の日常を描いています。酒瓶の転がる汚部屋のソファで昼まで眠りこける由井に、一本の電話が入るシーンからはじまります。半年前に依頼されたCMソングの催促の電話でした。FAXする旨伝えて、ようやく由井の1日がはじまります。

自宅の地下スタジオでレッスンです。まず60代とおぼしき男性のサックスレッスンです。初心者らしい男性の課題曲は「蝶々」定年後に新しく挑戦した趣味、といったところでしょうか。緊張の面持ちで必死に吹く男性に由井は一言

「上手!」

さらに

「ジャッキー・マクリーンみたい。特にミの音が。」

と付け加えます。すると、それまで半信半疑だった男性の顔がパッと明るくなり、喜んで帰っていきます。やる気が出た様子です。

次の生徒はボーカルの女性、迫力のある体格の彼女にも

「上手!!」

{もう少し口角を上げ気味で歌うといいね。」

とアドバイスします。

その日最後の生徒は大でした。由井は怒鳴りまくります。本領発揮です。

大のレッスンが終わったあと、由井はバークリー時代の同級生、片山に会います。ピアニストの片山は、翌日のライブののため仙台に前のりしてきたのでした。由井は片山に通ってくる生徒の中に面白いやつがいると語るのです。

「ブルージャイアントが現れてお前の耳に届く日が来る。そいつだ。」

次の日、由井は大に片山のチケットを渡し、自分は幼稚園生のピアノのレッスンに勤しむのでした。そこには由井なりの思いがあるのでした。由井は密かに、一流という片山と由井の夢に一人献杯するのです。

けれど由井先生、大に対してだけではなく他の生徒にもいいレッスンしてます。レッスン室に酒瓶が転がったままなのは考えものですが。

最初のサックスの男性に対し、ただ「上手!」と褒めるだけではなく、「ジャッキー・マクリーンみたい。特にミの音が」と付け加えることで、具体的にどこがよかったかを伝えています。男性はジャッキー・マクリーンを知っています。知っているだけでなく恐らく憧れのミュージシャンであるのでしょう。ほんの少しだけ憧れの存在に近づけた喜びとともに、ミだけではなくファもソも他の音もジャッキーに近づけるように努力することでしょう。大にGの座標を与えたように、サックスの男性にも自分の中で一番ジャッキー・マクレーンに近いミの音を指標として与えたのです。

ただ、もしかすると作者の意図するところは、一流を目指して挫折した男が初心者を相手に無難なレッスンをしているが、大に対してだけは本気でレッスンするというところなのかもしれませんが、だとすると由井は作者の手を離れて勝手にいいレッスンをしてしまったのですね。そういうとこ嫌いじゃないですよ、由井師匠。

二人の・「師」・・・ミュージックティーチャー 黒木

雅之からサックスを贈られた大は毎日練習するのですが、どのキーを押しても同じ音しかでないことで悩んでいました。困った大はある日、音楽室に音楽の黒木先生を訪ねていきます。

黒木先生は定年間近と思しき女の先生です。白髪交じりの真ん中から分けたボブが70年代に青春時代を過ごした名残にも見えなくありません。その人柄は真面目でピュア。音楽室に来た大に両手をきちんと前で組み

「バスケットボール部の宮本君。」

と呼びかけます。バスケ部、なんて略し方はしないのです。大は黒木先生が部活まで覚えていることに驚きます。黒木先生は全生徒のフルネームと部活を覚えているのでした。

大の悩みを聞いた黒木先生は、大にサックスの運指表をくれました。「宮本君 がんばってください。」と書き込まれた運指表を頼りに運指を覚えていきます。

どうしたらうまくなるのかと問う大に黒木先生は、

「吹くの。毎日吹くの。」

「毎日毎日毎日毎日ずっとずっとずっとず——-っと毎日吹くの。」

「きっと上手くなる。先生応援してるから、ね。」

その言葉の通り毎日毎日吹き続けた大は、高校最後の学園祭。サックスのソロでステージに立つことを決めます。学園祭当日、ロックバンドがほとんどのステージでジャズという音楽の熱さ、激しさ、カッコよさを伝えにいきます。

一方黒木先生は、生徒たちのステージを見ながら、かつてバンドマンを目指した大勢の教え子たちに想いを馳せます。たくさんの子供たちが音楽を愛し、バンドマンを目指し、挫折していったこと。その子たちに自分は何かしてあげられたのかと自分に問うのでした。

大は最初の一音で観客を圧倒し、体育館中を沸かせました。そして2曲目は黒木先生をピアノに迎え、演ったのは校歌。大合唱になったところでジャズアレンジになります。黒木先生は立ち上がって熱いソロを繰り広げます。全員総立ちでした。ジャズが伝わったのです。

大は黒木先生に伝えます。黒木先生が音楽の先生でよかったと。音楽は人生に不可欠な、心の欲する栄養だと語った黒木先生の授業も間違いなく伝わっていました。

次の日、舞とデートをした大は舞に「仙台を離れる。」と告げます。由井にはジャズの道は険しいこと、調子にのるな、と釘をさされた大でしたが、若者にもジャズは伝わると確信したのでした。

2度目の「バード」で、あの人と再会

由井は大が急速に成長したことを感じます。毎日川原で一人きりで吹いている大に、そろそろ他の人と一緒にやる時期が来たと告げ、バードのオープンマイクに連れていきます。バードは何も知らなかった大が初めてライブをやり、最初の挫折を味わった店です。大は由井に、バードで演るなら聴いてほしい人がいると言います。

その日ピアノを弾いていたのは大の初めてのライブの日のピアニストでした。彼は大の参加を喜びます。自分の出番まで他の人の演奏を楽しむ大でしたが、スケールからはずれた音、合ってない音にすぐ気づきます。そんな聴き方をしたことがなかった大は、自分の耳が明らかに成長していることに気づきます。

そこにやってきた一人の酔客が、大の待っている人でした。最初のライブの時、大はバンドとのバランスを考えず川原で出している音量で吹いてしまい

「うるさいんだよ君は!」

と客に怒られてステージを下ろされてしまうのですが、その客がマスターに呼ばれてやってきたのでした。大の顔を見て帰ろうとする客に大は、一曲だけ聴いていってくださいと頼みます。

「必ずおじさんの度肝を抜きますから。」

と。

 

さて、由井先生は仙台にしかいませんが(しかも2次元の仙台にしかいませんが)こちらの教室なら全国どこからでも通えます。教室に酒瓶が転がっていることもありません。体験レッスンからどうぞ。

全国約40校のミュージックスクール

楽器がもらえる音楽教室【EYS音楽教室】

1巻はこちら

2巻はこちら

4巻はこちら

5巻はこちら

6巻はこちら

7巻はこちら

8巻はこちら

9巻はこちら

 

 

 

 

 

 

BLUE GIANT2巻(ブルージャイアント)あらすじとネタバレ

ヘタクソでナニが悪いんすか?

購入は画像をクリック

毎日川原でサックスの練習を続ける大にも、好きな女の子がいます。水泳部の三輪 舞(みわ まい)です。舞は背が高く、さっぱりした気性の女の子です。修学旅行の時、大は舞をデートに誘います。

「自転車に乗せていくから、海を見に行こう。」

大らしく、ストレートな誘いの言葉でしたが、その時には実現しませんでした。それから一年後、花火大会の日に川原で練習する大の元に舞が現れます。

大は舞に今練習している曲を聴かせるため、ヘッドホンを舞に貸し、スマホでコルトレーンを流します。

「喫茶店のBGMみたいな感じ」

と舞が思ったところで、大がホリュームを上げます。びっくりした舞に

「もう少しそのままデカい音で聴いて。」

舞は先ほどまでとは全然違う音楽に思わず笑みをもらし、

「いいね。」

「それが、ジャズ!」

いいね、と笑う舞の表情がとてもいいのです。

舞を家まで送る途中、駅前でストリートミュージシャンが演奏しているところに出くわします。と、そこに通りかかった酔っ払いが一人、

「ヘタクソ」

と怒鳴るのでした。

大は思わず、

「ヘタの何が悪い。」

「みんなヘタクソからはじまるんだ。ヘタだから練習して、そしていつの日か、誰かの気持ちに届く音を出す。ヘタクソで、何が悪いんすか。」

と言ってしまいます。

酔っ払いは大に、お前はヘタクソか、と聞き、練習しろと言い残して去りました。これが、大と師匠の由井(ゆい)との出会いでした。

Gの座標に立つ・・・ジャズへの一歩

いつものように川原で練習する大の所に、初めてのライブをやったジャズバー「バード」のマスター、川西訪ねてきます。川西は大の音が忘れられず、会わせたい人がいる、と大をバードに連れていきます。そこにいたのは駅前で出会った酔っ払いの由井でした。

大はビビりながら、ピアノの前に座った由井と初めてのセッションをします。前回のライブのことを思い出し躊躇する大に由井は、

「いつもの川原の感じてやれ。」

と促すのでした。

はじめてすぐに由井は、大の出す音が尋常でない響きを持っていること、理論ではなく感覚、躍動感でのアドリブであること、そしてその音が未熟なのにも関わらず人を圧倒することを見抜きます。そして大も、自分の音が支えられる初めての感覚に楽しくてしかたがなくなるのです。

初めて全部出せた充実感と疲労感を覚える大に由井は、

「ヘタだ。」

と言います。理論、もプレイも全部だめ。だけど・・・。由井は大にサックスを教える、と言うのでした。

由井の初レッスン、まず教わったのは「G」の音。音の名前も高低も知らないままサックスを吹いてきた大への、初めての伝授と言えるものでした。「G」の音を座標とし、そこからどこにでも動ける。音を操縦する技術を身に着けることができる。「G」の上にしっかり立て。と教わるのです。

ちなみにレッスン室は由井の自宅スタジオですが、酒瓶がピアノの上にたくさん転がっています(笑)

定禅寺ストリートジャズフェスティバル

定禅寺ストリートジャズフェスティバルとは、仙台で行われている実在のジャズフェスです。仙台の街中で市民ボランティアが中心となって1981年から開催されている歴史あるフェスなのです。ジャズとついているものの、ジャンルは問わず、ありとあらゆる音楽を気軽に楽しむことができます。毎年9月の第2土曜、日曜に開催され、700組のバンドと75万人の聴衆で仙台の街がいっぱいになります。

大は舞と一緒に定禅寺ストリートジャズフェスティバルに出かけます。実質初めてのデートです。様々なジャンルの音楽を片っ端から聴き歩く二人、音楽といえば女子高生に人気の曲しか聞かない舞も、普段聴かないような音楽を楽しんでいます。

大は、街中のステージのない通りでサックスを取り出します。驚いた舞に一人で何を吹くのか聞かれた大は、

「音楽はいいなあ、音楽はスゲエな。を吹きます。」

と答え、吹きはじめます。

大の音に圧倒された人々が集まってくるシーン、最初に驚きで振り返った幼女の表情、衝撃を受けた人々の顔と吹き続ける大の姿、この一連のシーンは是非とも原作で味わってください。これは漫画でなきゃ伝わらないです。

2巻のボーナストラック2は定禅寺ストリートジャズフェスティバルの潜入レポートです。合わせてお楽しみください。

定禅寺ストリートジャズフェスティバルを含む、2019年今から間に合うストリート音楽フェスティバルのご紹介はこちら

50万円、36回払いのサックス

大は10歳の時に母親を亡くしています。兄、雅之は13歳、妹の彩花は3歳でした。何もわからない彩花、泣きじゃくる大に対して、中学生の雅之は泣くのをずっとこらえていました。それから雅之は、忙しい父をサポートし弟妹の保護者代わりに面倒を見てきたのです。

大のサックスは雅之からのプレゼントです。大がジャズに心惹かれ、サックスを吹いてみたいと思っていることを聞いた雅之は、楽器屋に行き

「この店で一番いいサックスをください。」

と言って初任給で36回ローンを組んだのでした。

欲しいもの何か買ってやる、と雅之が言っても、無邪気にねだる彩花とは対照的に大は、何もいらないと断るのです。大は雅之の給料を使わせることを気にしていたのでした。

就職と同時に家を出て一人暮らしをしていた雅之が、ある日突然帰宅して大に

「お前のだぞ。」

とサックスを手渡します。それを見た大は、何も言わず家を飛び出し一人涙します。

大を取り巻く人間関係が、暖かく実があるいいものなのです。兄の雅之だけではなく、妹の彩花や、スーパーの店長をしている父、音楽とは関係ないバイト先の上司や同級生との関係も、わざとらしくなく表現されています。なかでもこの雅之とのエピソードは何度読んでも泣けます。

ところで雅之が大に贈ったのは、セルマーのテナーサックスです。一番価格が近いのはこれかな?



雅之が大に贈ったのはセルマーのテナー。購入はこちら

 

由井先生も雅兄もいないけど、サックスをはじめてみたい方はこちら

1巻はこちら

3巻はこちら

4巻はこちら

5巻はこちら

6巻はこちら

7巻はこちら

8巻はこちら

9巻はこちら

 

 

 

 

 

 

BLUE GIANT1巻(ブルージャイアント)あらすじとネタバレ

迷わず突き進む。宮本大は今までで一番新しい主人公かもしれない

購入は画像をクリック

BLUE GIANT(ブルージャイアント)は仙台に住む高校生、宮本大(みやもと だい)がジャズに魅せられ、サックスに魅入られて、ジャズの世界に飛び込み世界一のサックスプレイヤーになると決めて突き進む物語です。ジャズに夢中な同級生の近藤周平(こんどう しゅうへい)に中学卒業記念にジャズライブに誘われて初めてジャズに触れ、一気にジャズにのめりこんでいきます。バスケ部に所属していますが、部活の後に毎日、広瀬川の土手でサックスの練習をします。まったくの独学です。教本すらも使っていません。

高校の同級生にはジャズという音楽の魅力をまったくわかってもらえません。このあたりは、僕のジョバンニの鉄雄の小学生時代と共通するものがあります。大にとってジャズは「熱く激しいもの」なのですが、その魅力をどう伝えればいいかはわかりません。

一方、高校へ入ったらジャズピアノをやると決めていた周平ですが、医者の息子で自らも医者志望の彼は勉強が忙しく、ピアノは高校一年で辞めてしまいます。ある日、久しぶりに家に訪ねてきた大が、あの日からずっとサックスを練習し続けていたことを知ります。周平は大の初めての観客になるのでした。

決してうまくはない大のサックスに引き込まれた周平は、世界一のサックスプレイヤーになるという大に

「俺は世界一の医者になるぞ。」

と告げるのでした。

初めてのライブの後、公園で一人・・・。

ある日、いつもリードを買いにいく楽器屋の店長から、

「決まったから、君のライブ」

と突然の誘いが来ます。店長の小熊は、いつも尋常ではない数のリードを買いにくる大を、高校のブラバン部員だと思っていたのです。が、一人でその量のリードを消費しているのを知り、それだけでは足りず竹でリードを自作したり、どうすればジャズプレイヤーになれるかと質問したりするのを見て、大を面白い子だと思うようになったのです。

初めてのライブ、ライブどころかセッションも出たことがない、譜面も読めない、曲も知らない大は、とにかく自分を出し切ると決めてソロを吹くのでした。

そして・・・。

夜の公園で、一人涙を流します。ジャズの約束事を何一つ知らない大は、途中でステージを下ろされてしまったのです。

けれども、次の日もまた、土手で一人練習する大の姿がありました。めげず、まっすぐにジャズの道を突き進むのです。

あっさりクビになってしまった最初のライブでしたが、大のまれにみる才能と、それすらも上回る情熱に注目していた人もいました。ライブハウスの店長と、バンドのピアニストです。各巻の最後にボーナストラックとして、世界で活躍し恐らく海外在住であろう大の現在を、縁の人達のインタビューという形で垣間見ることができます。1巻ではそのピアニストのインタビューも入っています。大のめちゃくちゃでド素人な演奏に一発で惚れたと語る彼は、そののち一流プレイヤーとなった大と再び共演しているようです。

世界を当然手に入れられると信じている

大は初めから世界に出られることを信じて疑いません。時々は疑ったり自信を失ったりしますが、総じて自分は当たり前に世界一であると信じています。「世界一」は初めから自分の中にあり、それを具体的に形にしていくだけのことなのでしょう。だから小さいことで悩んでいる暇はないのです。

ところで天才サックスプレイヤーといえば、この人もそうですね。「キャバレー」の矢代俊一。彼も自分の世界に出る才能についてだけは、まるで疑っていないようです。ただ性格的にうじうじしやすいところがあるため、ジャズ以外のところでおおいに思い悩むのですが。

サックスと世界一になるという確信と情熱以外に何も持っていない(あと、いい家族と親友と助けてくれる人はいたな。)大に比べると、俊一は何でも持っています。サックスだけではなくフルートも吹き、裕福な家庭に育ち、幼い頃からピアノとギターを習い、オリジナルも作ります。才能と情熱以外に知識もスキルも十分あります。だからこそ、それらを捨ててたたき上げのしぶとさを身に着けるために、場末のキャバレーで修行をするのです。

何も持っていない大は、ただひたすら突き進みます。捨てるものを何も持っていないのです。俊一が19歳で既にプロでやっていけるレベルであるのに対して、大はまだ素人です。それでも人を魅了することができるのです。

周平は、その大の音を聴いて、自分は世界一の医者になる、と宣言しました。大の中に既にある「世界一」に気づいたのではないでしょうか。

もし、大がここでリードを買っていたら

大は、ブラバン部員が代表で買いに来てる、と楽器店で誤解されるほど大量のリードを消費します。しかもそれでは足りなくて竹でリードを自作します。(まったく使えなかったのですが)

ここで買ったら安かったのにね。

サウンドハウス

D'Addario Woodwinds ( ダダリオウッドウインズ ) / La Voz Tenor Medium RKC10MD テナーサックスリード 10枚入り

D‘Addario Woodwinds ( ダダリオウッドウインズ ) / La Voz Tenor Medium RKC10MD テナーサックスリード 10枚入り

音楽に関わる全ての人が、知っておかないと損をする、楽器、PA機材、何でも安く手に入ります。

でも、大がここでリードを買っていたら、ひろせ楽器の小熊店長からライブの話がくることはなかったでしょうから、これでいいのかも。

2巻はこちら

3巻はこちら

4巻はこちら

5巻はこちら

6巻はこちら

7巻はこちら

8巻はこちら

9巻はこちら



 

 

音楽漫画 僕のジョバンニ 4巻 あらすじとネタバレ

落ちこぼれトリオのライブ!ソルティドック


購入は画像をクリック

鉄雄に自作曲でライブをやることを提案した縁は、乗り気ではない鉄雄をよそにどんどん話を進めます。まずバイオリニストとして、鉄雄と郁未が出たコンクールで百合子の弟子を騙った御手洗健太をスカウトします。御手洗はバイオリンからチェロに転向したのでバイオリンも弾けるのです。

さらにライブ会場として、縁のバイト先の喫茶店を選んでありました。喫茶店ではじめて御手洗と音合わせをした鉄雄は、御手洗がチェロよりバイオリンの方が巧いことに気づきます。御手洗は音楽一家に育ち父親も兄姉も国内で入賞経験がある中ので落ちこぼれで、バイオリンでは一番になれないからチェロに転向したと語ります。

それを聞いた鉄雄は、

「コンクール嫌いのピアニスト、音楽一家の落ちこぼれ、師匠が有名なだけの凡人」

3人の落ちこぼれライブだと言い、面白いライブにする、とやる気になるのでした。

オリジナル曲だけのライブの難しさを知るマスターの松浦の提案で、ライブ曲をあらかじめ録音した音源をライブの日の二週間前から店のBGMとして流すことになります。宅録ができることで鉄雄のテンションは一気にあがるのでした。

トリオ名はソルティドッグ。カクテルの名前ではなく、「しょっぱい負け犬」という意味です。ライブ当日の一曲目はオリジナルではなく、キング・クリムゾンの「21世紀のスキッツォイド・マンバリバリのプログレです。キンクリは今でも現役ですが、録音自体は1969年、喫茶店の常連客も大半が子供か、まだ生まれていないかです。それを現在の高校生が演ってしまうのですから、それだけでも注目は集まります。そこに鉄雄の超絶アレンジ、そしてぶっ続けでオリジナルに入る展開で、客席を完璧に掴みます。この辺は、イタリアでジャズクラブ等にも入り浸っていた鉄雄がライブというものをよく知っていたためにできること、と言えるでしょう

鉄雄は演りながら、

「ああ・・・俺、本当に 音楽が好きだな

と幸福感に満たされていきます。さらにハプニングもあり騒ぎになりましたが、その際の松浦の言葉も鉄雄の心に響きます。ライブを終えて、鉄雄は何かをつかんだように感じるのでした。

哲郎に思いがけない仕事のオファー。

哲郎は鉄雄が少し変わったことに気づきます。そして、百合子に自分がもっとしっかりしていたら鉄雄と郁未はここまでこじれなかったかもしれない、と思いを打ち明けます。自分がチェロをやめてから、一人で弾くしかなくなった鉄雄がどれだけ孤独だったか、鉄雄を孤独にしたのは自分で、それが郁未を追い詰めることにつながったのではないか、哲郎は一人思い悩んでいたのでした。百合子は哲郎に、自分を責めるなと伝えます。お前は一人でしょい込みすぎるとも言います。

そんな時、哲郎の勤めるメンタルトレーナーの事務所に、哲郎を指名する仕事が舞い込みます。クライアントは橘郁未。郁未と手塚兄弟が関わりが深いことを知る郁未のマネージャーからのオファーでした。

現在の鉄雄と郁未の関係を鑑み依頼を断ろうとする哲郎ですが、事務所所長の説得もあり、一度だけでも郁未に会ってみようと依頼を受けます。郁未は数時間の面談の間哲郎の語りかけにも拒否を示し、面談は失敗だったと思う哲郎でしたが、マネージャーは面談終了間近に初めて郁未が自分から人に話しかけるところを見たと言い、再度の面談を依頼するのでした。

哲郎は郁未との面談で、一緒に暮らしていた頃の昔話をするのでした。話をするのは主に哲郎で、郁未は哲郎の問いかけに答えるだけなのですが、その郁未の記憶があまりにも鮮明で哲郎はそれに驚き、東京へ出てきてからの郁未の孤独と帰国して仲間が増えた鉄雄を思います。

鉄雄は再度コンクールに出ることを決めます。百合子はその、カルミナ国際コンクールに、郁未と対をなすもう一人の天才高校生チェリストが出ることを聞きつけます。もう一人の天才、皆川優(みながわ まさる)は郁未が出ることを期待しての出場らしいこともです。そして郁未は鉄雄が出るからカルミナ国際に出るはずだと、鉄雄は言い切ります。

御手洗に、郁未との関係を聞かれた鉄雄は

「・・・トモダチ」

と切ない表情で答えるのでした。

4巻で使われた曲はこちら

ソルティドックのファーストライブ1曲目、キングクリムゾンの名曲です。ここに聖夜の深井が客としていたら大喜びしそうです。1980年にプログレはもう終わったと嘆いていた彼ですが、この曲は1969年、全盛期の頃です。

ダウンロード版


21世紀のスキッツォイド・マン

収録アルバム新品/中古


クリムゾン・キングの宮殿(K2HD/紙ジャケット仕様)

クリックでyoutubeへ

 

百合子がコンサート直前に、スポンサーの意向で予定に入れてないのに弾くように要請されブチ切れた曲。鉄雄の説得で弾くことになりました。。

 


亡き王女のためのパヴァーヌ


ラヴェル : 亡き王女の為のパヴァーヌ/マックス・エシーク社/ピアノ伴奏付チェロ・ソロ用編曲楽譜

 

1巻はこちら

2巻はこちら

3巻はこちら

5巻はこちら

 

 

音楽漫画 僕のジョバンニ 3巻 あらすじとネタバレ

5年ぶりに再会した鉄雄と郁未


僕のジョバンニ(3) (フラワーコミックス) [ 穂積 ]

さて、2巻のラスト、コンクールで再会した鉄雄と郁未でしたが、どのような再会だったのでしょうか。

「久しぶりだな。」

と話しかける鉄雄、それに対する郁未は、

「なぜお前がここにいる。」

と冷たい表情で返します。郁未は鉄雄に、自分を恐れてイタリアに逃げたお前に、日本での居場所なんかない。と告げます。鉄雄は、昔から自分の居場所なんかなかった。日本に帰ってきたのは、0からはじめるためだと答えるのでした。確かにコンクール会場では、郁未の名前は知れ渡り恐れられ、鉄雄は「見ない顔」とされています。

縁は郁未のことを語る鉄雄の表情で何らかを悟り、

「鉄雄は鉄雄の演奏をしたらいい。」

と話します。今後、この縁の洞察力や思いやりが要所要所でうまく働いていくのです。若いのに大した子です。百合子の推薦で鉄雄の伴奏者になった縁ですが、ピアノの実力だけでなく人柄も合わせて鉄雄と相性がいいと考えての推薦だったのではないかと思います。結構言いたいこと言ってるように見えて、本当に言ってはならないことは言わない、取得選択能力もあります。伴奏者として最適なのです。

郁未の圧倒的才能の前に、崩れていく出場者たち。果たして鉄雄は?

演奏順は郁未がトップです。既に名が通っている奏者がトップで演奏することが実際にあるかどうかはわかりませんが、最初に郁未の演奏を聴いた出場者が皆、調子をくずして実力を発揮できないで演奏を終えてしまいます。郁未の見せる圧倒的な実力や才能の違いに、自分を失ってしまったのです。そしていよいよ鉄雄の出番が来ました。

会場の空気はまだ、最初の郁未の演奏に支配されたままです。鉄雄の出番は休憩をはさんで14番目です。郁未の演奏がどれだけ強烈だったかわかりますね。はらはらして哲郎が見守る中、鉄雄の演奏がはじまります。

鉄雄の演奏は会場の空気を一気に変えました。感情を十分に乗せた、個性的で直観的な演奏です。それが実は緻密な計算の上に成り立つものだと気づいた人は、客席の中には二人しかいませんでした。

その、完璧なはずの世界が、客席の郁未の姿を見たとたん崩れてしまったのです。縁がなんとか合わせにいこうとしますが、立ち直れないまま鉄雄の出番は終わってしまいます。鉄雄は予選落ち、さらにその直後、郁未が本選を辞退します。繰り上げの通過者にも鉄雄の名前はありませんでした。

どう言葉をかけていいかわからない哲郎に鉄雄は、

「ものすごく悔しい。」

「でも、これが俺の今の実力。」

「過去の成績とか、師匠が誰かとか、そういったものをすべてとっぱらったところから始める。」

と告げます。

百合子の突然の帰国。いったいなぜ?

ある日、公園でチェロを弾く鉄雄の前に郁未が現れ、

「これほどの実力があって、なぜコンクールではあんな演奏をした!」

と鉄雄を責めます。コンクールでの鉄雄の演奏が、技巧だけで作り上げたものだということに気づいていた一人は郁未でした。郁未は昔の鉄雄の演奏の方が好きだとも言います。そして自分と鉄雄の間にチェロ以外に何がある?と聞き、

「自分は上に行く。お前はそこでそうしてろ。」

と言い残して去っていったのです。

そんな中、百合子が突然帰国します。空港に迎えに行った鉄雄たち兄弟と縁。百合子は会うなり鉄雄に旅行鞄で鉄拳を食らわせます。

「人前で技巧だけの演奏をすることを、お前に固く禁じていたはずだ。」

返答次第では破門にする、と百合子は言います。鉄雄の演奏の真意に気づいていたもう一人は、審査員で百合子の知人だったのです。

鉄雄の演奏は過去の演奏家達の完璧な模倣をつなぎ合わせたもので、模倣としてクオリティが高くそのためかえって、鉄雄の欲とあざとさが耳についたとその審査員は言ったのです。

「小賢しい」

百合子の説教はさらに続きます。模倣を否定するわけじゃない。あくまで自分の表現を高める手段の一つとして有効。

「どう飲み込んで解釈して消化するかの方がはるかに重要。その工程を経て初めて、技は揺るぎない自身の血肉となる。」

その工程を省いた鉄雄の演奏は、お前である必要があるのか、と。

鉄雄はそれに対して、試してみたかったのだと答えるのでした。その方が作者の意に沿う演奏になると思ったともいいます。哲郎は鉄雄のその言葉を聞き、鉄雄は作曲家になりたいのではないかと思うのでした。そして鉄雄は百合子に謝ります。

鉄雄はイタリアでの生活を哲郎と縁に話して聞かせます。留学先での他の生徒たちとの技術のあまりの違いに打ちのめされ、焦り、追い詰められていく鉄雄に百合子は、鉄雄を弟子にした理由を語ります。

「面白い、と思った。」

そして、

「お前がお前であることを、希望にするか絶望にするかはお前しだいだ。」

と告げます。

「まず自分で自分を愛せ。それが弟子になる第一条件だ。」と。

それから百合子は、鉄雄にチェロを続けるために必要なことを、そして作曲家になるために必要なことを教え込みます。鉄雄が夜中にこっそり曲を書いていることを、百合子はとっくに知っていたのでした。

イタリアでの生活は、百合子がいかに弟子としての鉄雄を愛していたかが伝わるシーンが多くあります。また百合子が鉄雄に語る言葉も深みがあります。あらすじの一つとしてダイジェストで語っても伝わらないので、ここには書きません。ぜひ原作を読んでみてください。特に表現者であれば深く刺さるものが多いと思います。

縁はある日、鉄雄の描いた曲の譜面を発見し、ピアノで弾いてみます。そして鉄雄に

「これを人前でやらないか。」

と提案するのでした。すなわち、ライブをやってみないか、と。

3巻で使用した曲はこちら

鉄雄がコンク-ルで弾いた曲


[楽譜] ベートーヴェン チェロ・ソナタ第3番イ長調作品69【10,000円以上送料無料】(ベートーウ゛ェンチェロソナタダイ3バンイタンチョウサクヒン69*ベートーベン*ベートーウ゛ェン)

ちなみに郁未がトップで弾いたのは、百合子の演奏を聴いて一週間で覚えた難曲

一方公園で、郁未にペンチで弦を切られながら弾いていたのはこちら。


楽譜 パガニーニ/ロッシーニのオペラ「モーゼ」の主題によるG線での変奏曲(モーゼ幻想曲)(【734733】/2344/チェロとピアノ/輸入楽譜(T))

1巻はこちら

2巻はこちら

4巻はこちら

5巻は9/10頃発売予定

音楽漫画 僕のジョバンニ 2巻 あらすじとネタバレ

郁未のまれにみるチェロの才能に、鉄雄は・・・。


百合子の弾く難曲、ドボルザークのチェロ協奏曲を自分が簡単に弾けるようになれば鉄雄が喜ぶ、そう信じて鉄雄へのプレゼントとしてこの曲を弾く郁未。ところが鉄雄は郁未のまれにみる才能と、それを自分が持っていないことに同時に気づき、深く打ちのめされるのでした。チェロをやめた兄、哲郎は

「お前を憎みたくなかったから、チェロをやめた。」

と伝えます。哲郎は鉄雄の才能に屈し、弟を憎まないうちにチェロをやめたのでした。

鉄雄がずっとあこがれて自らから放ちたかった音を、郁未が奏でるのを聴いてしまい、友達なのに郁未が憎いと泣きじゃくります。その鉄雄に何も言ってやる言葉がみつからないと、かつて同じ思いを当の弟に抱いた兄は弟を抱きしめます。

哲郎は二人がどうにか折り合いをつけてこれまで通りの友達でいてほしいと願いますが、百合子は、折り合いなどつけたら鉄雄はその瞬間、チェリストとして死ぬ、と言います。残酷な世界で苦しみながらでもチェロを離さない、生半可ではない覚悟が必要だと。

鉄雄は郁未に、気持ちをぶつけてしまいます。

「俺のチェロを返せ!」

鉄雄しかいない郁未は、彼から向けられる憎しみに大きく傷つきます。それはチェロしかない鉄雄の苦しみと同質のもののようにも思えます。郁未は、チェロをやめたら鉄雄の友達でいられる、という哲郎の言葉に、鉄雄の特別でいるためにチェロをやめない、と告げます。鉄雄と郁未とチェロの三角関係がはじまったようです。哲郎は、郁未の鉄雄に対する執着に恐怖すら感じます。

一方鉄雄は、百合子に弟子にしてくれ、と頼みます。一度は断った百合子ですが、彼女いわく「気まぐれ」で鉄雄を弟子にするのでした。鉄雄は小学校卒業を待たずに百合子とイタリアに旅立ちます。

鉄雄はイタリアへ、一方郁未は

5年後、日本に帰ってきた鉄雄が最初に目にしたのは、既に有名チェリストとなっている郁未の姿でした。郁未の存在で日本にはチェロブームが起きていたのです。鉄雄は東京で哲郎と同居生活に入ります。哲郎は一浪して入った大学を中退し、スポーツ心理学を専攻できる大学に入りなおしました。今は演奏家専門のメンタル・トレーナーとして事務所に勤務しています。

鉄雄は帰国してすぐ伴奏者を探しますが、候補から次々断られてしまいます。鉄雄が変わってしまっているようで哲郎は心配になります。そこに現れたのが成田縁(なりた ゆかり)音楽高校ピアノ科の生徒です。彼女なら鉄雄と合うのではないかと百合子から紹介されたのです。

鉄雄の演奏は個性的過ぎて、今までの伴奏候補が誰も合わせられなかったため断られていたことを、哲郎は悟ります。そして、縁は鉄雄の演奏は個性的なのではない、技術でびっちり個性的に聴こえるように作りこんであることを看破します。鉄雄についてこられたのは縁が初めてだったようです。鉄雄と縁はお互いを認め合い、縁は鉄雄の伴奏者となります。縁は鉄雄の伴奏を楽しんでいたことを告げます。鉄雄は小規模のコンクールに出場することになり、その会場で郁未と再会します。

鉄雄が郁未の怪物的な才能の前に、なすすべもなく泣きじゃくるシーン、読んでいてこちらが苦しくなります。百合子の言うとおり、残酷な世界なのです。そして、鉄雄とも郁未とも違って何にもとらわれていない縁の存在が、鉄雄に新しい風を送るように感じます。伴奏者に縁を得て、鉄雄がどのように変わっていくのか楽しみです。

2巻で使われた曲はこちら

鉄雄と縁の初顔合わせの時にやったリベルタンゴはこちらの一曲目です。


ヨーヨーマ・プレイズ・ピアソラ/ヨーヨー・マ[CD]【返品種別A】


ピアノ 楽譜 ピアソラ | リベルタンゴ(ピアノソロ)

youtubeからはちょっと珍しいピアニカバージョンをどうぞ(クリックでyoutubeへ)

 

1巻はこちら

3巻はこちら

4巻はこちら

5巻はこちら